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比較テスト:登山向けクッカー・コッヘルを片っ端から使い倒してみた

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素材と重量だけで語られがちなクッカーをあらゆる角度から徹底比較

湯を沸かし、調理する。こんな日頃から誰にとってもなじみ深い行為に、疑問を差しはさむ余地なんてない。クッカーなんてどれも大した違いはなく、違うのはせいぜい素材と重量くらいなものだろう―。もしまだそう思っている人がいたら、是非とも今回の特集を一読をおすすめします。

メジャー・マイナー問わずバリエーション豊かな15のクッカーをさまざまな角度から比較していくと、確かに軽さは重要な要素ではあるものの、実際には多くのクッカーに求められるさまざまな価値のひとつであるに過ぎないということが分かってきます。さらに、最適なクッカーとは、利用シーンや人数構成などによって求められる価値も変化していくもの。今回の比較テストではそうしたさまざまなスタイル毎に”本当に使える”クッカーとは何なのかについても浮き彫りにしてみたいと思っています。

すぐに結論が知りたい方はこちらから結果へジャンプ

比較アイテムのピックアップにあたって

世の中には、今回取り上げたアイテム以外にも数多くのクッカーが存在しています。それらすべてを比較することは物理的に難しいので、比較にあたっては売れている人気商品だけでなく、以下のようになるべくいろいろな点でバリエーションが出るようにピックアップしてみました。

  • 素材(重量)
  • 形・大きさ
  • 内側や底面の加工・処理の有無
  • 蓋や取っ手
  • セット内容や付属品

このため、ここに登場していないアイテムでも、今回の比較を参考にすることによってある程度評価が想像できるようになっているはずです。なお、少人数でのテストゆえどうしても利用人数が少なめ(1~3人)向けのモデルが多くなってしまうのはご了承ください。

比較テストアイテム

エバニュー Ti U/L クッカー深型 RED

エバニュー チタンクッカー深型 セラミック

エバニュー アルミコッヘル L

エバニュー セラミックコッヘルポット15

EPI ATSチタンクッカーTYPE-3M

PRIMUS イージークック・ソロセットS

PRIMUS イージークックNS・ソロセットM

コールマン パックアウェイ ソロクッカーセット

ユニフレーム 山クッカー 角型 1

スノーピーク ソロセット 極

GSI nForm ピナクル ソロイスト

DUG HEAT-I

Optimus テラ ウィークエンドHE

Hilander アルミクッカーセット

JETBOIL MiniMo

テスト環境

2015年5月~11月にかけて複数回の山行で試用。また、下界にて煮沸や炊飯、炒め物などを横並びで調理するなどのテストを実行。

実地テストによる詳細評価

評価比較

総合順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 6位 6位 9位 9位 11位 12位 13位 14位 15位
アイテム PRIMUS(プリムス) クッカー イージークックNS・ソロセットM PCKK202PRIMUS イージークックNS・ソロセットM UNIFLAME(ユニフレーム)山クッカー角型 1 《667712》ユニフレーム 山クッカー 角型 1 EPI(イーピーアイ) ATSチタンクッカー TYPE-3 M TS-201EPI ATSチタンクッカーTYPE-3M エバニュー(EVERNEW) チタンクッカー深型 セラミック ECA402エバニュー チタンクッカー深型 セラミック Coleman(コールマン) パックアウェイ ソロクッカーセット 2000012957コールマン パックアウェイ ソロクッカーセット GSI ピナクル ソロイスト 11871935000001GSI nForm ピナクル ソロイスト PRIMUS(プリムス) イージークック・ソロセットS P-CK-K102【日本正規品】PRIMUS イージークック・ソロセットS エバニュー(EVERNEW) セラミックコッヘルポット15 ECA184 ECA184エバニュー セラミックコッヘルポット15 OPTIMUS(オプティマス) TERRAウィークエンド 12192Optimus テラ ウィークエンドHE Hilander(ハイランダー) アルミクッカーセット HCA0074Hilander アルミクッカーセット JETBOIL(ジェットボイル) バーナー JETBOIL MiniMO (ジェットボイルミニモ) カーボン 1824381 【日本正規品】 ガス検承認PSマーク取得品JETBOIL MiniMo エバニュー(EVERNEW) エバニュ- アルミコッヘルL ECA164エバニュー アルミコッヘル L スノーピーク(snow peak) ソロセット極チタン SCS-004Tスノーピーク ソロセット 極 DUG(ダグ) HEAT-1 DG-1100DUG HEAT-I エバニュー(EVERNEW) チタンウルトラライトクッカー深型 RED ECA265Rエバニュー Ti U/L クッカー深型 RED
ここが◎ すべてにおいて高い性能 調理しやすさ、使いやすさ、収納性 重量、バランスの良さ 耐久性、重量、バランスの良さ 調理のしやすさ 洗練された機能性、調理しやすさ 収納性、価格 調理しやすさ 熱効率 価格 熱効率、機能性 拡張性、調理のしやすさ 重量、収納性 熱効率 重量
ここが△ 特に無し 重量、熱効率 特に無し 価格 拡張性、熱効率 価格、拡張性 熱効率、調理のしやすさ 拡張性、機能性 重量、拡張性 熱効率、機能性 価格、拡張性 熱効率、重量、機能性 調理のしやすさ、機能性 調理のしやすさ、拡張性 調理のしやすさ、拡張性、価格
熱効率
(20)
14 12 14 14 12 13 11 14 17 12 18 12 14 16 13
重量
(20)
14 16 18 18 14 15 16 13 13 13 12 12 18 15 19
調理のしやすさ
(20)
18 17 12 12 18 16 11 16 15 12 16 16 6 10 7
耐久性
(10)
6 5 7 8 6 6 6 6 5 6 5 5 7 6 6
機能性
(10)
7 7 7 6 7 8 6 5 7 6 8 5 5 5 6
拡張性
(10)
6 5 7 7 2 5 6 4 2 7 3 8 6 2 2
価格
(10)
8 8 4 3 7 2 9 7 5 8 1 4 5 6 5
総合
(100)
73 70 69 68 66 65 65 65 64 64 63 62 61 60 58

 

スペック比較

アイテム PRIMUS(プリムス) クッカー イージークックNS・ソロセットM PCKK202PRIMUS イージークックNS・ソロセットM UNIFLAME(ユニフレーム)山クッカー角型 1 《667712》ユニフレーム 山クッカー 角型 1 EPI(イーピーアイ) ATSチタンクッカー TYPE-3 M TS-201EPI ATSチタンクッカーTYPE-3M エバニュー(EVERNEW) チタンクッカー深型 セラミック ECA402エバニュー チタンクッカー深型 セラミック Coleman(コールマン) パックアウェイ ソロクッカーセット 2000012957コールマン パックアウェイ ソロクッカーセット GSI ピナクル ソロイスト 11871935000001GSI nForm ピナクル ソロイスト PRIMUS(プリムス) イージークック・ソロセットS P-CK-K102【日本正規品】PRIMUS イージークック・ソロセットS エバニュー(EVERNEW) セラミックコッヘルポット15 ECA184 ECA184エバニュー セラミックコッヘルポット15 OPTIMUS(オプティマス) TERRAウィークエンド 12192Optimus テラ ウィークエンドHE Hilander(ハイランダー) アルミクッカーセット HCA0074Hilander アルミクッカーセット JETBOIL(ジェットボイル) バーナー JETBOIL MiniMO (ジェットボイルミニモ) カーボン 1824381 【日本正規品】 ガス検承認PSマーク取得品JETBOIL MiniMo エバニュー(EVERNEW) エバニュ- アルミコッヘルL ECA164エバニュー アルミコッヘル L スノーピーク(snow peak) ソロセット極チタン SCS-004Tスノーピーク ソロセット 極 DUG(ダグ) HEAT-1 DG-1100DUG HEAT-I エバニュー(EVERNEW) チタンウルトラライトクッカー深型 RED ECA265Rエバニュー Ti U/L クッカー深型 RED
素材 アルミ アルミ チタン チタン アルミ アルミ アルミ アルミ アルミ アルミ アルミ アルミ チタン アルミ チタン
重量 259g 212g 183g 144g 245g 221g 212g 275g 282g 606g 310g 675g 146g 223g 125g
容器1 900ml 1000ml 900ml 900ml 900ml 1100ml 630ml 1200ml 950ml 1450ml 1000ml 2800ml 830ml 1000ml 900ml
容器2 400ml 280ml 250ml 400ml 395ml 400ml 900ml 1800ml 330ml 250ml
容器3 550ml
容器4 340ml
参考価格 3,240円 2,800円 6,372円 7,452円 4,104円 9,504円 1,944円 4,212円 5,724円 2,680円 19,440円 6,480円 6,102円 4,860円 6,048円
腐蝕耐性 ハードアノダイズド加工 アルマイト加工 チタン チタン ハードアノダイズド加工 アノダイズド合金 ハードアノダイズド加工 アルマイト加工 アルマイト加工 ハードアノダイズド加工 アルマイト加工 アルマイト加工 チタン ハードアノダイズド加工 チタン 
内側加工 ノンスティック加工 セラミック樹脂コート ノンスティック加工 3レイヤーテフロンコーティング セラミック焼付コート
底面加工 滑り止め加工 ATS加工 スパイラル加工 滑り止め加工 ヒートエクスチェンジャー ヒートエクスチェンジャー ヒートエクスチェンジャー
取っ手 シリコン ステンレス ステンレス シリコン シリコン シリコン シリコン プラスチック シリコン シリコン シリコン プラスチック ステンレス シリコン シリコン
注ぎ口 × × × × × × × × × ×
目盛表示 × × × × ×
ケース
付属品 メッシュ収納 メッシュ収納 スタッフバッグ メッシュ収納 メッシュ収納 コーティングスタッフバッグ
ボウルマグ
スポーク
ストーブバッグ
メッシュ収納 メッシュ収納 メッシュ収納 メッシュ収納 バーナーヘッド
ボトムカバー
スタビライザー
ポットサポート(五徳)
スタッフバッグ メッシュ収納 メッシュ収納 スタッフバッグ

熱効率

調理はクッカーの最も重要な役割のひとつ。ならば同じ火力でより早く熱が伝わるに越したことはありません。また、熱が伝わりやすいことはそれだけ燃料消費を抑えることにも繋がり、装備の軽量化にもなるため、この項目は厳しい環境になればなるほど重要なポイントになっていきます。

この項目を比較するにあたっては、なるべく同じ状況(同じ環境下、同じ火力)においていかに早く水が沸騰するかで計測比較しました。予想通り圧倒的に熱効率が優れていたのは JETBOIL MiniMo。底面のヒートエクスチェンジャーと、クッカー周囲を覆うネオプレーンゴムのおかげで、熱の逃げにくさがハンパない。そしてどこまで健闘するか楽しみだった DUG HEAT-I や Optimus テラ ウィークエンドHE といった、ストーブの種類を選ばない、汎用的なヒートエクスチェンジャー付きクッカーは JETBOIL には及びませんでしたが、それでもヒートエクスチェンジャーのないクッカーに比べれば、沸騰時間で30%程度の差があり、十分な実力を発揮していたといえるでしょう。

なお、チタンの熱伝導効率の悪さを改善する「ATS加工」を施した EPI ATSチタンクッカーTYPE-3M は、今回のテスト(500ml程度の水)ではそこまでの差は見られませんでしたが、長時間での利用においては熱が底面全体に伝わるというアルミと同等の特徴が活かされ、熱効率は(体感的には)優れていると感じました。

重量

重量については商品によって単体やセットになっているなどの差があるため、メインのカップ・蓋のセット重量で比較しています。基本的にはチタン製クッカーのひとり勝ちです。ただそのなかでも文句なしに眼を惹くのはエバニュー Ti U/L クッカー深型 RED。もってみると一目瞭然の、その異常なまでの軽さ・薄さは非常に魅力的で、アルミでは耐久性を保つためにここまで薄くつくることはできません。ただこの Ti U/L クッカー深型 RED、その圧倒的な軽さ以外に褒めるべきポイントがあまり見当たらないのが本当に残念です。

その他、アルミのなかで目立ったところでは、1000mlの容量があっても212gのユニフレーム 山クッカー 角型 1 や、コンパクトかつ2つのカップに分かれた使い方ができる PRIMUS イージークック・ソロセットS(212g)。

調理のしやすさ

目的やシーンによってクッカーを使用した「調理」の範囲は変わってくるため、この項目の重要度はユーザーによって異なるかもしれません。ファスト・ハイキングを志向する場合にはほとんど水を沸かす程度しか必要ありませんが、テント泊などで食材を煮たり、炒めたり、ましてや米を炊くなんて想定する場合には、この項目は非常に重要です。

調理のしやすさはややもすると主観的になりがちですが、ここではなるべく客観的に評価できるよう、特に以下の点に注目しています。

  • 表面の焦げにくさ
coating

内側の表面加工次第で、焦げにくさは大きく変わってくる。左からハードアノダイズド加工(まあ焦げる)、セラミック焼付けコート(焦げにくい)、チタン(焦げる)、ノンスティック加工(焦げにくい)

  • 容器を火にかけているときの安定感
DSC01725

上は何も加工を施していない底面、左下はスパイラル加工、右下はATS加工。

  • 取っ手の握りやすさやカバーの有無
DSC01711

チタンは熱伝導率が低いとはいえ、調理中は取っ手が熱くなり軍手が欲しくなる。シリコンやプラスチックで覆ってあると調理中でも素手で握っていられるので楽。

  • 注ぎ口の有無
DSC01701

上段左右は注ぎ口が付いているため、少量の水分でも取り分けやすい(やや見にくいですが)。

  • 形状(浅底か深底か)

上記の点で総合的なクオリティで際立っていたのは PRIMUS イージークックNS・ソロセットMコールマン パックアウェイ ソロクッカーセット。いずれにも共通しているのは内側の焦げ付き防止コーティングの優秀さと、底面のスパイラル加工による安定性、箸を入れやすい幅広サイズ、熱くて持てなくならないような取っ手のカバーや注ぎ口による作業性の高さです。

補足:「チタン製クッカーで炊飯はできるのか」問題

アルファ化米やレトルト米など便利な手段も用意されている昨今ですが、誰が何といおうと山の中での炊きたてご飯はいつ食べても格別。アルミ製の古いクッカーはどんなものでも米が炊けるのは当たり前でしたが、最近ではクッカーによって米がどうしても炊けないものがあることをご存じでしょうか。

その代表例が、チタン製のクッカー。チタンという素材は熱伝導率が非常に低く、沸騰させても火の当たっている部分だけがボコボコと煮立つだけで、水とお米が鍋の中で回ってくれません。その結果、火の当たっている部分のお米が黒焦げに。もちろんお米自体は芯飯です。テストでは同じチタンでも表面の加工次第で上手く炊けるクッカーもあるのではないかと期待したのですが、微妙に成功しかけたクッカーもあったものの、多かれ少なかれ無残な結果に終わってしまいました…。

titan_rice

チタンの中でもかなり成功した例。米はきちんと炊けたが、やはり焦げやすい。チタンで美味しい米を炊くには相当のコツと精進が必要。

ただ、上手くいかない原因は(すべて試したわけではないですが)はっきりしており、

  • 1点から火が噴出するようなタイプのガスストーブではなく、クッカーの底全体に火が当たるようなタイプのストーブを使う。
  • クッカーの底が広すぎて火の当たらない部分ができるといったことがないようにする。
  • 沸騰するまでの間は米が底に付かないように蓋を開けてかき回しながら待つ。
  • 弱火で蒸らす間も温度が下がらないようになるべく手ぬぐいなどでクッカーを包む。

などなど、コツとともに非常に高度な熟練が必要(美味しい炊き具合となるとさらに険しい道が待っています)。とはいえ不可能では無いので猛者はチャレンジすればよいと思います。ただ、アルミでしかもノンスティック加工のクッカーならモチモチかつイイ感じのおこげがついた美味しいご飯が簡単にでき、さらに内側はまったくこびり付くことなく炊飯できますので、個人的には米を炊くならこちらの方がおすすめです。

alumi_rice

ノンスティック加工のアルミ製クッカーであれば、このようにふっくらしたお米がイイ感じの焦げ付きで簡単に炊ける。

 

ちなみに、素材以外でも美味しいご飯が炊くために気をつけたいのが蓋の形状です。水切り穴(ストレーナー)の付いた蓋は、水分が逃げていってしまうため、例えアルミ製であったとしても炊飯には向きません。このためこうした蓋のクッカーで米を炊く場合、何らかの方法で穴を塞ぐようにしてください。

DSC01703

水切り穴(ストレーナー)はある面では便利だが、お米を炊く場合には要注意。

耐久性

チタンとアルミ、素材自体でいえば、チタンの方がより硬く・さびにも強く耐久性は高いといえます。ただ近年では、アルミの耐久性の弱さをカバーするような表面加工技術(アルマイト加工やハードアノダイズド加工)の進歩によって、そこまで大きく差があるともいえないように思われます。このため耐久性に関してはそこまで神経質になる必要は無いというのが今回の比較での結論です。特別な耐久テストは難しいのですが、体感的な評価としては、以下のようになりました。

単なるアルマイト加工 < アルマイト加工+セラミック焼付けコート = ハードアノダイズド加工 < チタン < チタン+セラミック樹脂コート

機能性

この項目ではこれまでの話しで網羅できなかった、使い勝手や収納性、便利な付属品などの使いやすさ全般について(例えば下記のような感じで)まとめています。

  • 蓋をフライパンとして使用可能か(複数のカップが利用可能か)
  • 目盛表示の有無
  • 水切り穴(ストレーナー)の有無
  • ガスカートリッジが収納できるか
  • ケース他付属品の実用度

ここで注目すべきは JETBOIL MiniMo と GSI nForm ピナクル ソロイストJETBOIL シリーズは、そもそもがガスストーブからクッカー、カップまで、燃料以外の調理に必要な道具が機能的・かつ無駄なく統合されたシステムであることが魅力だったわけですから、当然と言えば当然でしょう。一方で GSI nForm ピナクル ソロイストも素晴らしく洗練された統合クッキングシステムです。どのメーカーのストーブでも使える、クッカーが焦げ付きにくく使いやすい、付属のスポーク(スプーンとフォークの一体型カトラリー)などの点において、クッカー単体で考えれば JETBOIL に負けず劣らずのクオリティがありました。

その他、好きな人には代えがたいという意味では、ユニフレーム 山クッカー 角型 1 が面白い。このモデルについては個別にレビューしたこともあり、実はぼくも日帰り山行にもっていくことが多かったりします。角型というとてもパッキングがしやすい形状、そしてインスタントラーメンが入る、調理がしやすいなど、独特な使いやすさで隠れたファンも多く、機能性という観点からみて見逃せないクッカーです。

拡張性

クッカー同士を重ねて収納(スタッキング)できるように計算されたサイズのモデルがラインナップとして用意されているかどうか。実際のところ、目的や志向するスタイルによっては不要な項目かもしれません。ただし、細かく目的を絞らずに、普段は1~2人、場合によっては大人数でキャンプや登山を楽しむかもしれないといった一般的なユーザーであれば、こうしたスタッキングできるモデルによって、将来的にも非常にスマートなパッキングが可能となります。

ここでの注目モデル、エバニュー アルミコッヘルシリーズは20年以上前からおなじみの形状で、450mlの小ナベから4000mlの大ナベまでをカッチリとスタッキングできる安心の拡張性を備えていますので、はじめに一人用サイズから始めたとしても、後から4人パーティ、6人パーティと登山スタイルの変化に幅広く対応できます。

DSC01729

エバニューのアルミコッヘルシリーズはすべてのサイズが計算され、写真のようにきっちりと重ねて収納できる。

そこまで大人数には対応できないまでも、小規模ながらスタッキングシステムを用意しているもので注目なのが EPI ATSチタンクッカーTYPE-3Mエバニュー チタンクッカー深型 セラミック。これらは1サイズ大きいモデルを買い足すことで1人用にも3人用にもスマートに対応することができます。

今回の比較まとめ

最後に今回の比較テストで浮き彫りになった、シーン別の編集部おすすめモデルをご紹介します。

ビギナーから達人までおすすめの万能クッカー: PRIMUS イージークックNS・ソロセットM

今回のテストではほぼすべての項目で高評価を獲得、特別に軽いわけではありませんが、あらゆる面で使いやすく、そして何よりも比較的手ごろな価格で入手可能なこのアイテムが文句なしにベストです。もっと高価で、もっと尖った特性を誇るアイテムは数あれど、総合的に考えてそれらをゆうに凌駕するような、細部にわたるクオリティ=完成度の高さをもちあわせた優等生。それらは玄人でなくとも、特にビギナーにとって非常に魅力的で、これからクッカーを選ぶすべての人におすすめの太鼓判を押したいと思います。

ソロハイカー御用達: JETBOIL MiniMo / EPI ATSチタンクッカーTYPE-3M

ソロハイキングという限られたスタイルに特化すると、少し見方が違ってきます。今回の評価から「拡張性」と「価格」を差し引くと、1・2位はこの2アイテム。JETBOIL MiniMo が熱効率・機能性・洗練さの面でこれ以上なく優れたモデルであることは、多くのメディアやユーザーが伝えているところですが、今回はその評価を再認識できたと言えるでしょう。これひとつあれば無雪期のお一人様アウトドアでは無敵の使い心地が約束されたようなものです。

そしてもうひとつ、EPI ATSチタンクッカー TYPE-3 M はチタンの軽量性を備えながら、弱点である熱効率の悪さを見事に克服したクレバーなアイテム。その点が他チタン製品との違いで今回の高評価となりました。シンプルかつ機能的な使い心地は無駄をそぎ落とした機能美すら感じさせます。

複数人パーティ登山には欠かせない: エバニュー アルミコッヘル L

昔からある製品。特に際だった機能があるわけでもなく、昔ながらの素材で昔ながらの形状(細かい部分で変化を繰り返してはいますが)。ただ、だからこそ安心の使い心地、信頼性は抜群です。今回、他社の大ナベ製品は取り上げていませんでしたが、大人数用クッカーであれば、大学の山岳部や社会人山岳会などで広く御用達のこのシリーズで間違いはありません。

調理のしやすさと使い勝手で見逃せない: ユニフレーム 山クッカー 角型 1

確かに重量や熱効率などは数字的に飛び抜けたパフォーマンスではないものの、何よりも実際の調理のしやすさと使いやすさ(そして価格の手ごろさ)からどうしても最後にコイツをおすすめとしてあげさせてください(詳細はこちらのレビューに書いてあるのでぜひ)。クセがないといったらウソになりますが、細かい数字では比べることのできない、コイツにしか無い良さがあるのは確か。実際に使ってみると、(ハマる人にとっては)昨今の1グラム、1キロカロリーを突き詰めるような競争とは別次元での価値を感じさせてくれるはずです。ちなみにぼくの場合、このシリーズでもより汎用的な、大小2つのクッカーがセットになった「山クッカー 角型 2」の方を使用しています。


冬の隠れた重要アイテム!スノーグローブの選び方とおすすめの10組

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快適な冬のアウトドアは手袋から

冬のアウトドアにとって、大敵は何といっても冷え(濡れ)と寒さ。油断をすると最悪の場合、凍傷という重い代償がすぐ隣に待っています。このため常に氷点下での行動を強いられる冬のアウトドアでは、身体の部位のなかでも特に凍傷にかかりやすい手足の保温は至上命題。保温性が高く、風や雪を完全にシャットアウトするグローブを使い、手や指先を常に暖かくドライに保っていなければなりません。

最適なスノーグローブ(冬用手袋)を選ぶことは、旅が快適で喜びに満ちたものになるか、あるいは過酷で凍傷の恐怖に怯えながらのものになるかの大きな分かれ目だといっても言い過ぎではないでしょう。

そこで今回は、冬のアウトドア・アクティビティで使用するスノーグローブ選びについて、どんな種類があるのか、どんなポイントに気をつければよいのかについてお伝えします。後半ではポイント別編集部のおすすめグローブをご紹介したいと思いますので、すぐにおすすめが知りたい方は以下の目次から直接ジャンプしちゃってください。

目次

チェックポイント1:形状

チェックポイント2:構造

チェックポイント3:ライナー(インナー、断熱素材)

チェックポイント4:シェルレイヤー(アウター)

チェックポイント5:その他細かい機能

編集部おすすめの10組

まとめ

チェックポイント1:形状「五本?三本?二本?」

一般的に冬用のグローブはどれも高い保温性が特徴ですが、目的やスタイルによって3つの形状パターンに分かれています。これらはどれが一番優れているということではなく、メリット・デメリットを理解した上で自分の志向や状況に合わせて選択していくのが賢い選び方の第一歩といえます。

タイプ 五本指(グローブ) 三本指(ロブスター) 二本指(ミトン)
参考イメージ アウトドアリサーチ アウトドアリサーチ OutdoorResearch ARETE GLOVES, MEN\'S M\'s アレートグローブ 19840049-CYT 014-コヨーテ 014-コヨーテ M【Mens】 ブラックダイヤモンド(Black Diamond) ソロイストフィンガー BD73012 ブラック XS OUTDOOR RESEARCH(アウトドアリサーチ) Mens Alti Mitts Chili Lサイズ
メリット
  • 手先が器用に扱いやすい。
  • 各メーカーから多くの製品がリリースされ、選択肢が多い。
  • 保温性が高い。
  • ある程度手先の細かい操作は可能。
  • 指同士がまとまっているため、保温性が最も高い。
デメリット
  • 指同士が生地によって分断されているため他2つと比較すると保温性は劣る。
  • 五本指ほど器用には扱えない。
  • 手先の細かい作業は行えない。
  • ピッケル(アイスアックス)がもちにくい。
おすすめのアクティビティや使い方
  • 基本的にはオールラウンド。
  • バックカントリースキーやアイスクライミングなど、ウェアの着脱や、ギアの操作を頻繁に行うアクティビティ。
  • クロスカントリーなど、激しい活動の時間が長いアクティビティ。
  • 基本的にはオールラウンド。
  • 手先の操作がより少ない雪山縦走やレッキング、スキー・スノーボード。
  • スノーハイキングやスキー・スノーボードでもほとんど手先の操作を必要としないコース。
  • メインで五本指や三本指を使い、さらに一時的に保温性を高めたいときに。

選ぶときのポイント

  • はじめて購入する場合には、五本指か三本指を購入するのが安心。
  • そこまで手先の繊細さは必要ない雪山縦走や登攀要素の少ないバックカントリーには三本指タイプの方が暖かくておすすめ
  • 保温性よりも指先の器用さを優先したい場合には五本指タイプを。その際、操作性と保温性のバランスを考えてグローブの厚さを選ぶ
  • 特に手先が冷えやすい体質や、低温下でじっとしていることが多いと予想される場合には二本指も検討。

チェックポイント2:構造「一体型か、3 in 1か」

一般的な手袋と違い、スノーグローブは「保温目的のライナー層」と「防風・防水目的のシェル層」の多層構造にすることで、保温力や耐久性、透湿性を最大限に高めています。

そして現在多くのメーカーが展開するグローブには、それらの層が一体型になっているモデルと、そうでないセパレート(3-in-1)モデルがあり、これについてもメリットとデメリットを知っておくことで、より自分に合ったグローブを選択することができます。

タイプ 一体型 セパレート(3-in-1)
参考イメージ
メリット
  • すべての素材がまとまってしているため、内部で指が滑りにくい。
  • 一体型なので紛失しにくい。
  • インナーのみ・アウターのみ・両方と3通りの使い方ができ、インナーを必要に応じて変更すれば、保温性や使い勝手を自由に調節できる。
  • 濡れたらその都度インナーを取り替えれば常にドライの状態を保てる。
  • 分離して乾かせるので速乾性がある。
  • 多くの場合、一体型よりも保温性が高い。
デメリット
  • 単体では温度調節がしにくい。
  • 一度濡れると中だけ取り替えることもできず、使い勝手が悪い。
  • 乾きにくい。
  • 器用さを重視したモデルが多いので、どちらかというと、保温性はやや犠牲に。
  • インナーとアウター同士が分離しているので、内部でズレることがある。
  • 頻繁に分離して使うので紛失しやすい。

選ぶときのポイント

  • 雪や氷の上で繊細な手先の操作を必要としない多くの人々にとって、調整の幅が広く乾きやすいなど使い勝手がよいセパレートタイプがおすすめ
  • アイスクライミングや冬のバリエーションルートなど、高度なロープワークなどが必要なアクティビティにはより操作性の高い一体型がおすすめ
    ※ゲレンデスキー用グローブをはじめとしたベーシックなモデルの多くは一体型なので、その意味ではすべての一体型グローブが高度で繊細な指使いを意識して作られているわけではありません。

【補足】一体型でもインナー(ライナー)グローブは必須?

一体型グローブは素手のまま装着することができますが、氷点下での細かい作業を、素手で行うのは禁物。雪に触れば一気に体温を奪われ、金属などに触れると指の皮が貼り付いたりして怪我をしてしまいます。その意味では一体型のグローブを使うにしても、薄手のインナー(ライナー)グローブは必ず用意しておきましょう。

ここで面白いのは、人によってインナーを「常時はめておく派」「ポケットに忍ばせておく派」に分かれること。あるショップ店員さんは一体型でもインナーは常時はめておくからサイズはそれを考慮して選ぶべし、と説明していましたが、一方でとあるガイドさんは、作業した後の濡れたインナーをずっとはめていたがために凍傷になったお客さんの例を挙げ、インナーは作業時にその都度はめて使うというやり方を推奨していました。どちらの考え方にも良し悪しがあり、間違いではありません。実際に使う人がそれぞれの考え方で責任を持って危険を回避するのがアウトドア。さまざまな情報や経験を糧に、自分のやり方を見つけていきましょう

チェックポイント3:ライナー(インナー、断熱素材)

スノーグローブの保温性を大きく左右するのが、ライナー(インナー)部分に使われている絶縁素材。一部の極地向けグローブを除けば、現在のところライナーで使用されている素材の多くは化繊インサレーション(断熱)素材、フリース、そして古くからの定番である未脱脂ウール(例えばハンガロテックス)、さらにそれらの混紡素材というように、多種多様のアプローチが見られます。

素材の質だけでなく、その嵩(量)の大きさによっても保温力は大きく異なります。このためどれが一番暖かいというのは一概に決められるものではなく、ここがスノーグローブ選びの難しい部分でもあります。

もちろん保温性だけでなく、肌触りやフィット感、薄さなど、実際に試着することでしか見えない使い心地も重要な選択基準のひとつです。

glove_liner

保温性はもちろんのこと、肌と直接触れ合う部分でもあるので着心地やフィット感も大切。後悔しないように実際に試着してみるのがおすすめ。

選ぶときのポイント

実際にはメーカーやモデルによって強弱はありますが、経験的にいえることをまとめてみます。

  • ウール系のライナーは昔からの信頼性と保温性は問題ないが、肌触りが硬めでフィット感も薄い
  • フリース系のライナーは保温性と速乾性・フィット感のバランスがよく、快適さ重視
  • 化繊インサレーション系は最も進化の激しい分野で保温性・軽さ・肌触りが日々進歩している。ただ厚みがあったり、ライナー表面がスベスベ(セパレートタイプの場合)な分、細かい作業はやや苦手

モンベル ジオラインL.W.インナーグローブ BK/M

なお、保温性を高めたり肌触りを改善するために、別途用意したインナー用の手袋の上からスノーグローブをはめるという方法は、最適化のために賢いやり方として非常に有効です。ただその際にはスノーグローブのサイズに少し余裕をもたせる必要はありますが。

 

チェックポイント4:シェルレイヤー(アウター)

すべてのアウトドアウェアを着る上での基本的な考え方である「レイヤリング(重ね着)」というルールはグローブでもまったく同じ。外界との接点であるシェルレイヤーでは、保温性を維持するために何よりも高い防風・防水・防寒性能が求められます。

そして同時に、手指を凍傷から守るため、グローブ内を濡れたままでいることは絶対に避けなければなりません。このため水分や湿気を外に排出する透湿性能も非常に重要な役割であり、スノーグローブのシェル部分には、レインウェアやハードシェルで採用されているのと同じ DWR(耐久撥水)加工の施された防水透湿生地(GORE-TEX や OutDry、BDRY、eVent など)が使用されていなければなりません。

DSC01835

スキー向けには手の甲の関節部分に補強があったり、クライミング向けには全体的にレザー補強がなされていたり、補強部分を見ることでそのグローブが適したフィールドが分かる。

もうひとつ、グローブのアウターで特徴的なのは、風・雪・雨を防ぐという対候性能だけでなく、岩や氷、ロープとの摩擦といった物理的な障害にも耐えられるよう、用途に合わせて各所に強靱な補強がなされていることです。これは必要に応じてですが、特にロープワークがあるようなスタイルでは、必ず手袋のサイドまでしっかり耐久性の高いレザーで覆われたグローブを用意しましょう。

DSC01836

手のひらは最も摩耗・消耗する部分であり、その代表的な補強素材がレザー。革の種類や二重にしてあるなしなどの違いによって耐久性はさらに変わってくる。

選ぶときのポイント

  • シェルレイヤーには単なる防水だけでなく、しっかりとした防水透湿素材が使われているモデルがおすすめ。
  • 防水透湿素材の中でも耐久性、しなやかさ・伸縮性、通気性などそれぞれ強みが違うので、できる限りアクティビティに合わせたシェルを選ぶ。
  • 手のひらや指周りは特にすぐ(下手をすれば1年で)解れたり擦り切れたりする弱い部分。レザーなどで補強されている耐久性が高いモデルを選ぶ

チェックポイント5:その他細かい機能

長めのカフ(袖口)・ガントレット

グローブのカフ(袖口)が長いことによって、グローブとウェアの間からの雪の侵入を防ぐことができます。特に日本のような多雪地域では大雪の中をラッセルする機会が多いため、大きな動作により手首の間から雪が侵入するリスクが高く、こうした長めのカフは用途によっては想像するよりずっと有り難い特徴です

長いカフ、そして袖口をピッタリ締めるドローコードがあると、雪の侵入はほぼ完全にシャットアウトできる。ただし脱ぎ着が面倒なのが難点。

タッチスクリーン対応

最近では登山中のスマートフォン操作もすっかり当たり前になってきました。しかし冬になるといちいちグローブを脱ぎ着しなければならず、そこには手を冷気に晒す、グローブを紛失するなど、細かいけど無視できないリスクが生まれてしまいます。グローブを脱がずにスマホが操作できることで凍傷・紛失のリスクは減り、時間短縮にもなります。どうしてもなければならない機能ではありませんが、どうせなら楽で安全な方が良いですよね。

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インナーグローブでのスマホ操作だけでなく、今ではアウターをはめたまま写真のようにスマホが操作できるものが多く登場。

手首調節用ベルクロ・ドローコード

フィット感の向上と外の冷気の侵入予防のために、手首の締め具合を調節するためのベルクロやドローコード。グローブによっては手首部分に内蔵されたゴムが適度に締めつけてくれるモデルもあり、こうした機能がまったく無いグローブを探すのは今では難しいぐらいです。ただ万が一ないなんてことがないように、必ず何かしらが備わっていることを確認しておきましょう

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ゴーグルワイパー

スノーグローブの中には、主に親指の背のあたりにスエードのように起毛した生地が配置されているモデルがあります。これはゴーグルに付着した雪や水滴、あるいは”はな”を拭き取るためのワイパー、だそうです(実はぼくもあまり使ったことはなく、正直便利と思ったこともあまり無いのですが)。

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リーシュコード(流れ止め)

これは地味に大切な部位。強風の中でアウターを外して作業することが多いスノーグローブでは、油断するとあっという間にグローブが飛ばされてしまうことが往々にしてあります。それを防ぐために重要なのがこのリーシュコード(流れ止め)と呼ばれる紐ですが、要するにグローブと手首を結びつけるための細引きまたはゴム紐のことです。最初から付属していればもちろん便利ですが、万が一付属していなかったとしても、それを取りつけるためのリングはついているはずなので、なければ自分で作るなどして本番では必ずつけておきましょう

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編集部おすすめのスノーグローブ(2015-2016秋冬モデル)

ここではまだ厳密なテストは行っていませんが、スペックと試着したなかで特におすすめのモデル10組をご紹介します。詳細比較テストは近いうちに公開予定ですので乞うご期待!※価格は2015年12月現在

隙のない快適さと繊細さ、バックカントリー用グローブの理想形
Arc’teryx LITHIC グローブ

保温性★★★ 器用さ★★★ 耐候性★★★ 耐久性★★☆ 便利さ★☆☆

手のひらはレザーの代わりにラミネート加工の TPU 補強で軽く、そして保温性を優先するなど、何でもできるグローブではありません。ただ、ポールを握りやすい立体構造の関節などバックカントリースキーのために割り切りと集中を行った結果、これ以上ないくらいに使いやすいスキーグローブが完成しました。

数あるエントリーモデルのなかでも群を抜いたクオリティのセパレート型グローブ
Black Diamond ソロイスト/ソロイストフィンガー

保温性★★☆ 器用さ★★☆ 耐候性★★☆ 耐久性★☆☆ 便利さ★★☆

保温性★★★ 器用さ★☆☆ 耐候性★★☆ 耐久性★☆☆ 便利さ★★☆

1組目のグローブとしてはモンベルやノースフェイスなど、同じようにクセのないモデルはたくさんありますが、最も使いやすくてお買い得なものを選べといわれればこちらをおすすめします。ライナーに使用されているプリマロフト ゴールドはダウンに対抗する化繊素材として防寒着にも多く使われる高機能断熱素材。保温性を重視するなら三本指、使いやすさを重視するなら五本指をどうぞ。

2チェンバー方式で保温性・操作性抜群、幅広い活動に最適な本格アルパイングローブ
MAMMUT SIAM GLOVE

保温性★★★ 器用さ★★☆ 耐候性★★☆ 耐久性★★☆ 便利さ★★☆

2チェンバー方式とはなにやら聞き慣れない名前ですが、試着してびっくり。このグローブには部屋が2つあって、下の部屋に手を入れると繊細なタッチが可能な薄手グローブに、上の部屋に手を入れると保温性の高いインサレーションで手全体が覆われた厚手グローブになるという、非常にスマートでなおかつ本格仕様という驚きのグローブです。

抜群の保温性と耐候性、すべてのウィンタースポーツに対応できる完成度の高いスノーグローブ
MILLET K 3 IN 1 GTX GLOVE

保温性★★★ 器用さ★★☆ 耐候性★★★ 耐久性★★☆ 便利さ★★★

防水透湿素材の中でも耐久性で抜きん出たゴアテックス、手の甲・手のひらにもしっかりとした補強、インナーにはストレッチ性の高いポーラテックのフリース、シェルの保温材にはプリマロフトと、考えられる至る所に高品質なパーツを余すところなく配した完成度の高いグローブ。セパレートタイプで使い勝手も抜群ときたら、若干の重さは愛嬌です。

自然な指の動きを可能にする抜群の操作性と高い通気性でアクティブなウィンタースポーツに最適
MONTANE Alpine Stretch Glove

保温性★★☆ 器用さ★★★ 耐候性★★☆ 耐久性★☆☆ 便利さ★★☆

試着してみるまで気がつきませんでしたが、ここまで握りやすく、着心地がよい冬用グローブははじめてです。防水透湿性能の高いソフトシェル生地だからこその運動性・通気性は長く厳しい冬山というよりも、冬のファスト&ライトな登山に活躍してくれそう。

長いカフと耐久力抜群のパームで、日本の山岳に最適な使いやすい 3-in-1 スノーグローブ
Mountain Hardwear タイフォンアウトドライEXTグローブ

保温性★☆☆ 器用さ★☆☆ 耐候性★★☆ 耐久性★★★ 便利さ★★★

最近なかなか見られない、長めのカフがイイ感じ。日本の雪山に対応して作られたというグローブは、雪の侵入を防ぐ工夫だけでなく、シェルレイヤーには軽量かつより透湿性に優れたアウトドライを採用し、湿雪の多い季候にはピッタリ。シェルレイヤーに保温材が少なめなので、保温性を上げたい人はインナーグローブを差し替えたり、さらに1枚追加するなどして調整可能です。

全方位に隙なし、オールマイティな用途で使いやすく価格も手頃な優等生セパレート型グローブ
OUTDOOR RESEARCH ARETE GLOVES

保温性★★☆ 器用さ★★☆ 耐候性★★☆ 耐久性★☆☆ 便利さ★★★

グローブの世界では存在感抜群のアウトドアリサーチにはいいグローブがたくさんありますが、より万人におすすめできるのはこの定番スノーグローブです。軽くて厚すぎないシェルは操作性も抜群、取り外し可能なライナーと使いやすいリーシュコードなどもよく考えられていて好感触。

タッチスクリーンの感度良し、ガジェット好きなスキーヤー・スノーボーダーに最適
OUTDOOR RESEARCH NORTHBACK SENSOR GLOVES

保温性★★☆ 器用さ★☆☆ 耐候性★★☆ 耐久性★☆☆ 便利さ★★★

タッチスクリーン対応のグローブは最近良くでてくるようになってきましたが、このグローブほど感度抜群で使いやすいものが無かったので、他のおすすめとはちょっと毛色が違うものの、おすすめです。グローブ単体としてもゴアテックスのシェルや、しなやかで操作性の高いレザーなど信頼性も高い。

全面強化レザーが耐久性としなやかさ・防水透湿性を両立、ハードで広範囲な要求にも応えるクライマー・ガイド御用達
Rab Guide Glove

保温性★★☆ 器用さ★★★ 耐候性★★☆ 耐久性★★★ 便利さ★☆☆

なかなかこんなにゴツいグローブは必要ない方が多いかも知れませんが、冬のバリエーションルートなどでロープワークが必須のコースでは、サイドまでレザーで補強されたグローブが安心。なかでもコイツに使われている?Pittards 強化レザーは高い摩擦耐性と一般的な皮革の5倍といわれるグリップ性能、その上信じられないくらいにごわつきが少なくしなやか。シェルの防水透湿素材も通気性重視の eVent と、クライミングには最適なチョイスです。

長いカフは日本の雪山に最適、インナーを使い分けて自分好みのレイヤリングを完成させたいカスタマイズ志向に最適
ISUKA ウェザ-テック オ-バ-ミトン

保温性☆☆☆ 器用さ★☆☆ 耐候性★★★ 耐久性★☆☆ 便利さ★★★

このグローブは防水透湿シェルレイヤーのみのモデル。グローブといえばインナー(保温素材)とアウターがセットになっているものばかりではありません。かつて大学ワンゲルだった頃はコイツとハンガリ手袋、フリース手袋などをバラで買い揃え、予算を抑えたものです。ただ、こうした作戦、メリットは安く抑えられるというだけではありません。そもそも冬には予備の手袋などを何組ももっておく必要があるので、何組もグローブを購入するなどの無駄を省くことができます。また気温に応じてさまざまな厚みを用意しておけば適材適所で必要なだけの装備ができ、より安全快適に過ごすことができると、実は良いところばかり。最近は確かに存在感が薄くなってきているかも知れませんが、まだまだこのやり方の価値は健在です。

の比較テストをレポートしていきたいと思いますので、楽しみにしていてください。

まとめ

いかがだったでしょうか。実際のところ、ここまでいろいろなグローブについて深掘りしてみたのは個人的にもはじめてで、これまでは何となく暖かそうで握りやすいものを選んでいた自分がいました。結果不快をどこまでも嫌うぼくとしてはどうしても保温力の高い三本指ばかり選んでしまっていたわけですが。

まぁそれはそれで間違いではないものの、グローブも他のアウトドア・ギア同様、さまざまなアクティビティやニーズに合わせて最適なモデルがある、ということが分かっていただけたかと思います。今回それぞれ強み弱みが整理されたことで、近いうちにこれらのグローブの比較テストをレポートしていきたいと思いますので、楽しみにしていてください。

【2015年更新版】今すぐ欲しい、おすすめハードシェルジャケット10着 ~ハードシェルの選び方まとめ~

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ハードシェルジャケットが冬のアウトドアに欠かせない理由

ハードシェルとは「シェル」という名が示す通り、アウターとして最も外側に羽織るタイプのウェアですが、その最も基本的な特徴を一言でいうと、「雪山や氷壁を対象にした登山・山岳スキーを念頭に置いて作られているアウター」ということです。今回は冬のアウトドア・アクティビティに最適なハードシェル選びについて、どんなポイントに気をつければよいのかをまとめてみます。そして後半では編集部のおすすめハードシェルをご紹介したいと思いますので、すぐにおすすめが知りたい方は以下の目次から直接ジャンプしちゃってください。

目次

はじめに:ハードシェルの役割

ハードシェルジャケットの選び方

編集部おすすめのハードシェルジャケット10着(2015-2016秋冬モデル)

まとめ

はじめに:ハードシェルの役割

まずハードシェルが冬のアウトドア・アクティビティには欠かせない理由を、他のシェルレイヤーと比較してみることで確認してみましょう。

シェルレイヤーの特徴比較まとめ

種類 ハードシェル レインウェア ソフトシェル
防水性 △(~◯)
透湿性(通気性) ◯(~◎) ◯(~◎)
防風性
耐久性
ストレッチ性 △(~◯)
重量
生地の質感 ザラザラ ツルツル しっとり滑らか
袖口 グローブを着用を前提としてかなり調整可能 多少は調整可能 多少は調整可能
フード ヘルメット着用可が多い ヘルメット着用不可が一般的 フード無しからヘルメット着用可まで多種多様
ベンチレーション 大きく開くものが多い 無いモデルが基本 有っても開口部が相対的に小さい
ジッパー フラップ式、止水ジッパーが基本 フラップ式、止水ジッパーが基本 防水性のジッパーではないモデルも
鼻まで覆う大きな襟
呼吸してもゴーグルが曇らないような工夫があるものも
あごが隠れる程度 あごが隠れる程度
スノースカート あるものが多い × 付属しているものはまれ

結論:厳しい冬山で少しでも安全・快適に過ごしたければハードシェルをもつべし

上の表から分るとおり、雪山にハードシェルが欠かせない理由を一言で言うと、最も過酷な積雪期の冬山で最高のパフォーマンスを発揮するために最新の技術が投入され、雨だけでなく風雪を含めたあらゆる天候に適応できるような防水・防風・耐久・通気・透湿性を備えているからです。その他、雪面滑落時の摩擦抵抗を高めたり撥水性能を高めるために、生地は他と比べるとザラッとした質感になります。また袖・脇・襟・裾等に雪の中で快適に使用するためのさまざまな細かい機能や工夫が凝らされています。とはいえ、場所と季節と目的によってはアウターとして最低限、防水・防風性能を備えている(わりと生地のしっかりした)レインウェアでも十分だったりもしますのでそこは自己責任で。またたとえばパタゴニアの KnifeRidge Jacket のような透湿性と防水性を両立させた伸縮素材のシェルであれば、十分にハードシェル的な使い方もできそうです。

ちなみに、ハードシェルまでは必要ないけど、比較的丈夫なレインウェアでいきたいという方にはこちらの記事もおすすめです。

ハードシェルジャケットの選び方

素材で選ぶ:やはりゴアテックス(プロシェル)が鉄板

最近では防水透湿素材はゴアテックス以外にもたくさん出てきました。有名どころの特徴をかいつまんで紹介すると、同じ ePTFE というフッ素樹脂ベースでありながら透湿性能でゴアを凌ぐ eVent 、マウンテンハードウェア独自の防水透湿技術 ドライQエリート、最近話題の、しなやかな着心地と防水・通気透湿性能を両立した POLARTEC NeoShell など。今までちょっと手が出難い価格帯のゴアテックス以外に、同性能(を謳っている)の選択肢は確かに増えましたが、でも何だかんだ言ってゴアテックスの最高性能ラインである GORE-TEX PRO は性能・丈夫さからくる安心感がぜんぜん違います(高い買い物だけにこの安心感は超重要)。着心地や透湿性などの他の部分をフィーチャーしたいという願望が特になければ、プロシェルはすげぇす、やっぱり。もちろん、プロシェルじゃない方のゴアテックスも、ピッケルを必要としないような冬の低山登山やスノーシューハイキングなど、状況次第では全然ありだと思います。

着心地・重量・形で選ぶ:実際に着てみた感じが重要

ぼくがプロシェルで唯一気に入っていないのが堅牢さ故のゴワゴワした着心地。それが理由でハードシェルに動きやすさを付加したアイテムや NeoShell のウェアという選択肢も十分あり得ると思います。ところが同じプロシェルでも生地に使われている糸の太さで質感が違ってくるため、そのゴワゴワ感が少ないモデルが重量も軽いし、そこまでハードなシチュエーションでは使用しないし、かなりぼくにとってはちょうどいいラインだということが分りました。お店の人の話によると、プロシェルで使用できる糸は最も細くて40デニール(デニールは太さの単位)らしいので、40デニールのプロシェルで作られたウェアがゴアテックス・プロシェルのなかで最もしなやかな着心地になります。一般的に40デニールのプロシェルよりも80デニールのプロシェルの方が厚く重たい反面、耐久性が高くできているといえますが、ここで注意したいのが、細い糸であれば弱いのかというとそうでもないらしく、細くても密に編めば強度は上がるし、重量も上がるし、ということらしいです。その辺の密度までなってしまうと、そこまで公表しているメーカーは少ないので、これ以上は実際に使用してみるしかないのでしょうか。

ハードシェルのフォルムですが、大きく「アルパインクライミング」志向と「山スキー(バックカントリースキー)」志向で微妙な違いがあります。

  • アルパインクライミング志向・・・上半身の動きやすさ重視で細身のフォルムで、ハーネスなどの登攀具を付けても不自由ないポケットのレイアウト。
  • 山スキー志向・・・スキーウェアほどではないにしてもややゆったりめ(中により厚手の防寒着を着込めるように)で、パウダースノーで滑降しても雪が入りにくい工夫。

ぼくは登攀系の冬山やアイスクライミングはやらないし山スキーをやるので、どっちかというと山スキー志向の方を選びたい。もちろんそんなにはっきりと区別されていないことも多いですし、細身のシルエットもかっこいいのでここはどちらかでなければ絶対だめというほどではないです。

機能で選ぶ:細かい工夫の違いをチェック

  • ジッパー・・・完全防水がいいが、なおかつ片手で開け閉めできるような軽いものの方が好き。その点、止水ジッパーは開け閉めが重いモデルもちらほら見かけるので要注意。
  • ポケット・・・数は多い方がいいが、レイアウト、大きさも重要。また胸や腕の高さにあるポケットや内ポケットなど細かい気配りがあるかどうかを見ます。
  • フード・・・ヘルメットの上から被れるように大きめのつくりになっていますが、この大きさもメーカーによっては千差万別。個人的にはあまりに大きすぎるのは好きじゃないです。
  • スノースカート・・・バックカントリーなどスキーで使うならある方が望ましいけど、なくてもそこまで酷いことになったことはありません。
  • ベンチレーション・・・開閉部は大きいほど調節の幅が広がり便利。
  • あご(襟)・・・口と襟の空間の作り方、曇らない工夫などがあるとなお良し!

編集部おすすめのハードシェルジャケット10着(2015-2016秋冬モデル)

2015-2016秋冬の新作、リニューアルをチェックしたなかから、編集部がこれは!と思う注目モデルをご紹介します。また、軽くてしなやか、通気性抜群のゴアテックス最新素材の「C-KNIT」を採用したハードシェル特集(2015/10/28更新)ではここでのおすすめ以外に今年注目のハードシェルについて紹介していますのでよかったらこちらも参考にしてください。※価格は参考、2015年12月現在のものです。

また、下で紹介しているハードシェルの一部は比較テストも行っていますので、そちらもよかったら参考に。

Arc’teryx Alpha SV Jacket

アークテリクスの「究極の防水性と耐久性」を備えた N80p-X GORE-TEX Pro を全面に使用したフラッグシップモデル。ここまで堅牢に作られているにもかかわらず、立体裁断された縫製によって、激しい動きでもハードシェルにありがちなゴワつきは気にならず着心地も抜群です。開けやすいジッパーをはじめとした細かい機能を含めてほんとに欠点が見当たりません。

HAGLOFS ROC HIGH II JACKET

試着してまずその着心地の良さにびっくり。よく見ると、動きやすいところにはゴアテックス・プロシェル40Dという細い素材を、強度が重視される部分には70Dの太い素材を使用し、着心地と耐久性、それでいて極力軽量化を実現させています。そして何といっても個人的には色・スタイルが最高です。ゴーグルが曇りにくく工夫された空気孔付きのインナープラケットなど機能的にも完成度高し。昨年モデルでも高評価でしたが、2015年モデルでは背中周りも40D生地になるなどマッピングに若干改良が加えられているようです。

NORRONA falketind Gore-Tex Jacket

独自の技術による唯一無二のクオリティを提供する、ノルウェーの本格アウトドアウェアメーカーによる最新ハードシェルは、独自に開発されたブラッシュ加工の GORE-TEX 3レイヤーファブリック interlock backer 素材を採用。GORE-TEX C-KNIT などで最近大流行中の「着心地は軽くてしなやか、そして通気性抜群にもかかわらず、冬のアウトドアにもしっかり適応する耐久性」という特性をしっかり押さえつつ、北欧ならではのスタイリッシュなデザインという味付けも加わったスグレモノです。

MAMMUT WHYMPER JACKET

元々登攀用具の制作からスタートし、現在では老舗総合アウトドアメーカーとして確固たる名声を得ているマムートのウェアは基本どれも本格アルパイン志向。過酷な環境を想定したウェアでは興味深いモデルが多く、今回のハードシェルも良いものがたくさんあって迷いました。そんななかで選んだのはクライミングも縦走もスキーもどれもそつなくこなせるオールマイティかつ高機能なこちら。GORE-TEX PRO でありながら軽量、スリムすぎず、ごわつかずちょうどいいシルエットが好感触。

BLACK DIAMOND フロントポイントシェル

クライマーのためのブランドが作るハードシェルは、積雪期に必要な機能を凝縮しながら、より動きやすく、より軽くを実現させた、ミニマリストのためのハードシェル。昨年はより軽量なシャープエンドシェルの方をおすすめしましたが、数十グラムしか違わず、何よりカラーリングが素晴らしいこちらのフラッグシップモデルを今年はおすすめ。

Patagonia Refugitive Jacket

パタゴニアでは元々、Super Alpine Jacket という優れたGORE-TEX PRO のハードシェルがありましたが、今年は新登場したコイツが本当にスゴイ。最新素材 GORE-TEX C-KNIT を採用したジャケットは衝撃的に軽く、しなやか。元々従来よりも薄く軽量化が可能になっただけでなく、さらに生地の厚みを部分的に調整することで極限まで軽量化を進めた結果です。さらに2つのハンドポケット、胸ポケット、2つの内ポケットと豊富な収納は、小物の多い冬でも十分。ピットジップもしっかり付いて、通気の調整もバッチリ。

Rab Neo Alpine Jacket

最新素材をいち早く採用し、毎年革新的な製品で業界をリードするラブの Polartec NeoShell 採用ハードシェル。薄くて軽くてストレッチが入った生地は相変わらず動きやすく、さらに抜群の透湿性も健在。雪や風の侵入を防ぎやすい袖の縫製や大きく開くチェストポケットにまで、限られた機能で最大限に使いやすくというシンプルかつミニマルな思想が徹底されています。

THE NORTH FACE FUSEONE RTG Jacket

比較的王道な作りのアイテムが多いノースフェイスで、試着した瞬間今年一感動したのがこのジャケット。シェル部分には独自の透湿防水素材ハイベントを用い、縫い合わせること無くい素材を組み合わせる最新のガーメントテクノロジーが、軽くてしなやかで自然な着心地を可能にしています。前身頃と背中には薄く断熱素材のプリマロフトを封入されているので、薄くて寒すぎ?という不安も解消してくれます。バックカントリー向けに着脱式のスノースカートが装備されているのもありがたい。

Westcomb SWITCH LT HOODY

昨年に引き続き、最新の Polartec NeoShell を採用したモデルの中から、総合的にバランスのとれたこちらをおすすめ。必要最低限の防風・耐久撥水性能に、抜群の動きやすさと透湿性をもった NeoShell は、ゴワゴワして中が濡れやすいこれまでのハードシェルの常識を覆す素晴らしいクオリティであることは昨年のテストで実感。ところがこのネオシェル、世界の中でも日本での販売が伸び悩んでいるという声も聞いています(ブランド好きの日本人気質?まだまだGORE-TEXばかり売れているらしい)。個人的には日数短く、厳冬期の深い山以外ならば大抵の場合、ネオシェルの方がちょうどいいと思うのですが、情報が少ないからかなかなか上手くいかないものです。

Mountain Hardwear セラクションジャケット

世界的に有名なアイスクライマーであるティム・エメットと共同開発したというアイスクライミングに最適化されたモデル。ここで採用されている独自素材ドライQエリートは確かな耐久性だけでなく、高い通気性もそなえ、ハードでアクティブなウィンタースポーツには最適。さらに脇や頭などの動く部分ではストレッチパネルをマッピングし、着てみてびっくりの動きやすさです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。なるべく客観的な指標でピックアップするように心がけたつもりですが、見た目や実際に着たときの印象も少なからず基準に含まれてしまっているので、あくまでもこういうチョイスもあるのだな、位に考えてください。感触としてはスペック:主観が7:3ぐらいです。また実際にはまだまだ候補はたくさんあり、10着に絞るのも大変だったのですが、同じような機能・価格で着心地や色のバリエーションなどが違うだけアイテムはなかなか文章では伝えにくいところもあり、やむなく削っているものもあったりします。悩みは尽きませんが、みなさんのギア選びの参考になれば幸いです。それでは素晴らしい冬のアウトドアをお過ごしください!

2015/2/6追記 おすすめハードシェルから3着をピックアップして、比較テストしました

便利なスタッフサックの選び方とイチオシの10選

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旅慣れた人はみんな知っている、スタッフサックの上手な使い方

その人が熟練した旅人かどうかを知るのに最良の方法は、バックパックの美しさを見ること-。これはあくまでも持論ですが、あながち大きく間違ってはいないと思っています。

凹みや歪みがまったく見られないフォルム、上品な張りをたたえた表面、余計な外付けギアもなく、スッキリとした外観。かつてぼくがすれ違った、シンプルで美しいバックパック姿の彼らは例外なく旅慣れた、もしくは山慣れた健脚たちでした。

理由はさまざまあるかもしれませんが、ひとつ間違いないのは、彼らが安全で快適な旅にとってのパッキングの重要性を知っているということ。最小限のスペースに最大限の容量を詰めること、バックパック内にズレが生じるような空間を作らないこと、最適な重量配分にすることで少しでも歩きやすく疲れにくくなること、それらひとつひとつが単なる外見のためでなく、安全な旅のために大切な、そして一朝一夕には身につかない技術であり、旅の達人たちはさまざまなシチュエーションでのパッキング経験を通じてそれらを自然と身につけていったといえます。

そんな旅や登山にとって大切なパッキングに欠かせないギアが、今回紹介するスタッフサックです。手早く、美しいパッキングができる人たちは例外なくスタッフサックを効果的に使っています。そこで今回は、最近かなり機能的で便利になったこれらのギアを掘り下げ、さまざまな種類や細かい違いや使い方のコツ、おすすめモデルなどを紹介していきます。

目次

はじめに:パッキングの基本とコツとスタッフサック

チェックポイント1:防水か、そうでないか

チェックポイント2:素材・形状・サイズ

おすすめ:編集部イチオシのスタッフサック3選

番外編:特定の使い方に特化した便利なスタッフサックあれこれ

はじめに:パッキングの基本とコツとスタッフサック

冒頭でも書いたとおり、よいパッキングとは決して見栄えのためにあるわけではなく、本質的には「安全で、手際よく、歩きやすく、疲れにくい」登山のために必要な技術のひとつです。では安全で、歩きやすく、疲れにくいパッキングには何が必要か。基本的なポイントを以下の4つにまとめます。

  • バックパックのなかに、必要以上にかさばらないように圧縮して収納する
  • その時々で必要なものがすぐに持ち出せるように荷物を仕分け、適所に配置する
  • 歩行を妨げないよう重量バランスを左右均等に、そして重心が身体の近く上方にくるように収納する
  • 濡れてはいけないもの、衝撃に弱いものなど、何らかの保護が必要なものにはそれに適した素材で保護する

こうしたことをより簡単に、そしてより便利にしてくれるのがスタッフサックというわけですが、基本的な機能は荷物を小分けするための道具なので、一般によくあるポリ袋で十分ではないかという方もいるかもしれません。正直言って、ポリ袋での代用は可能、20年前はぼくもそうでした。ただし、下記の比較表のとおり、いろいろな点を長い目で見るとやはりスタッフサックの利便性にはかないません

項目 ポリ袋 スタッフサック
イメージ

手つきゴミ袋 20~25L 半透明 20枚入 HI-24手つきゴミ袋 20~25L 半透明 20枚入 HI-24

GRANITE GEAR(グラナイトギア) エアバッグ#2 カラー:アソート SサイズGRANITE GEAR(グラナイトギア) エアバッグ#2 カラー:アソート Sサイズ

メリット
  • 価格が安い
  • 丈夫で長持ち
  • 開け閉めが簡単
  • パッキングしやすい形状
  • 色や容量のバリエーションが豊富で仕分けやすい
  • 枕にもなる
デメリット
  • すぐに破れる、穴が空く
  • 何が入っているか分かりにくい
  • 開け閉めが面倒
  • 使い捨てなのでゴミが出る
  • 価格が高い

安全で美しいパッキングのためのTips

  • より安全で、手際よく、歩きやすく、疲れにくい登山のためにはスタッフサックが有用。
  • パッキングの際、重心は肩から背中の身体に近づけることが理想。軽くてかさばるものは底の方に入れ、重いものは上方の身体近くに詰める。
  • できる限り重量を左右均等にしながら詰める。
  • 頻繁に使うものは出しやすい場所(天蓋のポケットやサイド・ヒップベルトポケットや肩掛けポーチなど)に入れる。

チェックポイント1:防水か、そうでないか

それでは早速スタッフサック選びのポイントを見ていきます。まず考えるべきは、濡れてはいけない荷物には完全防水機能のあるドライサックが役に立つということ。ドライサックの入口は、写真左のように入口をクルクルと巻き込んで最後にストラップでロックするというロールトップ型の形状をしています。もちろん、袋自体の生地も防水生地で、縫い目にはシームテープなど水没しても水が浸入しないようにできていますので、絶対に濡らしてはならないものはこの袋を使うのが鉄則です。

なお、このドライサックはバックパックと同じサイズくらいの大容量パックもあり、それをこれらの小分けと併用すると、それぞれの防水+荷物全体の防水効果により、より厳しい防水パッキングをする必要がある場合(例えば沢登りとか)にはとても効果的です。

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ドライサック(左)は完全防水だが部品の分だけ重く、かさばる。一方巾着型のスタッフサックは防水性は劣るもののシンプルで軽量な分使い勝手がよい。

安全で美しいパッキングのためのTips

  • 衣類やシュラフ、ダウンウェアなど、絶対に濡らしたくないものは防水スタッフサックで厳重にパッキング
  • ドライサックは相対的に重くてかさばり高価なので、通常のハイキングであればすべてのギアをドライサックに入れる必要は無く、適材適所で使うのがおすすめ。

チェックポイント2:素材・形状・サイズ

スタッフサックに使用される素材は、昔からあるナイロンの裏地に防水素材を貼り付けたものから、現在ではシルナイロンという、ナイロンにシリコンを染み込ませた薄くて軽量かつ強度もそれなりにある素材が登場し、主流になりつつあります。その分高価ですが、使い勝手は抜群です。

DSC01900

左2つはナイロン製、右の3つがシルナイロン製。近年どんどん薄く軽くなって、中身が見えるという便利さも加わり使い勝手は抜群。

スタッフサックの形状は隠れた重要ポイント。これまで多くのスタッフサックは底が円形で、いわゆる円柱状が主流でしたが、バックパックの形状を考えると実はゆるい長方形の方が上手く収納しやすい場合も多く、そこに着目した形のモデルが近年多く見られるようになりました。

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スタッフサックの底の形状。左が真円、中がやや円い長方形、右はほぼ長方形に近い。パッキングのしやすさでは右の長方形がいい感じ。

スタッフサックには大小さまざまなサイズが用意されており、当然のことながら内容に応じてムダの無いサイズを選ぶことが大切です。ここで悩ましいのは、どこまで小分けにするかという問題。確かに小分けすればそれだけパッキングの柔軟性は上がりますが、あまりに小分けしすぎると袋の重量もバカにならず、またかえってどこに何を入れたか分からなくなるので小分け過ぎには注意が必要です。一方で節約のためあまりに大きな袋にまとめて収納するのもスペースに無駄ができ、あまり筋が良いとは言えません。経験上の目安としては、最も使いやすい大きさは4L~10L程度の幅でいくつかもっているのが便利かなと思います。何事も自分なりのバランスを見つけることが重要です。

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左から2L、4L、8L、10Lのスタッフサック。大きすぎるのは重くてかさばるので、大は小を兼ねないと思っていた方が良い。

安全で美しいパッキングのためのTips

  • 特別な耐久性を必要としないなら、軽くて薄くて中身が見える、シルナイロン素材がおすすめ
  • パッキングがしやすい、ゆるい長方形のスタッフサックがおすすめ
  • スタッフサックの小分け過ぎ、大きくまとめすぎに注意。テント泊でもメインの収納には4L~10L程度を3~5個程度でまとめるのがよい

おすすめ:編集部イチオシのスタッフサック3選

【巾着型スタッフサック】EXPED Cord Drybag UL

15D の極薄ナイロンの最軽量クラスであるばかりでなく、裏地の PU コーティングと縫い目のシームテープによって収納口以外の部分では完全防水のスグレモノ。開け閉めしやすい独自仕様のドローコードもニクい。サイズバリエーションはいくつかありますが、形状にもバリエーションがあればさらに良いのですが。

【ドライサック】SEA TO SUMMIT ウルトラSIL ナノ ドライサック / OSPREY ULドライサック

SEA TO SUMMIT ウルトラSIL ナノ ドライサックは 15D の極薄・超軽量、滑らかで中身が透けて見えるので収納も便利で使い勝手が群を抜いています。一方?OSPREY ULドライサックは、他にはない長方形の形状でパッキングとの相性抜群なうえに、衣類を詰めればテントの中で枕的な使い方も可能です。

SEA TO SUMMIT ウルトラSIL ナノ ドライサック OSPREY ULドライサック
SEA TO SUMMIT(シートゥサミット) ウルトラSIL ナノ ドライサック 8L オレンジ 1700297amazon_buttonrakuten_search_button3 OSPREY(オスプレー) ULドライサック 6 OS58603 シャドーグレーamazon_buttonrakuten_search_button3

番外編:特定の使い方に特化した便利なスタッフサックあれこれ

ここからは番外編として、ベーシックなスタッフサックとは一線を画した、特定の用途に特化した便利なスタッフサックを紹介していきます。

中身が見えるスタッフサック

見ての通り、一部がビニール状で中身が確認しやすくなっています。食材やキッチンセットなど、雑多なものを入れておくときに便利かも。

コンプレッションサック

衣類やシュラフなどは厚みや膨らみがあるので、荷物がどうしてもかさばってしまうことがよくあります。コンプレッションサックはそうしたかさばる荷物をドローコードで締めつけることによって圧縮し、サイズを小さくできるスタッフサックです(写真)。こうしたスタッフサックには単なる圧縮機能だけでなく、入口がロールトップ型になった完全防水圧縮タイプもあり、特にダウンシュラフなどの濡れたくない、そして大変かさばるアイテムには重宝します。

DSC01905

ちなみに、あまり圧縮しすぎてガチガチに硬くすると、かえって柔軟性を欠き、スペースに収まりにくくなるので、圧縮は適度な弾力を持たせる程度にするのが賢いパッキングのコツです。

EVAフォーム入りスタッフサック

こちらはカメラなどの精密機械を保護するためのクッションの役割を果たすEVA クローズドセルフォームのインナーがセットになった防水スタッフサック。下の写真(EXPED?CRUSH DRYBAG XS/3D)はミラーレス一眼カメラがちょうど入る程度の大きさですが、これ以上の大きさが探しても見当たらないのが残念。

DSC01910

ペアー型スタッフサック

これはユニーク。真ん中で区切られた左右両方向に口が付いており、はじめは片方の袋に衣類を入れて、着終わったら片方の袋に放り込んでいくような便利な使い分けができるというアイデアバッグです。もちろん普通に両方にものを入れて使うこともできます。

防水透湿底のスタッフサック

スタッフサックの底部が eVent などの防水透湿素材でできているため、水は通さない代わりに空気を通してくれます。通常の防水バッグは密閉度が高いため、閉める際に上手く空気を抜かないと、パッキングの際に残った内部の空気が邪魔になるという欠点がありました。しかしこの”空気が抜ける”防水スタッフサックによって、防水機能を保ちながら、そうしたパッキングし難さが解消されました。唯一の欠点は、高機能なだけに価格も相当なこと。

DSC01914

救急用ドライバッグ

いざというときに裁縫セットが錆びていたり、薬類がグシャグシャに濡れて使い物にならないなんてことがないように、エマージェンシーキットの防水は意外と重要。ただその割には防水機能付きのエマージェンシー袋はなかなかないのが現実だったりするので、これは重宝します。細かいポケットなどが付いていて中で整理もしやすく、このカテゴリでは写真のドイターファーストエイドキットドライが一番のお気に入りです。

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枕になるスタッフサック

最後は今回一番の変わり種サック。テント泊などでわざわざ専用の枕をもっていく人ははっきりいって少数派でしょう。ぼくも最近までは長方形のスタッフサックを枕代わりにしているのですが、どうしても滑りやすくて寝心地はそこそこ。やはり枕はあった方が間違いなく快適です。どうにかして荷物を増やさずに快適な枕を持って行けないか・・・という悩みを見事に解決してくれるのが、スタッフサックの片側面が肌触りの良いフリース地になっているその名も「ドリームサックピロー」。若干の出オチ感も漂いますが、あったらあったで以外と愛着が湧いてしまうのもこの手のアイテムの良いところですよね。

【2015年更新版】失敗しないインサレーションウェア選びのための質問3つとおすすめの15着

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冬のアウトドアウェアのなかでも、防寒・保温(断熱)の役割を担うのがインサレーションウェアと呼ばれるジャケット。主に中間着としてインナーに着るものから、防風・防水機能も備えたアウターにもなるものまでそのバリエーションはさまざまです。

ここでは多くの候補のなかから自分にとってベストな1着をどうやって選んだらよいかを、3つのシンプルな質問の形でご紹介します。後半では編集部のおすすめインサレーションウェアをご紹介していきますので、すぐにおすすめが知りたい方は以下の目次から直接ジャンプしちゃってください

目次

はじめに:軽くて暖かければそれでOK、では終わらない

ベスト・インサレーション選びのために考えるべき3つの質問

編集部おすすめインサレーションウェア(2015-2016秋冬モデル)~ダウン・ハイブリッド編~

編集部おすすめインサレーションウェア(2015-2016秋冬モデル)~化繊編~

まとめ

はじめに:軽くて暖かければそれでOK、では終わらない

はじめにインサレーション(ウェア)という名前についてですが、「遮断する」という意味の “insulate” に由来し、文字通り外の冷たい空気と体表面の暖かい空気との間を遮断して熱を逃がさないようにする、主として保温が目的のミドルレイヤーウェア。表地の下に中綿が混入されているものがほとんどで、まぁ平たく言えば防寒着ですね。ちなみにインシュレーションとも呼んだりもするようです。ちなみにフリースも防寒のできるミドルレイヤーではありますが、一般的にはこちらよりも保温力が低く嵩張るため、単体ではインサレーションの方が冬の防寒具としてはより適していると言われています。

次に”最適なインサレーションウェア”とは何かという問題ですが、実はこれが思ったよりもはるかに複雑で悩ましい問題。理由を端的にいうと、冬のアウトドアではアクティビティの種類によって「暖かい」にプラスしてさまざまな機能や特性が求められ、それに従ってとにかく多種多様な防寒着がリリースされているからです。

冬のアウトドアといっても雪原のハイキングやスノーシューから、冬山縦走、アイスクライミング、ゲレンデスキー、クロスカントリー、バックカントリー、スノートレランまで、季節や場所を含めれば非常に多岐にわたるアクティビティがあり、当然それぞれに求められる特徴は少しずつ違ってきます。このため「これさえ買っておけば冬は間違いない」という決定版は未だ存在していないのが現状です。

ベスト・インサレーション選びのために考えるべき3つの質問

ということで無数にある選択肢の中から自分にとってベストなアイテムを選ぶ、あるいは現状の装備で十分だと判断するためには、選ぶ側でどんな基準をもっている必要があるのか。さまざまな情報ソースと経験とを照らし合わせた結果、自分にとってベストなインサレーションを選ぶ時に考えるポイントは以下の3つに整理できることが分かりました。

1:行動中にも着る(可能性がある)のかどうか

P2150251まず考えるべきはインサレーションを行動中にも着る可能性があるかどうかです。もし行動中にも着られるようにという汎用性を少しでも考えているのであれば、悪いことは言いませんのでダウンジャケットはやめた方がいいでしょう。ダウンは極端に濡れに弱いので、万が一濡れてしまったときや、汗で湿ってしまった時でさえ、その性能がダダ下がりしますので、使い物になりません。冬で防寒具が役に立たなくなればそれは即、死を意味しますので、正直ぼくらのようなシロウトには危険きわまりないです。

そのような理由から、ダウンは「基本的には」不要だと思ってます。ただ一方で、それでもダウンが大活躍する場面がないわけではない、とぼくは思います。それは「小屋・テントなどで誰よりも快適に過ごしたい」場合と、「スキーでの滑降時など、発汗が少なく風を受けるような運動時」です。ダウンはその軽さと、軽さに比した保温力(ふかふかした着心地)で言えば最強ですので、それを活かさない手はありません。メインの防寒着としてはインサレーションを持っている、そしてどうせ1つ荷物を増やしたところで100gちょっと、大した影響はない、と考えてみてください。1日ラッセルしてどっと疲れた後、テントに入ってから少しでも快適に過ごせたらそれは極上の幸せ。あるいは汗まみれで頂上まで登りつめ、ちょっと休憩して冷えた身体をダウンで保温しながら快適に滑れたら、最高じゃないですか。そんな理由から、ぼくはフリースや化繊インサレーションに、プラス1枚の保温着としてのダウンは相当便利だと思っています。

その他、最近では Marmot Complete QUIX DOWN Jacket のような表面やダウン自体の撥水性が強化された、濡れに強いダウンというものも出てきています。まだ価格も高く、純粋なダウンよりは保温性能などは落ちるようなので何ともいえませんが、どうしてもダウンにこだわりたい場合にはそうした選択肢も検討してもいいかもしれません。

 

2:アウターとしても着たいのかどうか

二つ目は、インサレーションに付加されている機能をどこまで割り切れるかという問題。最近ではダウンも化繊も、単純な保温機能ではなく、弱点を補ったり、より多様なシーンで汎用的に使える製品がたくさん出ています。当然多機能であるに越したことはないのですが、それによって本当に必要な機能が削られたり、高価格で手が届きにくくなってしまっていては本末転倒です。そんなとき、ぼくが考えた方がいいと思っているのは、「アウターとしても使いたいのかどうか」ということ。たとえばMONTANE の ICE GUID JACKETPatagonia の DAS Parka などは、インサレーションであると同時にアウターとして十分な機能(防風性・耐久性・防水性・十分な保温力)を備えてしまっているので、ミドルレイヤーを探している場合には選択肢からは外れます。もちろんこれは優れているとか劣っているという問題ではないので、アウターとして着られる1枚を探しているのであれば逆にこちらの方がマッチする可能性は十分にあるわけです。

大切なのは最低限、中に着ようと思っているのに防風性・耐久性とか、外に着るものを持っていかないつもりなのに防風性のない製品とか、そんなちぐはぐな選択をしないようにすること。でも最近ではアウター用・ミドルレイヤー用とハッキリ分かれいているケースは少なく、どちらの機能も万遍なく備えているモデルも意外と多いため、判断が難しいのも事実です。今のぼくの目安としては、カタログなどで「アウターとしても使える」と謳っている程度までは、大体においてアウターとしてハードに使えるほどではないことが多いので、それらはミドルレイヤーとして考えていますが、実際のところはやはり使ってみないと分らないのがもどかしいところです。

3:どれくらいの寒さで着ることを想定するのか

ダウンか、化繊か、必要な機能はどれかをきめたら、最後に考えるのは「どれくらいの嵩(かさ)が必要か」です。ダウンや化繊のジャケットは、その中綿の嵩(厚み)において大まかにヘビーウェイト・ミドルウェイト・ライトウェイトの3段階くらいに分かれます。一日中重い荷物でガンガン歩くようなケースでヘビーウェイトは暑すぎますし、雪原をカメラ片手にぶらぶら歩く程度でライトウェイトでは心許ないでしょう。また、そこが新潟なのか、北海道なのか、1月なのか3月なのかによっても最適解は違います。端的に言うと「どのくらい寒いところで、どのくらい動くのか」ということが、どの程度のウェイトを選ぶかにとって大切です。個人的には、日本で使用するミドルレイヤーとしてなら(外側に透湿防風防水ジャケットを着る前提で)ライトウェイトクラスが最も守備範囲が広く使えると思います(足りない場合は他の手持ちのウェアをやりくりしたりできますし)。また冬山まで使える1着をということでも、ミドルウェイトクラスで十分なんじゃないかと思います(年末年始のアルプスや八ヶ岳などを経験したことはありますが、厳冬期の北海道などの極限条件を経験したことはないので、サンプルとしては十分とは言えないかもしれませんが)。

補足:フードありかなしか

これについては主観の部分が大きくなりがちなので、あくまでもぼくの場合の話ですが、インサレーションとしては間違いなくフードありを選びます。確かに中に着るものにまでフードがあるのは邪魔だし、ちょっとだけ値段も高いし、という人もいるかもしれません。でもその煩わしさ等を考慮しても、それ以上ににフードありは首回りという特に寒気を感じやすいところが保温でき、非常に助かります。もちろんハッキリした信念で不要だという人もいるかもしれません。でも迷うのであれば間違いなくフードはありを選ぶと損はないかと思います。

編集部のおすすめインサレーションウェア(2015-2016秋冬モデル) ~ダウン・ハイブリッド編~

ここからは編集部が選んだおすすめインサレーションウェアをいくつかご紹介します。ダウン・化繊・ハイブリッドとバラエティ豊富なため、絞りきれずに15着になってしまったのはご愛敬。ピックアップの大まかな基準を以下に挙げていますが、基本的には「これは欲しい!」と思わせたかどうかという直感がどうしても強く出てしまうのはご了承ください・・・。 ※価格は2015年12月現在、重量は参考までに。

  1. 日本(本州)の気候で冬場にオールラウンドなアクティビティに使う
  2. インナーで着る(アウターにハードシェルやレインウェアを羽織る)
  3. 価格は大体5万円程度まで

Arc’teryx Cerium LT Hoody

保温性★★★ 快適性★★★ 重量★★★ 耐候性★☆☆ 透湿性★★☆ スタイル★★★

多くの優秀なバリエーションをもつアークテリクスのなかでも完成度の高さで総合的に頭1つ抜きんでた逸品。潤沢なダウンによる高い保温性と、汗抜けが必要な部分にマッピングされたオリジナル化繊(Coreloft)による透湿性。軽量かつスタイリッシュなデザインも見逃せません。

Rab Continuum Hoodie

保温性★★★ 快適性★★★ 重量★★★ 耐候性★☆☆ 透湿性★☆☆ スタイル★★★

NIKWAX 社の耐久撥水加工が施された850Fill のヨーロッパ産グースダウンは、多少の雪や水分であれば濡れることなく保温性をキープ。恐ろしく快適でスタイリッシュな外観の裏に最先端の技術が隠されています。

Mountain Hardwear Hooded Ghost Whisperer

保温性★★☆ 快適性★★★ 重量★★★ 耐候性★☆☆ 透湿性★☆☆ スタイル★★★

超軽量ダウンの中で抜きんでた保温性能(800Fill)と、撥水処理を施した独自技術(Qシールドダウン)によるちょっとした濡れに対する安心感。スタイリッシュなデザインにも満足。

MILLET DOME DU GOUTER WR H-DOWN JK

保温性★★★ 快適性★★★ 重量★★★ 耐候性★☆☆ 透湿性★☆☆ スタイル★★★

アウターにも十分使える嵩高と、中綿に仕込まれたアルミニウム薄層が熱の損失を最小化する高機能ダウンは、保温性抜群かつ耐久撥水仕様。さらに特筆すべきは脇下のベンチレーションが適度な通気性を実現するので、厳冬期から秋冬ハイキングの防寒具まで幅広く活躍可能。

Black Diamond Hot Forge Hybrid Hoody

保温性★★☆ 快適性★★☆ 重量★★☆ 耐候性★★☆ 透湿性★★☆ スタイル★★★

身頃部分に軽くて保温性の高い PRIMALOFT GOLD INSULATION DOWN BLEND、肩・袖・フードに通気性と濡れの強さをもったPRIMALOFT GOLD INSULATIONをマッピング。さらに動きやすさを考えた細身のシルエットや調節式フードは、まさにクライマーのためのブランドらしい機動性抜群のハイブリッドインサレーションウェアです。

Marmot Megawatt Jacket

保温性★★★ 快適性★★☆ 重量★☆☆ 耐候性★★☆ 透湿性★★☆ スタイル★☆☆

身頃部分には高性能撥水ダウン(800Fill Power Goose down DEFENDER)、片・袖・フードには高い通気性の化繊綿(Polartec Alpha)と、スマートなコンセプトのもと、高品質な素材をふんだんに使用。雪の侵入を防ぐカフゲイターがアウターとしても大活躍。唯一重さがやや気になるところ。

THE NORTH FACE FUSEFORM Light Heat Jacket

保温性★★★ 快適性★★☆ 重量★★★ 耐候性★☆☆ 透湿性★☆☆ スタイル★★★

ノースフェイス(ゴールドウィン)の最新テクノロジーが盛り込まれた2015年モデル。表地と裏地を点で止めることで中わたの偏りを抑える「ドットバッフル」仕様は攻めたデザインもさることながら、さらなる着心地・保温性アップ、軽量化に成功。中綿には保温性と耐候性のバランスがいいPRIMALOFT GOLD INSULATION DOWN BLENDを採用。

編集部のおすすめインサレーションウェア(2015-2016秋冬モデル) ~化繊編~

Arc’teryx Atom AR フーディ

保温性★★☆ 快適性★★☆ 重量★★☆ 耐候性★★★ 透湿性★★☆ スタイル★☆☆

ダウンの保温力と化繊の機能性を併せもった万能断熱素材 Coreloft を使用したアークテリクスの定番化繊インサレーション。極寒のなか激しい活動で汗をかく冬山に求められる機能をすべて満たした安心の一枚です。

MONTANE FIREBALL JACKET

保温性★★☆ 快適性★★☆ 重量★★★ 耐候性★★★ 透湿性★★★ スタイル★☆☆

個人的に、昨シーズン堂々スタメンを張った超軽量インシュレーション・ジャケット。軽くて薄い PRIMALOFT SILVER ECO の適度な保温力と軽量・コンパクトさ。そして表地に採用された PERTEX Quantum Rip-stop の高い速乾性・防水性・耐久撥水性で、冬のどんな状況にも対応できる使い勝手の良さが今年も抜きん出ています。

Rab Nimbus Jacket

保温性★★☆ 快適性★★☆ 重量★★☆ 耐候性★★★ 透湿性★★☆ スタイル★★☆

冬のオールラウンドなアクティビティに対応した汎用性、3M社の最新化繊 Cirrus による高い保温性・耐候性、そして相変わらずのスタイリッシュなフォルムと渋い色味で思わず手が伸びる、2015年最新モデル。

Patagonia Nano Air Hoody

保温性★★☆ 快適性★★★ 重量★★★ 耐候性★☆☆ 透湿性★★★ スタイル★★☆

昨シーズン大ブレイクの高い保温性と通期性、着心地とストレッチ性を両立した画期的インサレーションは今年も大人気。今シーズンはカラーバリエーションも増えてより選びやすくなりました。

Patagonia NANO PUFF HOODY

保温性★☆☆ 快適性★★☆ 重量★★★ 耐候性★★☆ 透湿性★★☆ スタイル★★☆

パタゴニアで使い勝手のよいインサレーションといえば、ナノエアーの前にはこのナノパフがありました。秋口にはアウターとしても使える防風性と耐水性、本格的な冬シーズンには行動中のインナーとしてちょうどよい保温力を備えています。

mont-bell U.L.サーマラップ パーカ

保温性★☆☆ 快適性★☆☆ 重量★★★ 耐候性★☆☆ 透湿性★★★ スタイル★☆☆

モンベル独自の中綿素材、エクセロフトを採用した化繊インサレーションは冬の(インナー)行動着としては非常に優秀。じんわり暖かさは維持しつつ、とにかく軽くて動きやすく、通期性抜群で、もちろん濡れにも強い。今期モデルでカラーリングも一新されてより垢抜け、そして何よりこの手ごろな価格は1枚もっておきたくなる逸品です。

OUTDOOR RESEARCH CATHODE HOODED JACKET

保温性★☆☆ 快適性★☆☆ 重量★★★ 耐候性★★☆ 透湿性★★★ スタイル★☆☆

同じく冬の行動着というコンセプトでの米国からの回答は、2014年 Outside Magazine 誌年間大賞受賞ウェア。中綿には保温性の高い化繊 PRIMALOFT GOLD INSULATION、ストレッチ部分にはソフトシェル生地を採用し、運動性・保温性・耐候性への対応は万全。

THE NORTH FACE Redpoint Light Hoodie 

保温性★★☆ 快適性★★☆ 重量★★★ 耐候性★★☆ 透湿性★★☆ スタイル★★☆

多くの化繊中綿はどうしても保温に大切な厚みを得ることが難しいなか、ノースフェイスとプリマロフトが共同開発した「サーモボール」は、球状の特殊な形状によって超軽量かつ濡れても十分なロフトを確保できるスグレモノ。

まとめ

インサレーション(防寒着)を選ぶにあたって考えておいた方がいい3点と、おすすめの15着についてまとめまてみました。当然ですがアウトドアのギア選びでは、人やシーンによって最適なチョイスはそれぞれ違います。今回ご紹介した基準を各人に当てはめたとしても、それぞれ答えは少しずつ違うはず。でもその多様性こそがアウトドアの楽しみであり醍醐味。その意味で今回の記事が、みなさんのこだわりの1着を見つける足がかりになってもらえると嬉しいです。

【はじめての雪山】冬の低山ハイキング装備のベストチョイスを考える【随時更新】

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これからの時期、関東以北の山々や、2,000mを超える高山の多くは完全に雪で覆われてしまいます。一方で都市近郊の低山では、時期や年にもよりますが稜線近くを除けば本格的な積雪はそれほど頻繁ではありません。この時期の低山ハイキングは、最も手軽に雪山を楽しめ、これから雪山に挑戦したいという人がはじめて雪の付いた山を歩くのにはちょうどいい難易度です。

このサイトでは以前、夏山日帰り登山の夢の装備リストを公開しましたが、今回はその冬版。冬の低山日帰りハイキングにバックパックに詰め込むべき持ち物リストと、編集部が選んだそれぞれのギアについてのベストチョイスをご紹介していきます。例によって、このサイトでまだ比較レビューが完了していないギアもたくさんありますので、それらについては完了次第、随時更新していきます。

なお念のためですが、この持ち物リストおよびそれぞれのチョイスはあくまでも編集部の独自の取材に基づいた見解です。掲載されている情報の内容の完全性、正確性、安全性についてはいかなる保証もできませんので、最終的には自己責任でご判断ください。また、低山といえども冬山は夏と違って特別な知識と、適切な技術・経験・体力が必要な世界です。くれぐれも油断のないように、最初は経験者に同行して経験を積むのはもちろんのこと、しっかりとした準備と計画の上でチャレンジしましょう。

理想のギア・リストをつくるにあたって

今回の持ち物リストで想定している時期と行き先は、例えば1~3月の東京近郊(奥多摩、丹沢、奥秩父の一部など)の山々。積雪があるといっても膝や腰まで埋まって進めないという量でもなく、タイミングが合えば稜線付近でしっかりとした雪景色が望めそうな日帰りコースを想定しています。もちろんその年の降雪量や、直近の天候によってまったく様相は変わってきますし、当事者の経験や体力、また同行者のレベルや人数などによって難易度や必要な装備は微妙に異なりますので、あくまでも一般的な基準として参考にしてください。

DSC04572

2015年3月の奥多摩、鷹ノ巣山。イメージとしては写真のように埋まらない程度の積雪が続いているようなコース。

持ち物リストは、それぞれのカテゴリで以下の2種類の基準でもってチョイスしてみました。

  • ベスト・・・価格を考えずにどれか一つ選んだ場合のチョイス。いつかは欲しい。
  •  リーズナブル・・・費用は抑えつつも、十分使えるチョイス。まずはここから。

持ち物リスト

※以下のリスト内のテキストリンクをクリックすると各項目にジャンプします。

種類 ウェア 道具
必ず持っていく
  • 薬、キズ薬
  • 日焼け止め
  • ライター・マッチ
  • 携帯電話・スマートフォン
  • ロールペーパー
  • 行動食
  • 非常食
  • ビニール袋
  • 予備靴ひも(細引き)
  • 時計
  • ガムテープ
  • エマージェンシーシート
  • ツェルト
状況に応じて持っていく
  • カメラ
  • ラジオ
  • ホイッスル
  • 洗面用具
  • 裁縫セット
  • ポケットウェットティッシュ
その他
  • 油性ペン
  • 身分証明書
  • 保険証
  • 登山計画書

必ず持っていく「ウェア編」

ベースレイヤー(トップス・ボトムス)

何をおいても高い保温力が大前提という意味で、冬のベースレイヤーにはメリノウールが最適。その上で、着心地や通気性なども高いレベルで備わったパタゴニアの最新モデルをおすすめ。他にもたくさんおすすめはありますが、詳しくはこちらのメリノウール比較特集を参考に

ベスト(トップス) リーズナブル(トップス)
Patagonia Merino Air Crew mont-bell スーパーメリノウール L.W.ラウンドネックシャツ
marinoaircrew 公式オンラインストアで詳細を見る (モンベル)mont-bell スーパーメリノウール L.W.ラウンドネックシャツ Men\\\'s 1107263 BK ブラック L amazon_buttonrakuten_search_button3

その他おすすめ:SmartWool NTSマイクロ150パターンクルーIcebreaker オアシス LS ストライプ クルー

ベスト(ボトムス) リーズナブル(ボトムス)
Patagonia Merino Air Bottoms mont-bell スーパーメリノウール L.W.タイツ
marinoairpant 公式オンラインストアで詳細を見る (モンベル)mont-bell スーパーメリノウール L.W. タイツ Men\'s 1107267 BK ブラック M amazon_buttonrakuten_search_button3

ミドルレイヤー

ベースレイヤーとアウターの間に着る1枚。基本は身体の熱を逃がさず(断熱)、保温することが目的ですが、おすすめはそれに加えて体表面から汗を効率的に外に逃がし、常に快適な状態を保ってくれるという、最新の化繊を用いたインサレーションウェア。おそらくハイクアップ中はベースレイヤーとアウターだけでも十分暑くなっていると思いますので、状況によってはこれを防寒着としても十分である場合が多いですが、人によってはさらにもう1枚防寒着を追加しておくのもアリです。

ベスト リーズナブル
Montane Fireball Jacket mont-bell U.L.サーマラップ パーカ
モンテイン ファイヤーボール ジャケット メンズ(Montane Fireball Jacke… rakuten_button (モンベル)mont-bell U.L.サーマラップ パーカ (男女兼用) 1101436 BK ブラック L amazon_buttonrakuten_search_button3

シェルレイヤー(アウター)

外の冷気を完全にシャットアウトする、厚手の防水透湿・耐久撥水素材(ex.ゴアテックス プロ)のジャケット。低山であれば極地仕様のゴツいモデルよりも、軽快で動きやすいモデルの方が適しています。

ベスト リーズナブル
Patagonia Refugitive Jacket OUTDOOR RESEARCH FURIO JACKET
パタゴニア ジャケット メンズ/男性用 83615 (UWTB)メンズ レフュジティブ ジャケ…rakuten_button OUTDOOR RESEARCH(アウトドアリサーチ) メンズ フーリオジャケット 55163 レモングラス/ホップス S amazon_buttonrakuten_search_button3

その他おすすめ:Westcomb SWITCH LT HOODY

トレッキングパンツ

雪が前提であればジャケットと同じゴアテックスのハードシェルパンツがおすすめですが、今回のケースではややオーバースペック。必要十分な防水防風機能をそなえ、なおかつ適度な通気性とストレッチの効いたソフトシェル素材が良いでしょう。なおこの場合豪雨には耐えられませんので、一緒に雨具のパンツを持っていくと、万が一の雨でも安心です。

ベスト リーズナブル
Arc’teryx PSIPHON AR パンツ mont-bell クリフパンツ
(アークテリクス) Arc\'teryx メンズ ボトムス カジュアルパンツ Psiphon AR Pant 並行輸入品 amazon_buttonrakuten_search_button3 モンベル クリフパンツ メンズ ダークチャコール(DKCH) M amazon_buttonrakuten_search_button3

登山靴(暫定)

冬用登山靴は夏山用途は多くの点で異なり、併用することは考えず、雪山用のブーツを用意しなければなりません。本格的な厳冬期の縦走モデルからアイスクライミング向けモデルとさまざまな種類がありますが、まずこの段階であれば雪山入門的な位置付けの冬山用トレッキングシューズで選ぶとよいでしょう。ベストには汎用性の高い人気モデルを暫定で選出しました。なお当然のことながら、登山靴は最終的には自分の足に合っているものが最良ですので、必ず試着することをおすすめします(詳しくはこちらで解説しています)。

ベスト リーズナブル
LA SPORTIVA NEPAL EVO GORE-TEX LA SPORTIVA YETI GORE-TEX
SPORTIVA(スポルティバ) ネパール エボ GTX 41 amazon_buttonrakuten_search_button3 SPORTIVA(スポルティバ) イエティ GTX JP 12A 44 amazon_buttonrakuten_search_button3

ソックス

厚手であればあるほど安心ですが、できればフィット感やグリップ性の高いものがいい。ということで、夏同様おすすめはスマートウールの PhD。冬の低山ならまだこのクラスでも十分いけます。

ベスト リーズナブル
SmartWool PhD Outdoor Heavy Crew Socks THE NORTH FACE コンフォート トレッキング 3レイヤー ヘビーウエイト
smartwool(スマートウール) PhD Outdoor ヘビークルー SW71078 チェスナット M amazon_buttonrakuten_search_button3 ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE) コンフォート トレッキング 3 レイヤー ヘビーウエイト NN81404 R レッド S amazon_buttonrakuten_search_button3

帽子

夏は好みの部分もありましたが、冬のニット帽は必須アイテム。ものはウールでも化繊でもフリースでも、デザインで選んでとりあえずOK。稜線の風対策に目出し帽やネックゲイターもできれば揃えたい。

スノーグローブ

保温力の調整ができ、乾きやすいなど使い勝手の良さから、インナーとアウターが分かれたセパレートタイプがおすすめ。よりなじみやすいのは5本指ですが、実は慣れてしまえば3本指もより暖かく、捨てたものではありません。

ベスト リーズナブル
MILLET K 3 IN 1 GTX GLOVE Black Diamond ソロイスト
MILLET(ミレー)K 3/1 GTX GLOVE MIV4827 0247 NOIR M MIV4827 amazon_buttonrakuten_search_button3 BLACK DIAMOND(ブラックダイヤモンド) ソロイスト 2013 M ブラック amazon_buttonrakuten_search_button3

インナーグローブ

暖かさを足したい場合、メインのインナーが濡れてしまったり紛失した場合など、万が一に備えて薄手のインナー手袋は複数持っていくようにします(極力アウターグローブも予備をもっていく)。

ベスト リーズナブル
MILLET WARM STRECH TREK GLOVE mont-bell メリノウール インナーグローブ
(ミレー)Millet WARM STRECH TREK GLOVE MIV01360 CASTELROCK M amazon_buttonrakuten_search_button3 モンベル メリノウール インナーグローブ BK/M amazon_buttonrakuten_search_button3

タオル・着替え

冬こそ下山後の温泉が最もありがたい季節。行動中の汗拭きに、下山後のタオルにもなる汎用的なアウトドアタオルが便利です。

ベスト リーズナブル
PackTowl personal L  
PackTowl(パックタオル)personal Size:L -INDIGO- amazon_buttonrakuten_search_button3 日常使用しているタオルで代用

状況に応じて持っていく「ウェア編」

追加防寒着

中間着だけでは足りないくらいの寒さが予想される、または寒がりで辛い思いをしたくないという場合にはコンパクトで防寒性能の高いダウンなどのインサレーション(断熱)ウェアを1つザックに忍ばせておきましょう。ウェアのサイズや特徴によって、インナーで着る、アウターの上から羽織るなど、TPOに合わせて使ってください。

ベスト リーズナブル
Arc’teryx Cerium LT mont-bell EXライトダウンジャケット
ARC\'TERYX(アークテリクス)Cerium LT Jacket Men\'s Admiral S 13239 amazon_buttonrakuten_search_button3 (モンベル)mont-bell EXライト ダウンジャケット Men\'s 1101474 GM ガンメタル M amazon_buttonrakuten_search_button3

ゲイター(スパッツ)

靴とパンツの隙間を完全にシャットアウトし、パンツのダブつきをなくすゲイターは、深雪・アイゼン歩行でその真価を発揮します。冬の低山ではなくても困らないことの方が多いのが実際ですが、実は日中に融雪した道を歩くときの泥避けにもなったりするので、あればあったで何かと便利です。

ベスト リーズナブル
OUTDOOR RESEARCH エクスペディション クロコゲイター mont-bell GORE-TEX アルパインスパッツ
(アウトドアリサーチ)OUTDOOR RESEARCH Expedition Crocodiles Chili/Black Lサイズ amazon_buttonrakuten_search_button3 (モンベル)mont-bell GORE-TEX アルパイン スパッツ 1129427 UMR ウルトラマリン S amazon_buttonrakuten_search_button3

目出し帽(バラクラバ)・ネックウォーマー

樹林帯ではなんてことは無かった寒さも、稜線の強い風に当たると辛さは一変します。そんなとき、顔や首周りの風の侵入を防ぐこれらはウェアを1枚羽織るよりもはるかに効果的。小さいにもかかわらず非常に有効な防寒具です。ところで余談ですがいつから「バラクラバ」なんて言いにくい名前が浸透したのでしょうか・・・?

目出し帽 ネックウォーマー
THE NORTH FACE エクスペディションバラクラバ THE NORTH FACE マイクロストレッチロングネックゲイター

公式オンラインストアで詳細を見る

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必ず持っていく「道具編」

バックパック・パックカバー(暫定)

基本的には夏に使用しているもので大丈夫ですが、荷物が多くなるので日帰りでも40L以上は欲しいところ。また背面がメッシュ地のバックパックでは背中の風通しの良さが逆に仇となるため、やめた方がいいでしょう。

ベスト リーズナブル
OSPREY Variant 37/52 mont-bell グラナイトパック 40
OSPREY(オスプレー) バリアント52 L ギャラクティカブラック amazon_buttonrakuten_search_button3 mont-bell(モンベル) グラナイトパック 40/RUST 1223349 [0018_… rakuten_button

トレッキングポール(暫定)

冬の足場は滑りやすく、万が一の深雪に備えてポールかピッケルは必携。急斜面や氷、暴風などが少ない冬の低山であれば、経験上ポールの方が使いやすくておすすめ。冬専用のポールもありますが、夏使用しているトレッキングポールに雪道用のスノーバスケットが取り替えられるモデルがオールシーズン使えて効率的です。

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SINANO シナノ(トレイルランニング用ポール)トレランポール フォールダーFree 125(110-125cm) amazon_buttonrakuten_search_button3 BLACK DIAMOND(ブラックダイヤモンド) トレイル BD82328 amazon_buttonrakuten_search_button3

クランポン(アイゼン)

本格的な雪山では冬要登山靴とセットで12本爪アイゼンが必須ですが、状況によっては爪の本数の少ない簡易的なアイゼンでも問題ありません。そんなとき、昔は軽アイゼンが主流でしたがぶっちゃけ歩きにくく、慣れが必要でした。今では高性能で取り付けが簡単なチェーンスパイクが非常に便利でおすすめ。なお、必ず下界で試し履きしてから持っていきましょう。

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サングラス・ゴーグル

冬~残雪の時期には雪に反射した日差しで目がやられます。気がついたら目が炎症を起こし(雪目)、酷いときには行動不能になってしまいますので、冬のサングラスは何をおいても必携の装備。できれば予備も持参しましょう。

水筒

冬は金属製よりもナルゲンボトルなどのプラスティック系の方がおすすめ。雪から水を作る際の使いやすさも考えると折りたためるウォーターキャリーではなくハードなモデルがちょうどよい(日帰りではそこまで気にする必要はありませんが)。

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断熱ボトル(暫定)

氷点下を軽く下回る気温のなか、休憩中に飲む温かい飲料は体力と体温の回復に、冬山では必須の装備。真空断熱ボトルがあれば、朝熱々の状態でポットに注げば、その後半日はもちます。容量は携帯性も考えて500ml程度がおすすめ。

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ナイフ・マルチツール

ナイフがあることが前提、後はプライヤー(ペンチ)があると修理に使える、さらにハサミがあると色々便利。現状ではちょっと小さいけどすべていけるレザーマンがベストか。

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クッカー

食器で食べるような食糧を持っていく場合にはもちろん、また緊急避難用に常備してもよいでしょう。チタンは熱伝導率が悪いので火の強さには注意が必要ですが、EPI ATSチタンクッカーは底部にアルミを吹き付けて熱伝導率を向上させており、軽さも使い勝手も良いとこどり。

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ストーブ・燃料(暫定)

火を起こせるかどうかがシビアな冬では火器も必携装備。温める食材を持っていく場合にはもちろん、また緊急避難用にも常備したいところです。冬は気温が低く燃料が気化しにくく、風が強いことがほとんどなので、低温や強風下でも安定した火力のウインドマスターは現在最強のストーブです。ちなみにガスカートリッジは必ず冬季用のハイパワータイプを持っていきましょう。

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カトラリー

食器で食べるような食糧を持っていく場合に。スプーン、フォーク、割り箸など何でも構いませんが、1本でスプーンもフォークもこなす「スポーク」という種類が比較的便利。でも底の深いクッカーに最適化された長さと収納性と食べやすさを両立させた最高のブキには未だ出会えていません。

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コンパス

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地図・コース資料

冬は夏道が雪に覆われて道が見えなくなることは日常茶飯事なので、読図の技術は必須。地図はガイドブックのような簡易なものではなく、詳細な地形が載った国土地理院の2.5万分の一地形図に磁北線を自分で書き入れてもっていくのが理想です。さらに、コースについての最新の記録やガイドがあればそれらのコピーをもっていくことで、より安全に行程を運ぶことができます。

ヘッドランプ(暫定)

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BlackDiamond(ブラックダイヤモンド) リボルト チタニウム BD81086 amazon_buttonrakuten_search_button3 モンベル(mont-bell) ヘッドランプ パワーヘッドランプ バーントオレンジ 1124586-BTOG amazon_buttonrakuten_search_button3

替え電池(モバイルバッテリー)

万が一のためにヘッドランプその他電子機器の替え電池は持っていきます。特に冬は寒さで驚くほど電池の消耗が早いため、夏での備え以上に持っていくようにしましょう。

切り傷・擦り傷、虫刺され、ねんざ等万が一の怪我に備えます。なおファーストエイドキットについてはこちらで解説しています。

日焼け止め

雪面の照り返しもキツい冬は紫外線が特に強く、UVカットのリップクリームも含めて日焼け止めは必携です。

ライター・マッチ

火器を使用する想定がある場合にはもちろん、あまり考えたくないですが万が一夜を明かさなければならなくなったときには火を起こすために必要です。

携帯電話・スマートフォン

最近では便利なアプリも出ていたりしますので、使うシーンも増えてきました。またキャリアによっては稜線上で繋がる場合もあるので、万が一の時、連絡がとれて助かったなんて話もあります。

ロールペーパー

トイレットペーパーを適量。トイレに使用したり、食器等を拭いたりします。

行動食

山行で食べる昼食、レーション(塩分・糖分などおやつ的な食糧)など、必要な分だけ持っていきます。山の中では数分の休み毎に細かく食糧をとっていくのがよいので、小分けにできるものがいいです。

非常食

ぼくの場合はカロリーメイトを常に1箱パックの中に入れてあります。

ビニール袋

ゴミ袋に、濡れた衣服にと、袋が必要になることは結構な割合でありますので何かと使えます。

予備靴ひも(細引き)

万が一靴ひもが切れたときのための備えとして。ぼくの場合、靴ひもではなく3mm×10mの細引きを常にパックの底に入れています。その方が汎用性が高く、靴ひもが切れたときの他テントやタープなどで張り綱が足りないとき、その他さまざまなシーンで活用できます。

時計

普段はスマホなどで確認できますが、万が一のときでも確認できるように何かしら時計は必ず持っておきたい。気圧計や高度計が付いているモデルはかなり便利。

ガムテープ

素材は布です。補修用に、絆創膏代わりに、食材などの袋ものを開けた後の蓋として、そして焚火の着火剤にもなるガムテープは万が一の時に大活躍してくれます。

エマージェンシーシート

被るだけで暖かくなる、緊急ビバーク用の保温シート。テントの下に敷くグランドシートにもなります。

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ツェルト(暫定)

とにかく冬は何か不測の事態が起こったときの危険度が夏の比ではなく、そのための備えは万全にしておくことが重要です。ビバーク(緊急避難的な露営)時に雨雪や外気をシャットアウトするツェルトは緊急時以外のちょっとした休憩時に風よけに使ったりもできます。個々人でもたなくても、共同装備としてパーティの人数分の容量を1つは持っておきたいです。

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状況に応じて持っていく「道具編」

ピッケル(ピッケルバンド・カバー)

そもそもピッケルをもっていかなければならない山域・コースは今回想定していませんが、万が一に備えて持っていく方がいいケースも。ただ、持っていくのであれば本番で使う前に使い方の練習は必ずしておくこと。

ワカン・スノーシュー

こちらもそもそも今回の想定外ですが、行ってみたら意外な積雪があって助かったというケースがあることも確か。ただこちらも事前に足に合わせ、使い方を習熟しておくことが大切です。

GPS(暫定)

紙の地図を持っていくのは前提ですが、より安全に、より素早く現在地を把握するのにGPSはやはり便利。特に雪山での安心感は半端ない。

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スタッフサック・防水袋

パッキングを楽に、便利に、そして安全にしてくれる登山用のスタッフサック。濡らしてはいけないものは完全防水サックに。

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折りたたみシート

雪の上に座ると地味に体温を奪われていくので、こうした断熱シートがあると何かと便利です。

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THERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット Z Seat Zシート レモン 30671 【日本正規品】amazon_button 直座りで我慢!

赤布・旗竿

冬山で最も危険な状況のひとつは、吹雪などで視界がなくなり(ホワイトアウト)、積雪によって来た道をかき消され、八方塞がりになることです。冬ではそんな状況はちょっとしたことですぐ起こるものだと考え、状況に応じて樹林帯では道に迷わないよう枝に赤布を巻き付けたり、稜線上では赤布を巻いた旗竿を立てるなどして目印をつけていきます(入山者も多い有名ルートではそれが不要なくらい赤テープや立て札が豊富なことも多いので、常時つけながら歩く必要があるわけではありません)。

カメラ

好みと体力に応じて。

ラジオ

普段はNHKの気象通報を聞いて天気図を書くために持っていきましたが、それ以外でも翌日以降の天気予報や、遭難したときの情報収集手段としても重宝します。日帰りハイキングや天気図をかけないのに無理して持っていっても無駄かもしれません。

ホイッスル

これもハイキング程度であればほぼ使うシーンはないと思いますが、山の中ではぐれたときなどに大きな音を出す必要が出た場合使うために、お守りとして持っています。ちなみに岩や沢登りでは滝・壁の上下で相手が見えない状態で合図する為に重宝します。

洗面用具

下山後の温泉関連、コンタクトレンズ関連など、シーンに合わせて必要なものを。

裁縫セット

万が一の時に補修ができるような最低限の糸・針・当て布があると安心。最悪無くても何とかできる臨機応変さも必要ですが。

ポケットウェットティッシュ

山は水が貴重ですから、さっと拭けるものがあると嬉しい。コンタクトを付けるときのお手拭きにも便利。

何を捨て、何をとるか?最適なスリーピングパッド(マット)の選び方とおすすめの3枚

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その最新モデルに10倍以上の金額的価値があるのか?それが問題。

スリーピングパッド(スリーピングマットとも。以後スリーピングパッドで統一)といえば忘れもしない、およそ20年前、学生の分際にもかかわらずなけなしのバイト代(1万弱)をはたいてGETした、サーマレストの自動膨張式スリーピングパッド。その当時のぼくは正直、これで山では無敵の快眠ベッドを手に入れたと信じていました。が、しかし、その希望は数ヵ月後、無数のパンク跡と共に無残にも消えていきました。今考えればそりゃそうです、沢登りで、ゴロゴロした小石の上に敷いていた自分が悪かったのです・・・。

そもそもスリーピングパッドとは、テント泊のキャンプや登山で使う、シュラフの下にクッションとして敷くマットですが、下は1,000円程度のロールマットから、上は3万円以上もする超高級パッドまで幅広いモデルが幅広い価格帯に散らばっています。苦い経験を経たぼくにとっては、常々スリーピングパッドだけはそのラインナップと価格のあまりの開き具合に違和感を感じずにはいられませんでした。

高いものは確かに快適。だけどその快適さにはウラがあります。その情報を知らずして、むやみに高価なモデルに手を出すのは危険です。これから紹介するスリーピングパッドの選び方を参考に、覚悟と計算を考慮して、本当に自分に合ったパッド選びをしてもらえたらと思います。それでは早速みていきましょう。

pexels-photo-12057

目次

スリーピングパッドの役割

ポイント1:種類

ポイント2:温かさ

ポイント3:長さ・広さ(形)

ポイント4:重量・収納性

ポイント5:その他の機能・使い易さ

まとめと編集部のおすすめスリーピングパッド3選

スリーピングパッドの役割

何はともあれまずはじめに、スリーピングパッドが果たす2つの重要な役割について、あらためて整理します。

快適さ ~凸凹の地面でフラットな寝床を提供してくれる~

スリーピングパッドが提供してくれる快適さは四季を問わず、スリーピングパッドの最も基本的な役割です。だいたいにおいてテントを張る場所は、どんなに整地されていたとしても多少の小石や凸凹は免れず、テントのグランドシート程度では(シュラフに入ったとしても)気持ちの良いものではありません。スリーピングパッドの弾力素材や注入された空気の層は、そうした寝心地の悪さを忘れさせてくれるでしょう。各モデル毎、素材、表面の凹凸、弾力性、厚さなどさまざまな要素によって違いが生まれてきますが、どれが最も快適なのかという問題は、実際には主観による部分もあって判断が難しいところです。一般的な違いだけでなく、最終的には店頭などで実際に試してみることをおすすめします。

温かさ ~冷たい大地の上でも温々と寝られる~

夏のうちはあまり大きな問題にはならないのですが、スリーピングパッドのもうひとつの重要な役割は、冷えた地面と身体との間に断熱層をつくり、就寝時に体温を奪われないようにすることです。

寝ているとき、身体の一部分は地面に接しているわけですが、当然のことながら温度の違う2つの物質が接すると、熱は高い方から低い方へと逃げていきます。ここで意外なことに、その熱の伝わりやすさ(熱伝導率)は、接している物質が「土(0.52)」「0℃の空気(0.024)」では20倍以上もの差があります。つまり、何も敷かずに地面の上で寝るのと空気で膨らんだパッドを敷いて寝るのとでは、前者の方が20倍もの量の熱を失ってしまうのです。

これはたとえシュラフに入っていたとしても、シュラフの断熱素材は体重で押しつぶされてしまうため、地面の上に寝ているのと大して違いはありません(テントのグランドシートは言うに及ばず)。だからこそスリーピングパッドが提供してくれる「断熱層」が低温の大地で寝るときに無くてはならないものである理由です。

ポイント1:スリーピングパッドの種類

スリーピングパッドの役割と重要性が分かったところで、早速選び方のポイントをみていきましょう。スリーピングパッドには基本的な素材・構造的の異なる3つのタイプが存在し、それぞれメリット・デメリットがあります。スリーピングパッド選びはまずこの3つの特性を理解し、どのタイプを選ぶかというところからはじまります。

素材 クローズド・セル(独立気泡)パッド エアー(空気注入式)パッド セルフインフレーティング(半自動膨張)パッド
イメージ THERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット Z Lite Sol Zライト ソル シルバー/レモン R (51×183×厚さ2cm) R値2.6 30670 【日本正規品】THERMAREST Z Lite Sol Zライト ソル THERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット NeoAir Xlite ネオエアー Xライト マリーゴールド レギュラー(R) 【日本正規品】 30273THERMAREST NeoAir Xlite レギュラー(R) THERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット Prolite Plus プロライト プラス レギュラー(R) 【日本正規品】 30789THERMAREST Prolite Plus レギュラー(R)
構造 折りたたみ式・あるいはロール式の、最もクラシックで基本的なパッド。空気を含んだ微細なクローズド・セル・フォームによって構成されている。 チューブ状の気室に口から直接あるいはポンプから空気を注入し、膨らませることで断熱層とクッションを形成するパッド。より保温性を高めるため中に熱を反射する素材やダウンなどの中綿を封入してあるものも。現在最も進化が激しく、用途に応じてさまざまなバリエーションが選べるタイプ。 エアーパッドと違い、バルブを開けるとある程度まで自動的に内部のスポンジ状のオープン・セル・フォームが空気を吸引して膨張してくれる。サーマレスト社によって開発され、特許が消滅した現在では多くのメーカーが同じタイプのモデルをリリースしている。
メリット
  • 総じて軽量
  • 高い耐久性(パンクがない)
  • 価格が安い
  • 濡れの心配がない
  • 最も軽いモデルから、最も温かいモデルまで、バリエーションが豊富
  • 凹凸のある地面でも快適(空気の注入量によって調節可能)
  • エアーパッドに比べ、空気の注入作業が相対的に少なくて済む
  • 内部のウレタンフォームによる適度な弾力性
デメリット
  • 非常にかさばる
  • 相対的に快適性が低い
  • 自分で注入しないと使用できない
  • パンクのリスクがある(パンクしたらまったく使い物にならない)
  • 価格が高い
  • 内部のウレタンフォームの分、若干かさばり、重量がある
  • パンクのリスクがある(パンクしたらほとんど使い物にならない)
  • 価格が高い

選ぶときのポイント

  • はじめて購入する場合や、まだ最終的にどれにするか決め手を欠いている場合は、確かな性能、安価で丈夫なクローズド・セルがおすすめ。
  • 3シーズンの一般的な登山により快適なモデルを選ぶなら、バランスのよい(ミドルエンドクラスの)エアーパッド、もしくはセルフインフレーティングタイプ(好みで寝心地の良い方)がおすすめ。
    とことん軽量にこだわるなら
    極薄のクローズドセル(快適さを犠牲)か、軽量エアーパッド(価格と耐久性を犠牲)がおすすめ。
  • 保温性を最優先する場合は中綿入りのエアーパッドタイプから選ぶ。
  • 雪山をはじめとした寒冷地帯での利用では耐久性を何よりも優先し、クローズド・セルは必携、さらにその他エア式の併用がおすすめ。
  • オートキャンプなどで快適さを最優先させる場合には、極厚のセルフインフレーティングタイプ(例えばスノーピーク キャンピングマット2.5w)、あるいはキャンプ向けのエアーマットレス(例えばコールマン コンフォートエアーマットレス)などを検討。

ポイント2:温かさ

R値のチェック

温かさというというと、夏にはあまり気にする必要のない要素ですが、冬のテント泊でのあの恐ろしい、底冷えで眠れない夜を経験したことがある人ならばこの項目の重要性は誰よりも身に染みて分かるはず。ではいったいどのくらいの温かさがあれば十分なのか。それを判断するための第一歩がR値(R-VALUE)と呼ばれる数値です。

R値とは、端的にいうと、製品の”熱の伝わりにくさ”を数値化した、メーカー共通基準。この値が高いパッドほど熱が伝わりにくい=断熱性が高い、つまり温かいというわけです。現在のところ、各製品は1.0から小数点刻みで10.0あたりまで広範囲に細かく分布しており、より寒い季節・地域になればなるほどR値の高いモデルが有効になってきます。

では実際にどのくらいのR値でどの程度まで対応できるのか、使用する場所の気温と対応するR値の大まかな目安を表にまとめましたので参考にしてみてください。 ※実際の温かさは地面の状態やシュラフによっても大きく違ってきますので、あくまでも参考値です。

R値 適応する最低気温の目安 季節の目安
1以下 10℃ 真夏
1~2.5 0℃ 夏前後
2.5~4 -5℃ 3シーズン
4以上 -5℃以下 4シーズン

出典:facewest.co.uk

R値がない場合はどうする?

スリーピングマットのR値表示は、残念ながらまだ全てのメーカーが行っているわけではありません。そ現状ではこうした数値が公表されていない場合には自分で推測するしかないのですが、その際、保温性の高いスリーピングマットのセオリーをいくつか知っておくことで確実ではありませんが、より間違いのない判断ができるようになります。

  • 中身が同じならば、厚いマットほど温かく快適(ただし内部のつくりが違えば、同じ厚さでも温かさは変わってきます)。
DSC02101

スリーピングパッドの厚さの違いだけでは温かさは決まらない。厚さの違いはむしろ凸凹地面で寝たときの快適さへの影響が大きい。

  • インサレーション(ダウンや化繊綿等の断熱素材)がより多く封入されているほど温かい。
  • 内部に熱を反射する断熱シートがより多く挟み込まれているとほど温かい(なおかつインサレーション封入タイプよりも軽い)。
  • 厚みがない、または断熱素材が入っていない場合でも、2つのパッドを重ねて使用することで保温性と快適さは十二分に高めることができる(写真)。
DSC02097

個々のR値は高くなくても、重ねることによって低温下でも十分対応可能に。冬のテント内では迷うことなくこうしてきています。

ポイント3:長さ・幅(形)

長さ

近年ほとんどのメーカーでは、同じシリーズで2~3種類の長さを展開しています。スリーピングパッドはどうしてもかさばりがちですので、とにかく荷物の重量と嵩を切り詰めたい、就寝時には最低限の快適さが確保できればよいとすれば、スモールサイズがスマートな選択。この場合、パッドがカバーする範囲は肩から腰まで(120cm前後)、頭にはスタッフサックに衣類を詰めて枕にし、下半身は必要に応じてバックパックをシュラフの上から穿くなどし、ある程度防寒の足しにします。こうした工夫により最小限のサイズに切り詰めることで軽量化することができます。

とはいえこうした切り詰めは3シーズンまで。冬の寒さに耐えるにはどうしても全身をカバーするレギュラーサイズ(175cm前後)が必要でしょう。もちろん3シーズンでもそこまで荷物を切り詰める必要性がない、より快適な寝床を優先したい場合には、迷わず自分の身長に合ったサイズを選びましょう。個人的には、薄くても最低限全身をカバーする1枚は必要だというのが、今のところの結論です。

選ぶときのポイント

  • 通常は全身を覆う長さ(レギュラーサイズ)を選んで問題ないが、とことん軽量・コンパクトさを優先する場合はスモールサイズも可能。快適性と重量・携帯性はトレードオフの関係にある。

幅(形)

長さのところでも述べましたが、最低限の領域をカバーするという観点でいえば、パッドの形と広さは自分の肩幅と腰の重量がかかる部分が入っていればOKといえます。これを具体化したのが、写真のような幅51cm(20インチ)のマミー型や、加重がかかるポイント以外の部分をくり抜いたチューブ型です。余分な部分を極力そぎ落とし、軽量化を図りつつ、最低限の快適さを確保した幅と形状になります。

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 とはいえ、流石にここまでまったく余裕のないサイズでは寝返りも打ちづらく、時には傾斜のある場所で寝なければならないテントにおいて、狭くてズレやすいパッドから身体が外れないように寝るのも一苦労。より余裕をもった幅と形を選ぶならば、例えば幅はより広く64cm(25インチ)、形もより広くてテントへの収まりのよい長方形ということになるでしょう。ここでも快適性をとるか、軽量・コンパクト性をとるかというトレードオフの選択が必要です。

選ぶときのポイント

  • 少しでも軽量化を考えるのであればマミー型、あるいはチューブ型などの形状を選ぶ
  • パッドの安定性と、寝返りの打ちやすさを考えるとより幅広で、長方形(あるいはそれに近い形)がおすすめ。

ポイント4:重量・収納性

スリーピングパッドの重量は軽いに越したことはありませんが、だからといって「軽い=正義」とはいかないのがパッド選びの難しいところ。一般的には軽ければ軽いほど保温性や快適性・耐久性は下がる傾向にあります。また内蔵しているポンプなどによって重量が増えいているというケースもあるので、単純な重さの比較は禁物。重量の内訳を理解し、何を優先するかを考えて選ぶことが重要です。

収納性に関しても同様で、単純に「小さい=正義」ではありません。下の写真を見るまでもなく、クローズド・セルタイプのパッドは他のタイプと比べて文句なくかさばるのは確かですが、決してパンクしない耐久性の高さと十分な保温力、そして相対的に手頃な価格は決して侮れません。

DSC02091

クローズド・セルとそれ以外では、収納性の違いは一目瞭然。一方エアーパッドとセルフインフレーティングではあまり違いはない。

選ぶときのポイント

  • 軽量・コンパクトなスリーピングパッドを選ぶときには、それによって何が失われているのか、いないのかに注意する。

ポイント5:その他の機能・使い易さ

空気の入れやすさ・抜きやすさ

クローズド・セル以外のタイプでは、パッドに空気を注入しなければ断熱力はほとんど得ることはできません。この空気の注入作業が個人的には地味に面倒で、何とかこの作業が楽なモデルは無いものかいまだに彷徨い続けているのが現状です。

確かに、セルフインフレーティングタイプはバルブを開けることで自動的に空気が充満していってくれるという点で最も簡単に空気を注入できるといわれています。しかし、実際には数分待っても膨らむ量はそこそこ。時間が何よりも大切な登山では、結局大部分の空気を口から吹き込んでいる自分がいます。その意味では、このタイプにエアーパッドタイプと比較してそれほどのアドバンテージを感じてはいないのも事実です。

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最近では空気を大量に注入できる大きな口や、吹き込んだ空気が逃げていかない一方通行のバルブも登場し、どんどん使いやすくなってきている。

ここでスピーディに、かつ簡単に注入できる方法として注目したいのが、最近サーマレストやエクスペドなどがオプション(あるいは付属品)として提供するようになった、スタッフサックにもなるエア注入ポンプの存在です。これによって注入スピードは倍以上、呼気による余計な湿気なども入ることなし。まだまだ新しいイノベーションが期待される領域として、これからも大注目です。

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サーマレストは底部にビニール状の穴が空いたスタッフサックをバルブに装着し、袋を巻き上げながら空気を注入する方法。1度で大量の空気が注入できる。

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シートゥーサミットでは蛇腹のようなスタッフサックをバルブに装着し、伸縮を繰り返すことによって空気を注入する方法がおもしろい。1度に注入できる量は少ないが、狭いところでも操作しやすくスマート。

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ニーモのコズモエアーシリーズは足側に内蔵されたポンプを踏んで空気を注入する機構を採用。ただ、足で踏むスペースが必要なうえ、注入量も多くないため思ったよりも手間がかかる。

表面(・裏面)

タイプの違いは大きく3つしかありませんが、表面の構造は千差万別。実際に比較してみると、なるほど各モデルで寝心地は大きく異なり、その差は眠りの質に少なからず影響を与えるものだと実感しています。神経質な人はもちろん、そうでない人も、スリーピングパッドの表面の形状は実際に横になるなどしてチェックしておくべきでしょう。また、裏面に滑り止め加工を施すなど細かい点が行き届いているモデルにも要注目です。

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昔は縦に長いチューブでしかなかったエアの形状も、横長やV字チューブ、セル状と進化していった。クローズド・セルタイプも今ではさまざまな凹凸形状から選ぶことができる。

まとめと編集部のおすすめスリーピングパッド3選

冒頭からお伝えしているとおり、スリーピングパッドは他のギアに比べて特に「どんな機能を優先するか」という選択基準が厳しく求められる(間違ったときの金額的なリスク含め)わりと面倒なギアです。現状では残念ながら軽くて・コンパクトで・温かくて・快適で・丈夫で・安いというパーフェクトなモデルはまったくといっていいほど望めませんが、最後に、編集部的に「これを選んでおけば損はしない」と言える、各タイプでのおすすめモデルをご紹介して終わりたいと思います。より詳細なおすすめ、レビューは比較テストレポートでお伝えしようと思いますので、乞うご期待ください。

クローズド・セルタイプのおすすめ: THERMAREST RidgeRest SoLite

軽くて温かい(R値2.8)、価格も抑えめなロールマットは誰もが安心して選択できる信頼性の高い1枚。唯一かさばるのが難点ですが、軽量化にこだわりたい場合には自分の身長や好みに合わせて大胆にカットして使えるという自由度の高さも素敵です。

エアーパッドタイプのおすすめ: THERMAREST NeoAir XTherm

その断熱性の高さ(R値5.7)は他のパッドと比較して明らかに違いが分かるほど。一言でいうと、他のパッドが温度を「逃がさない」のに対し、このパッドは「発熱している」感覚。その上軽量・コンパクト、さらに注入スタッフサックも付属していて、価格相応の価値はあると実感。

セルフインフレーティングタイプのおすすめ: NEMO ZOR 20R

多くのメーカーから製品が乱立し、ひと頃に比べればドングリの背比べ状態になりつつある自動膨張式ですが、このモデルはそのなかでも「軽量化」というテーマにフォーカスした製品づくりで際立っています。同タイプのなかで一際軽く、コンパクトながらも快適さ・保温性のバランスも確保。軽さと快適性、両方捨てられないハイカーにとってのどストライク。

世界のアウトドアメディアが選ぶ2015年ベスト・アウトドア・ギアまとめ

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新年あけましておめでとうございます!アウトドアの世界にとって、1月はもう来シーズンの新製品が全世界に向けて続々とお披露目されていく季節。ウィンタースポーツも真っ盛りで、お正月気分でいられる時間はほんの一瞬です。

世界中から素晴らしい山道具をピックアップし、紹介している Outdoor Gearzine の2016年第1回目は、今シーズンのアウトドア・ギア・シーンを振り返る意味も込めて、恒例のまとめ企画。アメリカ・イギリスをはじめとした世界の有力アウトドア・メディアで昨年末までに公開された、2015年ベスト・アウトドア・ギア特集の中から、注目のアイテムを一気にまとめて45アイテム!(被りあり)ご紹介します。

※春夏・秋冬の2期に分けて発表しているBACKPACKER誌、Outside誌、National Geographic 誌に関しては秋冬版のベストからピックアップしています。

BACKPACKER:Editor’s Choice Snow

ウェア・シューズ

Patagonia Dual Aspect Hoodie

Arc’teryx Zeta LT Jacket

バックパック

Mountain Hardwear Ozonic 65 OutDry Pack

スノースポーツ

Giro Range Helmet

キャンピング・ギア

UCO Titan Stormproof Match Kit

参照元: BACKPACKER

Outside:2015 Winter Gear of the Year

ウェア・シューズ

The North Face Fuse Brigandine

Salomon S-Lab Fellcross 3

Patagonia Nano-Air Hoody

バックパック

Deuter Pace 36

OSPREY KODE 32L

スノースポーツ

SCARPA F1 EVO manual

参照元: Outside

GEAR INSTITUTE:BEST IN CLASS 2015

ウェア・シューズ

RAB MUZTAG JACKET

LOWA HUDSON GTX MID

SALEWA MOUNTAIN TRAINER L

バックパック

OSPREY ATMOS 65 AG

キャンピング・ギア

JETBOIL MINIMO

BIG AGNES RATTLESNAKE SL2 MTNGLO

参照元:GEAR INSTITUTE

GEAR JUNKIE:‘Top Gear’ Of The Year 2015

ウェア・シューズ

Patagonia Merino Air

KEEN UNEEK Sandal

バックパック

OSPREY ATMOS 65 AG

キャンピング・ギア

Big Agnes mtnGLO Collection Tents

Sea To Summit Comfort Plus

参照元:GEAR JUNKIE

GEAR PATROL:The 100 Best Products of the Year

ウェア・シューズ

Berghaus BAFFIN ISLAND JACKET

Patagonia Merino Air

ADIDAS TERREX ULTIMATE BOOST CH

バックパック

OSPREY ATMOS 65 AG

キャンピング・ギア

BIG AGNES MTNGLO TENTS

SEA TO SUMMIT X-POT

LEATHERMAN SIGNAL

NEMO SONIC DOWN SLEEPING BAG

BIOLITE NANOGRID

参照元:GEAR PATROL

Outdoors Magic:Gear Of The Year 2015

ウェア・シューズ

The North Face Summit L5 Jacket

Rab Flashpoint Jacket

Berghaus VapourLight HyperTherm Hoody

Arc’teryx Bora 2 Mid GTX Boot

Salomon X Alp Mtn GTX Boot

バックパック

Boreas Muirwoods 30

OSPREY ATMOS 65 AG

キャンピング・ギア

THERMAREST NeoAir XTherm

thumbs up Panoramic Pod

参照元:Outdoors Magic

National Geographic:Gear of the Year: Fall/Winter 2015

ウェア・シューズ

Black Diamond Mission Pro Pants

Hoka One One Tor Ultra Hi Waterproof Boot

スノースポーツ

Arc’teryx Lithic Glove

Giro Range

キャンピング・ギア

Sony Alpha 7R II

参照元:National Geographic


【速報】Outdoor Retailer Winter Market 2016 で気になった最新ギアまとめ

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未体験の新しいテクノロジー、見たことのない斬新なデザイン

毎年1月にアメリカ、ユタ州の州都ソルトレイクシティで行われる全米最大のアウトドア用品見本市『Outdoor Retailer Winter Market(以下、OR)』が今年も盛大に開催されました!

毎年夏と冬の2回行われ、昨年の夏には念願かなって取材することができたこのイベントでは、世界中から大小1,000を超えるアウトドアメーカーが集結し、来シーズンを見越した新製品たちがぞくぞくとデビューする舞台となっています。早速 YouTube にはダウンタウンにあるメイン会場とは別の、気軽に試着・試乗できるデモ会場の様子を伝える動画が早速アップされていました。

そこで今回は、昨年のOR Winterでもお伝えしましたが、イベントで初披露された未来のアウトドア・ギアのなかから編集部的に見逃せない注目アイテムをピックアップしてまとめてみたいと思います。

アパレル編

Black Diamond Helio Shell

ブラックダイヤモンドからは、昨年新登場の GORE-TEX 新素材、ゴアC-KNITを採用した同社最軽量(370g)ハードシェルジャケットが登場。

HelioShell

Millet Trilogy Synthesis Down Hoodie

ミレーのエクスペディションライン「トリロジー」から、来秋冬にリリースされる最新インサレーションは、継ぎ目の無いバッフル(気室)を可能にする同社の新技術「Synthesis」を採り入れたことで、よりかるく、より暖かく、そしてより強く進化した意欲作。

TrilogySynthesisHoodie

Patagonia Stretch Nano Storm Jacket

パタゴニアの新アウタージャケットは、ここ数年の話題をさらった中間着のニューウェーブ「ナノ・エアー・ジャケット」にも採用されている通気ストレッチ断熱素材「フルレンジ・ストレッチ・インサレーション」を中綿に配置した防水透湿ハードシェル。冬期のクライミング中のビレイジャケットとして想定されています。

StretchNanoStormJacket

Arc’teryx Alpha SV

アークテリクスのハードシェルのなかでも最も堅牢かつ運動性の高いフラッグシップモデルとしておなじみの Alpha SV が、来期さらに軽量かつ堅牢になってリニューアル。

AlphaSV

シューズ編

LaSportiva Trango TRK Leather GTX

個人的に大好きなスポルティバからまたも超期待大の新作が登場。ハードトレッキングやアルパインクライミングに対応する「トランゴ」シリーズに、アンナプルナサーキットからアパラチアントレイルといった長距離ハイキング・トレッキングに耐えうる快適ハイキングブーツが新たにラインナップ。

TrangoTRKLeatherGTX

The North Face Ultra MT Winter

Saucony Razor ICE+

Gearjunkieのベストにも選出された、高グリップ・保温性抜群のウィンターランニングシューズ。

バックパック編

Osprey Kamber / Kresta

オスプレー初の本格バックカントリー用バックパックは、雪崩エアバッグシステムを搭載可能にし、スキーやポール・ヘルメット・スノーショベルなどのアタッチメント、防水ポケットなどバックカントリーでの使用に最適化。22・42リットルのバリエーション。

kamber22

Bergans of Norway Helium Pro

2015年のOR Summer でもレポートした、日本では入手困難なベルガンスのバックパック Helium シリーズに新しくアルパイン仕様のラインが追加。経験豊富なガイドの協力を得て作られたというバックパックはアタッチメント類の利便性の高さもさることながら、北欧らしいデザインの良さもあって非常に気になります。

HeliumPro

ウィンターギア編

Arc’teryx Procline Carbon Boot

昨年ハイキングシューズに初進出したばかりのアークテリクスが何とスキーツアーブーツにも進出。まるでプラスチックブーツかのような、スキーブーツとしては極端にシンプルなバックルと甲の作りなど、相変わらずぶっ飛んだルックスでワクワクがとまりません。

ProclineCarbonBoot

Fischer Travers Carbon Lite

ついに出た、片足1kgを切るツアーブーツ。近年流行の兆しを見せるBoa開閉システムや、前後80°の可動域など、最新鋭の技術と機能が集約。

TraversCarbonLite

BCA Shaxe Tech

写真を見ての通り、スノーショベルにもなり、そしてピッケルにもなるユニークなスノーショベル。かなりの軽量化・コンパクト化が可能に。

Shaxe

Pieps Micro Beacon

最近の主流となりつつある、受信感度の高いトリプルアンテナを搭載したモデルのなかでも最小・最軽量となる雪崩ビーコン。

MircoBeacon

Black Diamond Helio Fixed-Length Ski Pole

255グラムという前代未聞の軽量化を実現した、ブラックダイヤモンドの新しいカーボン製スキーポール。イメージとしては左右それぞれがiPhone6と同じ位という重さ。

HelioFixedLengthPole

その他ギア編

HydroHeat Flameless Cooker

ストーブを持っていかなくても温かいパスタが食べたい。そんな要望に応えてくれるのがこの HydroHeat Flameless Cooker。

Petzl NAO+

ヘッドランプのトップメーカー、ペツルの NAO + は現行モデルからさらに明るく、そしてオリジナルアプリ「MyPetzl Light」により、リアルタイムにバッテリー残量の確認や明るさの調節が可能に。

BIOLITE BASELANTERN+

夏にも「Off-Grid(オフグリッド)システム」といった革新的なライティングシステムを発表している BIOLITE からさらに新たなアイテムが登場。ランタン兼充電器のベースランタンは、Bluetooth 経由でスマホから明るさを調節可能。

BaseLantern

ハイドラパックにオスプレー専用モデル?

出典:gear junkie, OR Dailies

後悔しないバラクラバ(目出し帽)の選び方とおすすめの7着

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バラクラバ探しは冬山防寒着”最後のピース”をさがす旅

冬のアウトドアで最も恐ろしいのは何といっても冷え・寒さからくる凍傷や低体温症。このため冬山では、日常においては外気に露出している「手」と「顔」の保護・防寒は欠かせません。このうち、手の防寒を担うギアが「スノーグローブ」であることはみなさんご存知かと思います。では一方、冬山で顔周りの寒さをシャットアウトする道具は何でしょうか?

まず思い浮かぶのはニット帽やビーニーといった、街やスキー場でもよく見かけるヘッドウェア、そして首周りの防寒に役立つマフラーやネックウォーマーです。ただこれらは冬の低山ハイキング程度までには対応できるものの、平地の何倍も低温で風の強い積雪のある冬山ではまったくもって物足りません。

そこで必要になってくるのが、眼以外の顔全体をスッポリと覆う防寒着「バラクラバ」です。この名前にまったくピンとこないぼくのような方には「目出し帽」といえば、あぁ、とイメージが湧くかもしれません。ちなみにぼくの周りでの呼び名は「めでぼう」でした(なぜ横文字で言い始めたのかは不明ですが、完全に日本語の方が分かりやすいし味わい深しです)。

(モンベル)mont-bell スーパーメリノウール バラクラバ 1118170 (ブラック(BK), S/M)

そんなバラクラバは、3つの理由で現時点では山道具の中で最も理想のモデルを探すのが難しいギアだと感じています。その理由のひとつは、店頭で実際の利用シーンに近い試着ができないこと。その場では心地よくても、実際の極限状況で装着してみるとそうでもなかったり、よくあります。もうひとつは、利用シーンが冬の厳しい寒さという極めて狭い範囲であるにもかかわらず、高いものになると1万近くにもなるという手の出しにくさ。どうしても手頃な価格のもので済ましてしまいがち。

そして最後、最も大きな理由は、バラクラバが顔全体を保温しつつ口・鼻周りの空気は大胆に排出するという極端な機能を同時に求められる、意外と複雑な道具だからです。その意味ではまだまだ発展途上であり、そこがこのギアを「冬山における防寒装備、最後のピース」と言わしめるわけです。

そこで今回は、これまで長い間いろいろなモデルを試し、悩み続けてきた経験にもとづいて、バラクラバの選び方をあらためて整理し、その結果現時点でかなり完成形に近づいている最もおすすめのバラクラバをタイプ別に7着選出してみましたので、ぜひとも参考にしてみてください。

目次

チェックポイント1:プロテクション(保温・防風性)

チェックポイント2:快適性(フィット・呼気対応)

チェックポイント3:その他の機能

おすすめ:タイプ別おすすめバラクラバ7選

付録:スペック比較表

チェックポイント1:プロテクション(保温・防風性)

バラクラバが必要になるシーンとは、ニット帽(ビーニー)やネックウォーマーだけでは寒さを防ぎきれなくなるほどの寒冷・強風下。この状況でまず何が求められるかと問われれば、間違いなく最も重要なのは保温・防寒性能です。

その保温性を大きく左右するもののひとつが、バラクラバに使われている生地・素材。かつては冬季ウェアの保温素材といえば、昔ながらのウールや、アクリルなどの化繊素材が主流でしたが、それらはチクチクした肌触りがネックとなり、顔に装着するにはまだまだ改良の余地がありました。それが最近ではさまざまに進化した素材が取って代わるようになり、目的と用途に合わせて選べるようになっています。以下、最近の主流となりつつある素材を順に見ていきます。

化繊(フリース・ソフトシェル)

現在バラクラバの素材として最も広く採用されているフリースは、機能性と快適性を兼ね備えたバランスの良さが魅力。元々、ウールにとって代わる「軽くて暖かくてすぐ乾く」理想のセーターとして進化していったフリースはバラクラバとの相性もバッチリでした。さらにその後の研究開発によって現在では基本的な保温性と速乾性に加えて、さらに効果的な機能が追加されたラインナップが展開されています。

  • 極寒地域での利用に適した、保温性抜群の「ポーラテック・パワードライ」
  • よりフィット感を高めるために伸縮性を強化した「ポーラテック・パワーストレッチ」
  • 「ウィンドストッパー」メンブレンを挟んだフリースは防風性を高め、低温だけでなく強風下でも高い断熱性を可能にします。

また、フリース素材に加え、最近では適度な防風性と保温性、通気性を併せもったソフトシェル素材もバランスの良さで採用が増えてきています。

メリノウール

古くからのウールに比べて抜群の肌触りのよさと吸湿保温性を備えたメリノウールは、ここ数年の世界的なブームとともに保温素材としてさまざまなアイテムに用いられるようになってきました。メリノウール製バラクラバの良さ何といってもその着け心地の良さと適度な保温力、そして天然の防臭性。一方で防風性はあまり期待できません。

balaclava_material

左側3つがフリース等の化繊素材、右側3つがメリノウールおよび混紡素材。傾向としてはテクニカルなモデルが化繊系に多く、着心地重視のカジュアルなモデルがウールに多い。


補足:保温性を決めるのは素材だけでは無い

より暖かいバラクラバを選ぶ際に注意しなければならないのは、首周りのつくり。首の下部までしっかり覆っていないバラクラバは風が吹き込んできてしまう可能性があります。首周りが短めのモデルは注意し、万が一短い場合はネックウォーマーやジャケットをしっかり閉めるなどして対応するようにしましょう。

チェックポイント2:快適性(フィット・呼気対応)

いくら保温性バッチリの素材でも、サイズが小さすぎでは顔が突っ張り息苦しく、逆に大きすぎであればヘルメットや風などの影響ですぐにズレてしまい、視界が塞がってしまい非常に危険です。その意味でバラクラバのサイズ選びとフィット感の良し悪しは重要。特にサイズがワンサイズしか無いモデルや、伸縮性の無い素材には注意が必要です。やはりベストは実際に試着してみることでしょう。

さらにバラクラバの使い勝手を決める上でもうひとつ重要なポイントが、口周りの通気性です。冬山登山に限らず、スキーやスノボなどあらゆるウィンタースポーツではサングラス・ゴーグルは必携。それらを装着した状態で口元を塞ぐと、口と鼻からの蒸気がレンズの内側にかかり、どれだけ曇り止めを塗ろうと、基本、曇りまくりです。寒い→鼻まで隠す→ゴーグルが曇って前が見えない・内側が蒸れる→鼻・口を開ける→寒い→以下ループ・・・という悩ましい問題がバラクラバにはずっと存在していました。そんなギアとして不十分と言わざるを得ない状態が長らくありましたが、最近では口周りをメッシュ構造にするなどして呼気を効果的に外へ排出し、曇りや蒸れを解消するモデルが登場しています。

v_ventilation

細かい条件にもよるのかもしれないが、メッシュになっていれば何でもよいかというと、テストしてみた限りでは残念ながらそうでもない。曇らないかどうかはここでのレビューを参考にするか、試着でできる限り確かめてみるしかない。


チェックポイント3:その他の機能

汎用性

比較的薄手で伸縮性のあるバラクラバの場合、状況に合わせて被り方を変えることで、下の図のようにさまざまな使い方ができます。逆に、ゴツくて伸縮性の少ないモデルでは、プロテクションは高い一方、そうした柔軟性は乏しいのが一般的です。

balaclavaバラクラバ

headヘッドウォーマー

faceフェイスマスク

neckネックウォーマー

防臭性

直接鼻を覆うものであり、呼気などでどうしても口周りに唾液が付いてしまうバラクラバは長時間装着するような使い方になればなるほど、防臭機能非常に有り難い。その点、メリノウールは天然の防臭性を備えているので安心です。

おすすめ:タイプ別おすすめバラクラバ7選

薄くても保温性抜群の高機能フリース素材を採用
Black Diamond コエフィシェントバラクラバ

保温性★★☆ 耐風性★★☆ フィット★★★ 呼気対応★☆☆ 汎用性★★★ デザイン★★☆

Polartec PowerDry High Efficiency は薄手ながらも高い保温性と速乾・通気性を兼ね備えた高機能フリース素材。状況に応じて4通りの被り方ができ、耳部分の二層構造は周囲の声がクリアに聞き取りやすいなど、細かい使い勝手の良さも◎。

あの見た目がどうしても苦手という人でも十分いけるカジュアルさ
Smartwool NTSミッド250パターンバラクラバ

保温性★☆☆ 耐風性★☆☆ フィット★★☆ 呼気対応★☆☆ 汎用性★☆☆ デザイン★★★

ベースレイヤーやソックスで定評のあるスマートウールは、厚手のメリノウール100%、縫い目が膨らまないフラットロックシーム構造で着心地は抜群。色遣いもこなれており、カジュアル寄りなウィンタースポーツにはちょうどいい。ただし顔の露出部分は広め、防風性も低いので、あまりハードな場面には不向きか。

軽量ながら抜群の暖かさと着心地、おまけにメガネの曇りも無し
mont-bell スーパーメリノウール バラクラバ

保温性★★☆ 耐風性★☆☆ フィット★★★ 呼気対応★★☆ 汎用性★★★ デザイン★★☆

上と同じメリノウールがメインのバラクラバですが、価格と見た目から舐めてかかった予想を上回る機能性の高さ。防風性は少ないものの、保温性は十分。サイズはバリエーションがあり、フィット感もスマートウール以上。何より素晴らしいのは、鼻の部分の立体的なつくりと調節可能な樹脂製の芯による曇りにくい仕組み。もちろん状況に合わせて4パターンの使い方が可能です。露出部分も少ないので、本格的な冬山でも大丈夫そうだし、手頃な価格もあってさすがモンベルといいたくなるお買い得バラクラバ。

バラクラバとしても優秀、下半分を頭部に収納してビーニーにも
finetrack バラクラバビーニー

保温性★★☆ 耐風性★★☆ フィット★★☆ 呼気対応★★☆ 汎用性★★★ デザイン★★★

基本的なコンセプトは、バラクラバ機能を併せもつビーニーだからこそ、頭部の保温は抜群(しかもヘルメット対応)。バラクラバモードでも保温性・耐風性・呼気対応など機能は十分。その他ゴーグルを額に上げていても曇りにくいアンチフォグシステムや、防臭機能など細かい点まで使い勝手抜群。

フィット、防風、保温、すべてにおいて隙がないエクスペディションモデル
THE NORTH FACE Expedition Balaclava

保温性★★☆ 耐風性★★★ フィット★★☆ 呼気対応★★★ 汎用性★☆☆ デザイン★★☆

ポーラテックの異なる2素材を組み合わせたマッピングにより、最高度の防風性を備えつつ十分な保温性とフィットを実現。口の部分にはゴーグルを曇りにくくするためのフォグベントを、鼻の部分にはノーズカバーと、まさに待ってましたと言わんばかりのフルスペックバラクラバです。冬季登攀や高所登山、厳冬のバックカントリーツアーなどで大活躍することは必至。その代償として汎用性には欠けるため、口元を開けたり、頭部分だけ脱いだりといった使い方はできません。

確実なプロテクションと呼気の処理が完璧
OUTDOOR RESEARCH GORILLA BALACLAVA

保温性★★★ 耐風性★★★ フィット★☆☆ 呼気対応★★★ 汎用性★☆☆ デザイン☆☆☆

こちらも基本的には厳冬期のテクニカルルートを意識して作られているため、内側は保温性の高いソフトフリース、外側は耐候性のシェルになっているなど機能的には申し分なし。さらに特徴的なのは鼻部分とメッシュの呼吸口は取り外し可能で、天候に応じてカバーの範囲を調節できること。今回のおすすめしている中で、呼気による曇りは最も少なく(というかほぼゼロ)性能的には太鼓判を押したいのですが、非常にクセが強いことも事実。まずベルクロでの装着が非常に難しく、時間がかかるうえ、慣れるまで(?)どうしても不格好になってしまいます。伸縮性も少なく、頭の形やサイズは人を選ぶかもしれません。

プロテクションと使い勝手の良さが両立した秀作
NORRONA /29 Balaclava

保温性★★★ 耐風性★★☆ フィット★★☆ 呼気対応★★☆ 汎用性★★☆ デザイン★★☆

フルフェイス型のバラクラバのなかでもフィット感が素晴らしく、なおかつスタイリッシュなところが相変わらずいいセンスしているノローナのバラクラバ。頭部を外してフェイスマスクとして、また首回りだけのネックゲイターとしても使用できます。

付録:スペック比較表

アイテム Black Diamond コエフィシェントバラクラバ finetrack バラクラバビーニー OUTDOOR RESEARCH GORILLA BALACLAVA mont-bell スーパーメリノウール バラクラバ NORRONA /29 Balaclava Smartwool NTSミッド250パターンバラクラバ THE NORTH FACE Expedition Balaclava
素材 Polartec Power Dry High Efficiency メリノウール+化繊 WINDSTOPPER Soft Shell スーパーメリノウール79%+化繊 フリース メリノウール100% POLARTEC PowerStretch
POLARTEC PowerSield
サイズ ワンサイズ ワンサイズ S、M、L S/M、M/L ワンサイズ ワンサイズ M、L
バラクラバ
ヘッドウォーマー  
フェイスマスク  
ネックウォーマー    
ビーニー            
呼吸口      
ヘルメット
防臭        
参考価格 4,212円 8,100円 8,100円 2,808円 6,480円 5,184円 7,992円

【速報】世界最大級のスポーツ用品展示会 ISPO MUNICH 2016 で受賞した最新アウトドア・ギアまとめ

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今週末から世界最大級のスポーツ用品展示会『ISPO(International Trade Show for Sports Equipment and Fashion)』がドイツのミュンヘンで1月24日から4日間にわたって開催されています。ここではとにかく広大な敷地内に、アウトドア・スキー・アクションスポーツ・競技スポーツ・ヘルス&フィットネス・スポーツ用品・素材など、欧州市場をターゲットとするありとあらゆるスポーツ・ギア・メーカーが世界中から集い、来シーズン以降にお目見えする新作たちが発表されます。

実際の模様は情報が入り次第お伝えしたいと思いますが、今回は展示会で毎年発表される「ISPO AWARD」から、主に「アウトドア」部門で注目すべきアウトドア・ギアをピックアップしてお伝えします!

Fimbulvetr Hikr

28インチの浮力を24インチのコンパクトサイズに詰め込んだ、軽快・快適スノーシュー。インパクト抜群のデザインはハッタリではない!?

Therm-a-Rest NeoAir Camper SV

アメリカでの展示会(Outdoor Retailer Summer Market 2015)でも話題でした。気持ちいいくらいに容易に空気が注入できる、エア注入式スリーピングパッド。

Berghaus Extrem 8000 Pro Jacket

イギリスのモンベル(と勝手に思っている)、バーグハウスによる久々のエクスペディション向けハードシェルはかなりの本気度。独自の新技術 Xpanse technology によって、フード・口元・背中部分に画期的な使いやすさや耐久性・軽量性等を実現し、現時点で独占使用の独自ゴアテックスプロシェル(3レイヤー)によって理想的な耐久性と透湿性を可能にしています。

Arc´teryx Alpha SV Jacket

アークテリクスのハードシェルのなかでも、ハードな雪山に最適なフラッグシップモデルがリニューアルしてさらに軽く、そして堅牢に。

Mammut Runbold Advanced IN Hooded Jacket Women

マムートの最新インサレーションは、天然ダウンの保温性と最新化繊の機能性をマッシュアップし、冬のハイキングに必要な機能をすべて詰め込んだ次世代の必携防寒着ともいえる完成度の高い逸品。

SALEWA VULTUR GTX

高い保温性とあらゆる地形に対応できるグリップと安定性のバランスがとれた最新ライトアルパインブーツ。何よりサレワのデザインが最近どれもキレキレで眼が離せません。

Tentsile Stingray

ハンモックのように三方を木に留めてテンションをかけることでできる2人用のハンモック型シェルター。ここを見ると誰もが1度は試してみたくなります

COBI

あなたの自転車に COBI があれば、ライトも、ナビも、サイクルコンピューターもすべてがスタイリッシュにコネクトし、スマートに統合されます。いやこれこそまさに未来。詳細はこちら。

出典:ISPO MUNICH

いかがだったでしょうか。まだ始まってもいないというのに早くもお腹一杯。来年こそは行きたいなー。

さらに、スキーやアクションスポーツなど、その他カテゴリについてもまだまだ興味深いギアが目白押し。それらについては追々ご紹介していきたいと思いますが、とりあえず本日は以上です!

冬山テント泊を快適に過ごすための冬用シュラフ(スリーピングバッグ)の選び方とおすすめ8選

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極寒のなかでもぬくぬくと熟睡したい!

どこまでも重く、荷物もかさばりがちな冬山のテント泊において、やっぱり妥協したくないギアのひとつがシュラフ(スリーピングバッグ、寝袋とも)。体力の消耗の激しい冬山では睡眠による体力回復が重要なことはいうまでもありませんが、一方冷えと寒さによって快適に眠ることが難しい季節でもあります。ただ、品質の確かなシュラフを適切に選べば、たとえ氷点下のテントの中ですら、その浮遊しているかような軽やかな寝心地にきっと驚くことでしょう。下手したらいつも自分が寝ている環境よりも断然良かったりします。

そんな冬用シュラフを適切に選ぶという行為は、高価だからというだけでなく、羽毛布団を選ぶ時の「よい素材について」の知識と、優れたアウトドア・ギアを選ぶ時の「よい道具について」という2つの知識が必要となり、それなりに敷居の高い現実があります。

そこで今回は、そんな超高級山道具である冬用シュラフについて、前半では冬ならではの考慮すべきポイント、後半部では編集部がおすすめする珠玉の8点をご紹介します。それでは早速みていきましょう。

目次

冬用シュラフを選ぶ時に考慮すべきポイント

編集部のおすすめシュラフ(スリーピングバッグ)8選

冬用シュラフを選ぶ時に考慮すべきポイント

ポイント1:どんな形にするか

スリーピングバッグの一般的な選び方として、多くの入門書やガイドブックには「マミー型」や「封筒型」などのフォルムの違いがについての説明がありますが、冬のシュラフ選びに関していうと、悩むことはまずありません。冬はまずマミー型一択です。理由は簡単、保温性と重量という、どう考えても最優先のポイントにおいてマミー型の方が最適だからです。実際、(テント泊など登山向け)冬用シュラフと銘打っているモデルでそれ以外の形はまず見当たりませんので、ここは何も考えずにマミー型でいきましょう。

featheredfriends_snowbunting

マミー型は身体のラインに沿って余分なスペースがない分、軽くてコンパクトなので冬にはもってこい。


ポイント2:どんな中綿素材にするか

スリーピングバッグの中綿として使用されている断熱素材には大別して2つの選択肢があります。1つは天然素材であるダウン、もう1つはダウンの特徴を再現した化繊インサレーションの2種類。これについても、冬に限ってはダウンが断然おすすめです。もちろん春~秋の話であれば、化繊のメリットである濡れへの強さや速乾性、手入れの容易さから、化繊を選んだ方がいいケースが十分あり得ます(この辺は後日、シュラフの選び方など別の記事で説明したいと思います)。しかしこと冬に関しては、特に濡れやすく湿度の高い環境で長期間使用する、あるいはよほど明確な好みがない限り、保温性や快適性、コンパクトさなどから、まずはダウンを選んで間違いはないでしょう。もちろんその時は、濡れないように細心の備えを忘れずに。

ダウンを選ぶと決めたら、できればダウンの品質にもこだわりたいものです。ダウンの中でもダウンボールが大きく、かつ嵩高性に富んだヨーロッパ産のグースダウンは、ダックダウンに比べて総合的な品質は段違い。重量あたりの保温性が高いので、一般的なダウンよりも驚くほど暖かく、しかも軽くてフカフカです。もちろんその分の出費は覚悟しなければなりません。

ポイント3:どれくらいの暖かさにするか

冬山のテントでの夜がどれだけ酷い寒さになるのか、あるいはならないのか、自分をはじめとした都会育ちの多くの人々には想像もつかないことです。そんな状況で適切にシュラフを選ぶためにできることは、まずできる限り自分が泊まることになる場所・時期の最低気温を把握すること。ちなみに気温は標高が100m上がると約0.6℃下がりますので、平地の最低気温が6℃であれば、同じ時期、標高1,000mの場所は0℃のはずです。

そして次にチェックすべきは、ほとんどのシュラフに表示されている、適応温度表示を確認すること。これにはメーカーが独自の経験や基準に基づいて示しているパターンと、ヨーロピアン・ノーム(EN13537)と呼ばれる、EUでのシュラフに関する温度表記の共通基準が表示されているパターンの2つがあります。

どちらも大いに参考にすべきなのですが、基準値や表示は目安であり、あくまでも参考にしかならないということは心に留めておくべきです。寒がりの人はその基準では耐えられないかもしれないし、逆に暑がりの人や、あらゆる防寒着を着込んだ人なら逆に基準値よりも寒い場所で快適に眠れるかもしれません。その他、スリーピングパッド(マット)の性能や、シュラフのサイズ・フィット感、外気温・湿度など環境要因などの影響も当然受けます。

あくまで参考ですが、自分がこれまで経験した限りでは、メーカーの独自基準値に比べて EN 基準はかなり慎重な数値である気がします。メーカー独自基準でリミット温度が「-15」となっているモデルよりも、EN基準でリミット表示が「-10」のモデルの方が下手したら暖かいと思える時があったり、なかったり。すべてのメーカー基準値を見たわけではないので、あくまでも個人的な感想ですが。

ここで言いたいのは、そのくらい、基準値には幅があると思っておいた方が良いということ。正しいシュラフを選ぶことも大切ですが、もっと大切なのは、もし万が一眠れないほど寒かったときに、あらゆる防寒具を着込む、着られない手袋などもシュラフの中に放り込んで余分な空間を埋めてみる、シュラフの上からバックパックを穿くなど、寒さを凌ぐための工夫の引き出しをいろいろともっておくことです。はじめてで経験が無いうちには、なるべく用心のために防寒着は多めにもっていくなど、リスクヘッジをしながら、いろいろ試行錯誤を試みて自分なりの引き出しを増やしていくことが、最も安全に自分にとって最適な基準と限界を知るための現実的な方法でしょう。

ポイント4:撥水?防水?シュラフカバーの必要性

冬山のテントで厄介なことのひとつに、テント内がどうしても濡れやすいという事実があります。原因のひとつは結露。テントでは炊事による水蒸気や、人の呼吸による湿気などで外に比べて湿度が高く、それらが外気によって冷やされることでテントの内壁に結露が発生し、水滴や霜となってシュラフを濡らします。もうひとつ、テント内で雪を溶かして水をつくったり、出入りの際の雪の侵入によって、いつの間にかテントの床は水溜まりができているなんとことも雪山あるあるです。大切なダウンが濡れてしまったらアウトですから、シュラフの防水対策は万全に行ないましょう

そのためにまず欠かせないとされるのが防水透湿素材のシュラフカバーです。寝る時にシュラフをシュラフカバーでスッポリと覆ってしまえば、まず濡れることはありません。このときシュラフカバーは透湿性の素材であることが重要で、そうでないと寝ている間、自分の汗の蒸発による湿気でシュラフが濡れるという笑えない事態に繋がってしまいます。その他嬉しいことに、シュラフカバーを被ることでほんの少しだけ保温性アップも期待できます

とはいえ、何だかんだで荷物になるし、金額もバカにならないシュラフカバーをもっていかないで済むのならばそれに越したことはないと考えるのは僕だけではないはず。そこで以下、近年の技術革新によって可能となった、シュラフカバー以外の2つの水濡れ対策を考えてみます。

まず、撥水ダウンのシュラフはダウンが水を吸わないからシュラフカバーの必要はないのでは?と考えたくなりますが、残念ながらこれはあくまでも「撥水」であって、濡れを完全に防いでくれるものではありません。よって防水のためのシュラフカバーは必要です。ただ、表生地の撥水力と合わせてある程度の水分は寄せつけませんので、場所と天候、日程などで総合的に判断しましょう(個人的には、標高の低い場所で1泊程度なら、カットしちゃうこともしばしば)。

もうひとつ、表生地に防水透湿機能をもった素材を使っているシュラフはどうでしょうか。これならば確かにシュラフカバーは必要ないと、ひとまずはいえます。ただし、単に「防水透湿生地を使っているシュラフ」では縫い目やジッパー部分からの浸水は防げません。このため厳密な意味で防水が必要なのであれば、止水ジッパーや縫い目のシームテープなどを使った本格的な機能を備えた防水シュラフでなければならないことに注意しましょう。

イスカ(ISUKA) ゴアテックスシュラフカバーウルトラライト ワイド ネイビーブルー 200821

濡れが禁物のダウンシュラフにとって、シュラフカバーは基本必携装備。


ポイント5:その他あるとよい機能は?

重量・収納性

厳冬期用のシュラフは下手をすれば2~3人用のテント並にもなるサイズですから、できる限り軽くてコンパクトなモデルがいいのは間違いありません。ただ、その重量とサイズを決める大きな要素はダウンの性能によるところが大きいため、あまりに収納性にこだわりすぎると財布がもちません。

ひとつ知っておくとよいのは、カタログにあるスペック上の収納サイズは付属のスタッフサックに入った時のサイズでしかないということ。下の写真のように、購入したままの状態では大きめでも、別売りのコンプレッションサックを用いることで、かなりコンパクトに収納できるものもあります

sleepingbag_pack_hikaku

付属のバッグが少し余裕を持たせた大きさの場合、コンプレッションスタッフサックを使えばグッとコンパクトに(右端)。


フード

体温の8割ほどが首~頭部から放熱されているといわれるくらい重要なこの部分がどれだけきっちりとつくられているかチェックしましょう。頭部を立体的に包み込むフォルムになっていたり、ダウンがふんだんに配置されていたり、顔出し口を圧迫感なく密閉できたりといった工夫があるかないかで、実際に感じる暖かさがまるで違います。

DSC02989

フードの形状・厚みはブランドによって微妙に異なる。どれも暖かいが、ドローコードでの締め方や、顔の覆う範囲などで好き嫌いは多少あるかも。


ショルダー

頭部と同じようにしっかり保温する必要がある首もと~肩には、マフラーのようなチューブ状、あるいはU字状のショルダーウォーマーが付いていると、中の熱が逃げないので格段に快適。モデルによって形状はさまざま。

sleepingbag_shoulder

首・肩周りの保温も形はさまざま。チューブをドローコードで締める形は調整しやすい一方、U字型よりも部品が多くなり重量の面ではロスになるなど一長一短。


ジッパー

ジッパー部分でチェックすべきは2点。ひとつはここから熱が逃げないように、ジッパーの内側ライン上に中綿の詰まったドラフトチューブが配置されているかどうか。

DSC02998

もうひとつはジッパーの上げ下げによって極薄の生地をファスナーが噛み込み、生地を傷めたりしないように噛み込み防止機構が付いていないかどうか。

いずれにしてもより安全・快適なシュラフにとって、これからのスタンダードとなる機能です。

DSC03004

写真はナンガとYKKの共同開発による噛み込み軽減ファスナー。滑らかで開閉しやすいと共に、万が一噛み込んだとしても生地を傷めにくくなっている。


足元のシルエット・構造

足元の保温性を特にケアしてあるかどうかは、人によっては非常に悩みの種となりやすい部分でもあるので重要です。特に気になる人は、全体的に身体の形にほどよくフィットする3D構造であることはもちろん、足元のダウン量を増やすなどの特別な工夫があるものを選ぶとよいでしょう。

DSC03003

寒さを感じやすい足元の羽毛を多めに封入。また足の形に合わせた立体的な構造が足全体を無駄なく均等に保温してくれる。


サイズのバリエーション

暖かく寝るためには、自分とシュラフとの間に余分な隙間(デッドスペース)をつくらないことがポイントで、そのためには自分の身長・体型に合ったシュラフを選ぶことが大切です。購入の際には高・低身長タイプや、女性向けのバリエーションが選べるモデルがあるかどうかチェックしましょう。

サイドジッパーの左右位置

一般的にはサイドジッパーが左側にあると、右利きの人にとって使いやすいといわれます。どちらを選んだとしても致命的な結果にはなりませんが、完璧な使い心地のためには忘れずにチェックしておきましょう。

編集部のおすすめ冬用シュラフ(スリーピングバッグ)8選

上記のチェックポイントを踏まえて、ここからは既に体験済みのモデルからいつかは体験したいモデルも含め、冬用シュラフのおすすめをご紹介していきます。同一モデルで適応温度のラインナップがあるものがほとんどですが、ここで紹介するのは目安として(泊まる場所にもよりますが)本州2,000m級の山岳における厳冬期の最低気温(-10~-15℃前後)がリミット温度のモデルとしました。もちろんあくまでも目安ですので、購入の際には自分に適した温度にアジャストしてみてください。

ISUKA エア 630EX

長らく日本の登山を牽引してきた老舗シュラフブランド。職人気質の丁寧なものづくりと、ラボ・フィールド双方での厳しい独自基準による高い信頼性は創業当時から不変。軽量で保温性抜群の800FPホワイトグースダウンを使用し、保温効率の高い立体構造、軽量化と保温性を両立させたショルダーウォーマー等、細部にまで軽量・保温・コンパクトに対するこだわりが見られます。

NANGA UDD BAG 630DX

徹底して高いダウン品質へのこだわりに定評があるシュラフ専門メーカーの超撥水ダウン UDD を採用したモデル。「湿気を通すが水を吸わない」独自撥水加工を施したダウンはうっかり雨や結露の水滴に濡らしてしまうということが無くなります。その他、国内精製羽毛の安心したダウン品質による驚くほど高いロフト(嵩高)、保温効率とフィット感が両立した立体構造、修理費用無料の永久保証など、隙のない高い品質へのこだわりと自信が素晴らしい。

NANGA AURORA light 600DX

こちらはダウンを包む表生地に防水透湿素材のオーロラテックスを使用した、「シュラフカバー不要」の高機能コンパクトシュラフ。これで通常のシュラフよりもかさばるのであれば考えてしまいますが、まったくボリュームを増やすことなく相変わらずの軽量・コンパクト設計。シュラフカバーが不要な分、かなりの軽量・コンパクトが実現します。余裕があればさらに高品質ダウンの「SPDXモデル」もおすすめ。

mont-bell アルパイン ダウンハガー 800 #0

元々ダウンジャケットなど含めて幅広いダウン製品で定評のあるモンベルなだけに、800FPの高品質グースダウンによる保温性の高さ・快適さは間違いなし。そして何といっても超軽量・コンパクトながら高いフィット感と快適さを実現するスパイラルストレッチシステム。寝ている間にシュラフの中で動いてもしっかりフィットするので、空気の隙間をつくらないこの仕組みが保温効率を高めてくれます。あぐらをかきながらシュラフを”穿ける”のもいい感じです。

Western Mountaineering アンテロープMF

カリフォルニア発、世界有数のダウン専門メーカーとして知られるウェスタンマウンテニアリングは45年以上たった現在でもサンノゼにある自社工場での手作り生産を続け、その品質への信頼性は世界のアウトドア愛好家によって証明され続けています。この上ない品質のホワイトグースダウンを使用した超快適な寝心地でありながら、軽量で撥水性に優れた表生地を使用した使い勝手の良さを実現。

Valandre Bloody Mary

フランスのみならず欧州を代表するダウン専門メーカーとして定評のあるヴァランドレは、南フランスで育ったグレーグースの、生まれてから21週目という最も良い状態のダウンのみを使用するという抜群のクオリティがまず眼を惹きます。この最高品質のダウンを83のアナトミカル(解剖学的)形状にかたどられたバッフルに閉じ込め、着脱交換可能なカラーなどアイデアに富んだ工夫により、軽くて暖かく、汎用性の高いモデルを実現しました。

Feathered Friends Snowbunting EX 0

ここからは日本からの入手が非常に困難なモデルになりますが、それでもおすすめしたくなるくらいに魅力的なのが、ダウン専門メーカーフェザーフレンズの冬用シュラフ。高品質なグースダウンによる軽くて暖かい保温効率の高さと、表地の防水透湿素材 PertexⓇ Shield EX による防水性の高さをはじめとした確かな品質は、信頼性の高い海外レビューサイトでも一位を獲得するほど。

Rab NEUTRINO ENDURANCE 600

今でこそイギリスを代表する総合アウトドア・アパレルメーカーとして多くの製品を手がけている Rab ですが、実は「世界で最も過酷な場所にも耐えうる」ダウンシュラフづくりからスタートしたメーカーとして知られています。そんな同社の看板アイテムであるシュラフの品質に妥協がある訳がありません。「超撥水ダウン」と「防水透湿素材の表生地」の合わせ技で、濡れに対するプロテクションは万全。高品質ダウンの効果的な配置を可能にするバッフル構造と、首周りにピッタリフィットするクローズ・フィッティング・ネックバッフルと随所にわたる快適性を高める仕組みは長年培われてきた経験と技術が活きています。

比較テスト:いろんなタイプのスリーピングパッドで寝比べてみた【キャンプに登山に】

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地面の凸凹を緩和し、地面からの冷気を遮断し、シュラフの効果を最大限に引き出す。スリーピングパッド(マット)はテント泊にはなくてはならない装備です。このギアが難しいのは、大きさはペットボトル程度から、バックパックの外に括り付けるしかないものまで、価格もわずか数千円のロールマットから、3諭吉を優に超えるものまで、ちょっとアウトドアをかじっただけではその違いが分かりにくいほどのバリエーションの広さをもっていることでしょう。ちなみに、どんな点に注目して選べばよいかについては先日お話ししました

そんななから自分はいったい何を選べばよいのか。この疑問に応えるべく、今回はタイプやメーカーの異なる注目モデルをピックアップし、さまざまな角度から比較テストを行ない、それぞれのメリット・デメリットを浮き彫りにしてみました。あらかじめいっておきますと、今回は総合点も大事ですが、それよりも自分が重視するポイントを中心に、各項目の凸凹に注目してみてみることで、より自分なりの最適パッドが見つかるのではないかと思います。それではいってみましょう。

すぐに結論が知りたい方はこちらから結果へジャンプ

比較アイテムのピックアップにあたって

今回の比較にあたっては意識して以下の点でバリエーションと統一性に配慮し、ピックアップしてみました。このため、あえてピックアップした「暖かくない」モデルは総合点で今回ちょっと割を食ってしまっていますので、そこはご了承ください。

  • メーカー
  • タイプ・種類
  • R値(断熱性)
  • エアの注入方式(バルブの独自性など)
  • 大きさはレギュラー(約180cm)で統一

比較テストアイテム

Therm-a-Rest Z Lite SOL

Therm-a-Rest Ridgerest Solite

山と道 U.L.Pad15L+

Therm-a-Rest NeoAir Xtherm

Therm-a-Rest NeoAir Xlite

Nemo コズモ 20R

Klymit イナーシャX

Sea To Summit ウルトラライトインサレーション マット

Klymit インシュレーティッド スタティックV

Nemo ゾア 20R

ISUKA ピークライトマットレス 180

テスト環境

2015年9月~2016年2月にかけて複数回の山行、および日常の地面・テント・土・岩・雪面などにて試用・テスト。

sleepingpad_test

実地テストによる詳細評価

評価比較

【タイプの見方】■クローズ・・・クローズド・セル(独立気泡)パッド ■エア・・・エアー(空気注入式)パッド ■セルフ・・・セルフインフレーティング(半自動膨張)パッド ※各タイプの詳細はこちらでも解説しています

総合順位 1位 2位 2位 4位 5位 7位 7位 9位 9位 10位 11位
アイテム THERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット NeoAir XTherm ネオエアー Xサーモ ベイパー レギュラー(R) 【日本正規品】 30177Therm-a-Rest NeoAir Xtherm SEA TO SUMMIT(シートゥサミット) ウルトラライト インサレーション マット (レギュラー) 1700484Sea To Summit ウルトラライトインサレーション マット THERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット NeoAir Xlite ネオエアー Xライト マリーゴールド レギュラー(R) 【日本正規品】 30273Therm-a-Rest NeoAir Xlite KLYMIT(クライミット) Insulated STATIC V(インシュレーティッド・スタティック・ブイ)/レッド 06IVOr01CKlymit インシュレーティッド スタティックV THERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット RidgeRest SoLite リッジレスト ソーライト レギュラー(R) 30207 【日本正規品】Therm-a-Rest Ridgerest Solite ニーモ NM-ZOR-20R ゾア 20R【Mens】Nemo ゾア 20R THERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット Z Lite Sol Zライト ソル シルバー/レモン R (51×183×厚さ2cm) R値2.6 30670 【日本正規品】Therm-a-Rest Z Lite SOL NEMO(ニーモ・イクイップメント) コズモ20R NM-COSMO-20RNemo コズモ 20R DSC03149_150山と道 U.L.Pad15L+ KLYMIT(クライミット) イナーシャ X フレーム パッド INERTIA XFRAME PAD [並行輸入品]Klymit イナーシャX イスカ(ISUKA) ピークライトマットレス 180 インディゴ 203509イスカ ピークライトマットレス 180
タイプ エア エア エア エア クローズ セルフ クローズ エア クローズ エア セルフ
ここが◎ 圧倒的な断熱性、コンパクト性、付属のポンプ 十分な断熱と快適さ、軽量、コンパクト 軽いのに意外と暖かい 寝心地の良さ、断熱性 使いやすさ、価格、適度な断熱性 軽さ、コンパクト性 使いやすさ、価格、適度な断熱性 寝心地、耐久性 軽さ、調整のしやすさ 軽さ、コンパクト性、空気の入れやすさ 快適性、裏面の滑りにくさ
ここが△ 価格、やや耐久性に不安 やや薄い 価格、耐久性 重量、空気が抜けにくい 寝心地、収納性 耐久性、断熱性 寝心地、収納性、断熱性 重量、断熱性 断熱性、収納性、価格 断熱性、価格 断熱性、重量、収納性
快適性
(20)
17 18 17 19 12 14 12 16 12 8 15
断熱性
(20)
19 16 15 16 14 10 13 12 10 6 10
重量
(20)
15 15 18 10 17 18 16 11 19 19 13
収納性
(20)
17 18 18 16 9 17 11 16 10 20 15
使いやすさ
(10)
8 9 8 6 9 6 9 6 9 7 5
耐久性
(10)
6 5 5 7 9 4 8 7 8 7 5
総合
(100)
82 81 81 74 70 69 69 68 68 67 63

スペック比較

アイテム THERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット NeoAir XTherm ネオエアー Xサーモ ベイパー レギュラー(R) 【日本正規品】 30177Therm-a-Rest NeoAir Xtherm SEA TO SUMMIT(シートゥサミット) ウルトラライト インサレーション マット (レギュラー) 1700484Sea To Summit ウルトラライトインサレーション マット THERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット NeoAir Xlite ネオエアー Xライト マリーゴールド レギュラー(R) 【日本正規品】 30273Therm-a-Rest NeoAir Xlite KLYMIT(クライミット) Insulated STATIC V(インシュレーティッド・スタティック・ブイ)/レッド 06IVOr01CKlymit インシュレーティッド スタティックV ニーモ NM-ZOR-20R ゾア 20R【Mens】Nemo ゾア 20R THERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット RidgeRest SoLite リッジレスト ソーライト レギュラー(R) 30207 【日本正規品】Therm-a-Rest Ridgerest Solite THERMAREST(サーマレスト) 寝袋 マット Z Lite Sol Zライト ソル シルバー/レモン R (51×183×厚さ2cm) R値2.6 30670 【日本正規品】Therm-a-Rest Z Lite SOL NEMO(ニーモ・イクイップメント) コズモ20R NM-COSMO-20RNemo コズモ 20R KLYMIT(クライミット) イナーシャ X フレーム パッド INERTIA XFRAME PAD [並行輸入品]Klymit イナーシャX DSC03149_150山と道 U.L.Pad15L+ イスカ(ISUKA) ピークライトマットレス 180 インディゴ 203509イスカ ピークライトマットレス 180
断熱素材 4枚のサーマキャプチャー層 サーモライト 1枚のサーマキャプチャー層 プリマロフト ウレタンフォーム 軽量EVAフォーム 軽量EVAフォーム XLPEフォーム ウレタンフォーム
重量 430g 440g 350g 709g 380g 400g 410g 670g 258g 198g 580g
参考価格 34,560円 15,660円 27,000円 15,660円 11,880円 5,184円 7,776円 12,528円 14,040円 8,100円 9,072円
R値 5.70 3.30 3.20 4.40 2.80 2.60
収納サイズ 10×23cm 10×23cm 10×23cm 12.7×20.3cm 11×23cm 51×20cm 51×14cm 10×20cm 7.62×15.2cm 52×約17cm 13×26cm
厚さ

6.3

5.0

6.3

2.5 1.5 2.0 8.0 1.3 2.5

快適性

今回ピックアップしたモデルは、発砲ポリエチレンにアルミを張っただけの、いわゆる「銀マット」よりはどれもすこぶる快適な寝心地を提供してくれることは確かですが、それでもさまざまなスリーピングパッドの上で寝比べてみると、その寝心地の違いには驚かされます。そこではただぶ厚ければよいというわけでもなく、エアチューブの形や構造など含めた密着部分全体の感覚的な差異が寝心地に大きく影響してきます。

総合的に最も快適な時間を過ごせたのは Sea To Summit ウルトラライトインサレーション マット、 Klymit インシュレーティッド スタティックV の2点。どちらにも共通しているのは、加重がかかった場所に注入された空気全体が影響するのではなく、それぞれのセルが体重を受け止めてくれる構造のため、どこかが凹むとどこかが膨らむような感じになりにくく、それが何とも心地よい寝心地を実現してくれる点です。さらに Klymit は59cmと幅広、なおかつ独特なV字のチェンバー構造が身体の動きに合わせて屈曲してくれるため、寝返りや寝相でズレるということがありませんでした。

断熱性

断熱性については、共通指標であるR値が公表されているモデルとされていないモデルがあり、この比較を行うまではどのような結果が出るか未知数、非常に楽しみにしてましたが、結果はご覧の通り。まず Therm-a-Rest NeoAir Xtherm の断熱性能は予想通り圧倒的。4枚の熱反射がつくり出す、まるで地面から発熱されているかのようにじんわりくる暖かさは病みつきになります。そして思ったよりも健闘したのが Sea To Summit ウルトラライトインサレーション マット。R値では小さめ(3.3)ですが、Klymit インシュレーティッド スタティックV(独自基準で4.4)と同等、もしくはそれ以上の断熱性を感じました。また予断ですが、昔ながらの発泡プラスチックにもかかわらず意外と健闘したのが Therm-a-Rest Ridgerest Solite。前々からやるヤツだとは思っていましたが、あらためてこいつの使い勝手の良さを思い知らされました。

重量・収納性

他のアウトドア・ギアと違って重量と収納性が綺麗に比例しないのがスリーピングパッドの独特なところですが、一般的に軽さでいえばクローズド・セルパッドが優位。今回のモデルでいえば、山と道 U.L.Pad15L+ の十分寝られる快適さを備えながらも200gを切る重量は特筆に値します(ファスト・パッキング派はここからさらに余分な箇所をトリミングして使います)。一方、収納性でいえばエアー注入式パッドが優位。今回の比較では(予想通りですが)Klymit イナーシャX のコンパクト性は他を寄せ付けません。ただ、これらの特化型モデルはそれによって犠牲になっている要素が必ず存在しているため、個人的にはこの重量・コンパクト性と他性能のバランスが絶妙な Therm-a-Rest NeoAir Xlite を評価したい気がします。

使いやすさ

スリーピングパッドに選びにとって意外と見過ごされがちですが、道具として使ううえでは地味に効いてくるのがこの使い勝手の部分。例えばテント場に着いてからのセッティングの容易さについて。この部分はどうしたってクローズド・セルパッドのシンプル設計にはどれもかないませんが、それに勝るとも劣らない作りの良さを感じさせていたのが Sea To Summit ウルトラライトインサレーション マットです。非常に少ない空気量で効率的に厚みと快適性を確保できる点や、入れた空気が抜けない一方通行のバルブがスピーディなセッティングを可能にしてくれます。また、別売りオプションのスタッフサック兼用ポンプを使えばさらに簡単なセッティングが可能に。

pump_sack

その他、逆に地味に使い難かったのが、Nemo コズモ 20R の足で踏む空気注入ポンプ。せっかく期待していたのですが、踏んでも踏んでも終わらない(泣)。また、Klymit インシュレーティッド スタティックV の空気は、その分割された気室のせいか、1度入れた空気が抜けにくく、片付けるのに一苦労です。

耐久性

パンクしてしまったら即終了のエア注入系のスリーピングパッドにとっては、生地が破れにくいなどの不安があってはやはり使い難いと思うのです。とはいえ軽量性を追求していくと、どうしても生地の厚さを切り詰めざるを得ないときが来ます。その意味で、Nemo ゾア 20R は危険との隣り合わせを楽しめるウルトラ・ライト派にはおすすめですが、耐久性についてはギリギリ限界のラインだと考えた方がいいでしょう。その他のエア式パッドを一通り試してみた結果、あくまでも感覚的な話ですが、裏面生地の厚さは最低40Dくらいは欲しいところです。一方でクローズド・セルパッドについては耐久性まったく問題なし。もちろん絶対に破けないということはありませんので、藪漕ぎや険しいルートではあまり裸にしておかない方がよいかと思いますが、例え傷がついたり、切れたりしたところで全体の性能がゼロになるわけではないので、あまり心配いりません。

今回の比較まとめ

Editors’ Choice: Therm-a-Rest NeoAir Xtherm

これまでのパッドという概念を塗り替えてくれるほどの体験ができたのが、Therm-a-Rest NeoAir Xtherm。このパッドに寝転がってしばらくすると、端的にいうならば、背中の向こうから熱がやってくる感じ?パッドは「冷たくないもの」というレベルで留まっていた自分の固定観念がここにきて「暖かいパッドがある」とはじめて思えました。にもかかわらず軽くてコンパクトなのもいい。もちろん寒いシーズンにこそ真価を発揮すると思いますが、夏に使ったら使ったで、シュラフのレベルを1つ下げてより軽量コンパクトなパッキングができるかもしれません。横方向のエアーチューブは寝返りをうつような左右の動きに合っていて寝心地も十分快適です。さらには専用のスタッフサック型ポンプがついており、口を使わなくても簡単に空気が入るようにできている。何とも至れり尽くせりなパッドは、その高いコストの期待を決して裏切らないことでしょう。

Therm-a-Rest NeoAir Xtherm

Best Buy: Sea To Summit ウルトラライトインサレーション マット

NeoAir Xtherm を絶賛しておいて何ですが、Sea To Summit のスリーピングパッドシリーズも性能的にはまったく引けをとらないどころか、価格も含めるとこちらの方が優秀かもしれません。今回の比較ではあえて軽量モデルを選んでいたため、フラッグシップモデルであるコンフォートプラス インサレーション マットとの性能を比較することはできなかったのですが、にもかかわらずこれだけ評価が拮抗するとは思っていませんでした。確かに断熱性では1位にかなわなかったものの、それでも十分に暖かく、その独特のエアスプリングセル構造が他にはない抜群の快適性を提供してくれました。もちろん軽量・コンパクト、そして上でも述べましたがバルブ周りの使いやすさと、より便利に使えるアクセサリー類の存在がさらに道具としての完成度を高めています。別売りのジェットストリーム ポンプサック(激便利)にギリギリ収納できるサイズのため、これとセットでコンパクトかつオーガナイズされたパッド環境が手に入れられるところ。厳冬期以外では、数あるパッドのなかでもエース候補No.1です。

比較テスト:【フリースを超えた!?】最新化繊インサレーション(防寒着)を着比べてみた

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温かいのにムレない、新時代の”動ける”防寒着を徹底比較

冬のアウトドアでは常に着用したままの行動が多いミドルレイヤー。中間着や防寒着とも呼ばれるこれらのウェアは、適度な断熱性を備えるとともに、衣服内の汗を効果的に水蒸気として外へ排出する、寒い時期の行動には欠かせないレイヤーといえます。そんなミドルレイヤーのかつての主役といえばお馴染みのフリースジャケット。しかし、その常識は今シーズンを境に変わるかもしれません。

今回の比較テストで取り上げるのは、アウトドア・ギアの世界では間違いなく2015/2016シーズンの最注目トピックであった、フリースの弱点を補いつつより使い勝手を向上させた新しい防寒着であるアクティブ・インサレーション・ウェアの注目モデル達です(まだネーミングは定まっていませんが、一番しっくりくるので試しにこう呼んでみます)。

その特徴や誕生までの簡単な経緯などについては以前こちらでも紹介しましたが、この防寒着の特徴を端的にいうと、保温性と通気性(汗抜けのよさ)、軽量コンパクトさを兼ね備えた新開発の化繊中綿素材を使用し、ウェア全体では伸縮性を備えることで、冬の行動着として必要な要素を十分過ぎるほど満たした、これからのアウトドアには欠かせなくなるであろう次世代防寒ジャケットなのです。

そんなハイテク化繊インサレーションがさまざまなメーカーから続々登場したのが今シーズン。今回はメーカーや素材の異なる最強候補を編集部が独自にピックアップし、さまざまな角度から比較テストを行ない、それぞれの得意分野の違いなどを中心に比べてみました。例によって前置きしておきますと、今回もすべてのモデルは全体としてはどれも素晴らしいアイテムばかりで、総合点での差はあまり気にせず、それぞれのこだわり部分に注目してもらえると嬉しいです。

すぐに結論が知りたい方はこちらから結果へジャンプ

比較テストアイテム

今回の比較のテーマは「冬の行動中に着っぱなしでもずっと快適な最新防寒着」です。カテゴリとして厳密な定義がないため一部やや強引にはめているのもありますが、ピックアップの基準としては、透湿性能の高い化繊中綿素材を採用している化繊インサレーションジャケットとなります。なお、ラインナップに複数のボリュームがある場合には、厚すぎず、重すぎないモデルを選択しています。

Arc’teryx ATOM LT フーディ

finetrack ドラウトポリゴン3

Houdini C9 Luft Jacket

MAMMUT Eigerjoch Light Jacket

MILLET TOI 3D INSULATED ST ※テストはジャケットタイプで実施

patagonia Nano Air Hoody

テスト環境

2015年9月~2016年2月にかけて複数回の山行で、同じ状況で数時間毎に着替えながら試着し、テスト。その他日常生活、雨降りでも試着。

実地テストによる詳細評価

評価比較

総合順位 1位 1位 3位 4位 5位 5位
アイテム MILLET(ミレー) TOI 3D INSULATED ST HOODIE [トイ3Dインシュレイテッドストレッチフーディー](メンズ) MIV01313 CASTELROCK 3721 LMILLET TOI 3D INSULATED ST
2015~2016 FALL/WINTER MODEL PATAGONIA MEN\'S NANO-AIR HOODY パタゴニア ナノエア フーディー (S, Black (BLK))patagonia Nano Air Hoody
ファイントラック(finetrack) ドラウトポリゴン3フーディ MB FMW0901 Mfinetrack ドラウトポリゴン 3
アークテリクス ARC\'TERYX メンズ Men\'s アトム エル ティー フーディー ATOM LT HOODY Black2015 XL [並行輸入品]Arc’teryx Atom LT フーディ
(マムート) Mammut メンズ アウター ジャケット Eigerjoch Light Insulated Jacket 並行輸入品MAMMUT Eigerjoch Light Jacket
HOUDINI(フーディニ) Men\'s Men\'s C9 Loft Jacket 203794 Summit Blue SHoudini C9 Luft Jacket
ここが◎ 行動時の快適さ、動きやすさ、重量 着心地のよさ、通気性 通気性、動きやすさ 保温性、バランスのよさ、防風性 フィット感、動きやすさ、重量 着心地とバランスのよさ
ここが△ やや保温性 価格、防風性 重量、収納性、ポケット 通気性、運動性 価格、保温性、通気性 価格、重量
保温性
(20)
12 14 14 15 12 13
快適性
(20)
16 19 17 17 14 18
運動性
(20)
19 17 17 14 18 17
汗抜け
(20)
17 17 19 14 14 16
重量
(15)
14 11 9 13 14 9
使いやすさ
(5)
4 4 3 5 4 3
総合
(100)
82 82 79 78 76 76
中綿素材 3DeFX+Ⓡ フルレンジ ファインポリゴンⓇ Coreloft™ PolartecⓇ Alpha PolartecⓇ Alpha
重量(実測) 336g 360g 408g 342g 321g 395g
防風性 × × × ×
撥水性
ポケット 3(左右2、胸1) 4(左右2、胸2) 1(胸1) 3(左右2、内1) 3(左右2胸1) 2(左右2)
フードあり(なし)モデル あり あり なし あり なし あり
参考価格 28,080円 38,880円 26,784円 30,240円 37,800円 34,560円

保温性

防寒着である以上、寒さを感じたときに羽織って温かいということは基本中の基本です。ただし今回のテーマでは、保温性のために他のすべてを犠牲にしてよいわけでもなく、どのモデルもアクティブな性能を保ったなかで最大限、保温性を確保しなければならないという高いレベルの要求であることは念頭に入れておかなければなりません。

そのうえで、比較した中で最も保温性が高いと感じられたのは Arc’teryx Atom LT フーディ。本格的な防寒着にも使われる Coreloft インサレーションが脇下以外全面的にマッピングされ、それが非常に効いています。ただ、patagonia Nano Air Hoodyfinetrack ドラウトポリゴン 3 もそれに引けをとらない保温力はあり、この差は実質的には素材の断熱性というよりも、ウェア全体の防風性の差ではないかと思われます。一方 MILLET TOI 3D INSULATED STMAMMUT Eigerjoch Light Jacket は、本格的な防寒着としてのパフォーマンスはその薄さゆえにしょうがない部分があるかと思いましたが、行動時の保温着としてはまったく問題ありません。

快適性

この項目でキングだった patagonia Nano Air Hoody、次点の Houdini C9 Luft Jacket の2点に共通して上げられるのはまず何といってもきめ細かい裏地のつくり出すソフトで滑らかな肌触り。これが1度着たら病みつきになるほどの魅力で、実際のところ日常で着ていた頻度では圧倒的にこの2着でした。その他スリムだけどキツすぎないフィット感に、ほどよく効いたストレッチ、同じくストレッチ素材を使った袖口の柔らかい当たり、左右のハンドポケットなど、気持ちよく着るということに関してのツボがこれでもかというくらいに押さえられています。他のアイテムも決して悪くはないのですが、総合的な快適さでみたとき、絶妙なバランスでこの2着を上回るものはありませんでした。

bre_ins_test

素材の肌触りとともに快適さを大きく左右するのがウェアのシルエット。着た瞬間にはゆったりめの方が楽ですが、行動中にはタイトで邪魔にならにモデルが使いやすい。

運動性

ここではこのインサレーションのもうひとつの顔である、行動時のパフォーマンスのなかでも運動性、いわゆる動きやすさについて評価しました。結果からいうと、どれも一定以上の満足を得られたうえでですが、長く着比べて最終的に行き着いたのは、MILLET TOI 3D INSULATED ST の安定した動きやすさでした。これには2つの理由があります。

ひとつはスペック的な面。各モデルを眺めてみると、ミレーの3DeFX+Ⓡ、パタゴニアのフルレンジは素材自体が伸縮するという特性をもち、その点で非常に運動性に関してはアドバンテージがあります。次にファイントラックとフーディニの2点は素材自体は伸縮しない一方、全面に使用された表裏の素材が適度なストレッチ性をもっているため、ウェア全体で伸縮性を保てています。そして最後にアークテリクスとマムートの2点は中綿をマッピングした部分には伸縮性がなく、脇下や肘周りなどの可動部分に伸縮性のあるフリースを使用することによってウェアとしてのストレッチ性を確保しているという戦略です。ここから分かるように、ミレーの全体的なストレッチ性が、どのような動きに対しても抜け目なく快適な動きやすさを提供してくれている訳です。さらにはダボつかないシルエットと立体裁断によるムダの無いフォルムが、これも運動時のストレスを軽減させているのも見事。他のどのモデルよりも自然に歩きに集中できる、それが評価の決め手でした。

一方 MAMMUT Eigerjoch Light Jacket についても、特に行動時の動きを妨げない非常にタイトなシルエット、そして肩から肘、袖などの可動部分の多くを構成する伸縮性の高い PolartecⓇ Powerstretch が魅力ではありました。ただその極めてタイトなフィット感が結構人を選ぶのも否めず、クライミングやバックカントリーなどのよりアクティブな運動には適しているものの、リラックスした山歩きには受け入れづらいモデルとなっているように感じられます。

汗抜け

今回の各アイテムを特徴づける最も大きな特性が、この保温着にもかかわらずムレにくいという、優れた汗抜けの良さ。近年続々登場している中綿素材は、優れた断熱性と同時に内部の水蒸気を吸い上げて外に排出する透湿性や通気性を備えています。今回のなかでは finetrack ドラウトポリゴン 3 の汗処理能力が秀逸。その理由は何といっても左右の脇腹に取り付けられたベンチレーションにあります。このベンチレーションが腕の動きに応じて外気を大いに取り込んでくれることによって、どれだけアクティブに行動しても、ファインポリゴン自体の通気性との相乗効果でほとんどムレを感じさせませんでした。

ただ素材自体の性能でいけば、patagonia Nano Air HoodyMILLET TOI 3D INSULATED STHoudini C9 Luft Jacket の3点もファイントラックに勝るとも劣らない汗抜けの良さをもっており、よほどの高い運動量のアクティビティでなければそんなに明確な差は出ないのではないかと思われます。

使いやすさ

ここまでは主な性能についての比較でしたが、この項目ではウェア全体としての使い勝手や汎用性、その他の細かな機能について、評価しています。ここでは総合的に Arc’teryx Atom LT フーディの優秀さが目立ちました。例えばこれらのなかで唯一、アウターとしても使えそうな高い防風性を備えている点や、finetrack ドラウトポリゴン 3 と並んで相対的に高い撥水性能(写真参照)。ポケット類も左右のハンドポケットと胸の内ポケットは、patagonia Nano Air Hoody の4つに次いで使いやすいつくりです。コンパクトに収納できる点も重要です。その他では finetrack ドラウトポリゴン 3 の高い撥水性と防臭性は、他のモデルにはない付加価値として特筆すべきです。

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雨がぱらついた時の撥水性を比べてみたところ。写真での様子だけでなく室内テストでも finetrack の撥水性の高さは頭ひとつ抜けていた。

今回の比較まとめ

Editors’ Choice 1: MILLET TOI 3D INSULATED ST

今回のなかでは最も保温性が低いモデルのひとつであるにもかかわらず、総合的に最も高い評価となったのは、今期新素材3DeFX+Ⓡ とともに登場した新世代ウェア。その理由は一言でいうと、「行動着」としての突出した使いやすさ、クオリティの高さにあります。気温の低いなかで行動中でもじんわりと温かく、それでいて高い通気性は激しい動きにもムレを感じさせず、極めつけは軽量で、なおかつ文句なしに動きやすいシルエットとストレッチが着ていることを忘れさせてくれます。日常でも積極的に使うというよりは、より厳しい環境でのアクティビティにガンガン連れて行く感じです。今回テストしたフード無しモデルは特に激しいアクティビティでの行動着としては使い勝手が高いといえますが、どちらが使いやすいかといえば、フード付きモデルは保温性と汎用性の高さからおすすめです。

MILLET(ミレー) TOI 3D INSULATED ST HOODIE [トイ3Dインシュレイテッドストレッチフーディー](メンズ) MIV01313 CASTELROCK 3721 L

Editors’ Choice 2: patagonia Nano Air Hoody

既に昨年から世界中のアワードを受賞している実績をみれば、ここであらためていうまでもありませんが、このカテゴリを切り開いたパイオニアはやはり強かった。とにかく上質な着心地と十分な保温性、そして高い通気性による快適さは発売からしばらく経った現在でも他の追随を許さず、全体的な品質の高さを証明しています。ただ、適度な撥水性はあるものの、思ったよりも風通しが良いのでアウターにはなりにくいと思ってよいでしょう。やや手の届きにくい価格は、基本的に冬の中間着としてオールマイティに適したことや、日常的に羽織るジャケットとしてもまったく問題ないという部分で十分に満足いくものでしょう。

2015~2016 FALL/WINTER MODEL PATAGONIA MEN\'S NANO-AIR HOODY パタゴニア ナノエア フーディー (S, Black (BLK))

Review:THERMOHAIR SOCKS(サーモヘアソックス)~この冬最も愛用した至福の靴下~

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ソックスに最高の素材は、メリノウールだけじゃなかったという話

ソックスに使われる素材として、ここ数年で最もポピュラーな存在として定着しつつあるのがメリノウール。このサイトで行った比較テストでもそのクオリティの高さは実証済み。夏は涼しく、冬は温かいという優れた温度調節性能に加え、丈夫でしなやか、そして天然の抗菌性など、それら多くの魅力がまさにソックスにうってつけです。かくしてぼくは「1年を通してソックスはメリノウール一択」と、そう結論づけていました。昨年までは。

しかし、相変わらずアウトドアの世界はまだまだ広い。編集部に届いた1本のソックスが、この冬一番のヘビロテになるとは思いもよりませんでした。

そのソックスの名は THERMOHAIR(サーモヘア)。アンゴラヤギの毛(モヘア)のなかでも最も稀少部類である「キッドモヘア」で編まれたこのソックスの何が新しく、何がスゴかったのか。早速レビューしていきたいと思います。

詳細レビュー

アイテム名(参考価格)

THERMOHAIR SOCKS(サーモヘアソックス) ※写真はレギュラーソックス(参考価格:4,320円)

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thermosocks_length

主なスペックと評価

項目 スペック・評価
生地 モヘヤ-68%、ナイロン-32%
抗菌防臭効果 今のところ◯
快適性 ★★★★★
サポート力 ★★☆☆☆
クッション性 ★★★★☆
保温性 ★★★★★
透湿性 ★★★☆☆
速乾性 ★★☆☆☆
総合点 ★★★★☆

ここがスゴイ!

桁違いに快適な履き心地とクッション性

このソックスの素晴らしさを誰かに説明するとしたら、何も迷うことはありません。何も言わずにまずこの裏地に触れてみてもらうのです。触った瞬間に感じるのは、これまで出会ったことのない、滑らかでどこまでも優しい肌触り

DSC03430

ヒミツは当然、この素材にあります。このソックスで使われている「キッドモヘア」とは、アンゴラ山羊(アンゴラヤギ)から採れる毛(モヘア)のなかでも生後1年未満の子ヤギからしか採れない非常に稀少な繊維のことを指します。

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モヘアはウールと違い縮れが少なく、スケールと呼ばれる毛の表面のウロコが小さい(写真)。だから手触りはつるっと滑らか。さらにキッドモヘアの場合は通常のモヘアよりも細く、柔らかいため、一般的にモヘアより繊維が細くて柔らかいといわれているメリノウールと比較してもその違いは明らか。まさに病みつきになる心地よさです。

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左はメリノウール、右がモヘアの繊維を拡大した顕微鏡写真

さらに、元の長さから30%引き伸ばしてもビクともしないという優れた弾力性と、5mmという非常に毛足の長いパイル地によって、高いクッション性と心地良い肌触りを可能にしています。クッション性については参考までに、これまでの冬の定番であるメリノウールの最厚タイプ、スマートウール マウンテニアリング(写真左)と、春~秋の定番、スマートウール PhDアウトドアヘビークルー(写真右)とを比較した写真を載せておきます。パイルの長さはサーモヘアが最も長いですが、全体的にはマウンテニアリングの方が目も詰まっていて若干厚め、クッション性も最も高く、サーモヘアはちょうど右のPhDヘビーと同じくらいのクッション性です。

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スマートウールのマウンテニアリング(左)よりも目が詰まっていない分、クッション性は少ないが、PhDヘビー(右)と比べるとその圧倒的に大きなパイル地でほとんど変わらないクッション性を実現。

 

優れた保温性と吸湿性

アンゴラ山羊はそもそもチベットやヒマラヤなどの寒冷地に生息していただけあって、その繊維は断熱性に富み、外気温を伝えず、体温を逃しません。調べた限りでは、確かに一般的にはウールに比べて保温性が高いわけではないようですが、このソックスに関していえばキッドモヘア自体の品質もさることながら、5mmのパイル編みなどによって効率的に空気の断熱層が生成され、保温性が劣っているということはまったくありません。その保温力の高さは2月のテント内で、先ほど最厚ソックス、スマートウール マウンテニアリングとサーモヘアを一晩左右履き比べしたときに実感しました。驚いたことに、厚みで劣るサーモヘアが、これまで”最温”と考えていたマウンテニアリングにまったく引けをとらない保温力を発揮したのです!

それでいてウールと同様、吸湿性に優れたモヘアは天然の調温・調湿機能が備わっているため夏は涼しく、冬は温か。汗をかいても常に靴下の中はサラサラです。

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丈夫で長持ち、手入れも簡単

別名「ダイヤモンドファイバー」とまで呼ばれるモヘア繊維は、世界中の獣毛のなかでも最も頑丈な繊維といわれています。メーカーによると、このソックスが完成したとき、小売店からいわれた一言が、「こんなに丈夫な靴下は売れないよ!すぐに破れるような靴下を作りなさい」であったとか。確かに1ヵ月強使用した現在でも、若干毛玉が出る程度で、耐久性そのものは特に気にならず。ちなみにしばらく履いていると、踵やつま先など強い荷重がかかる部分のパイルはつぶれてきますが、本質的な劣化とは違い、保温性や通気性には特に影響ありません(問い合わせて確認もしました)。

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踵部分に見られたパイルのつぶれは、保温性・クッション性ともに問題なし。

そして何よりダウンや高級天然繊維のようなデリケートな扱いが不要なのが非常に助かります。基本的には最新のメリノウールと同様、裏返してネットに入れ、洗濯機に放り込むだけでまったく問題なし(詳しい手入れ方法はメーカーサイトに掲載されています)。Amazonのレビューの中にはこのソックスが洗濯で糸が抜けるという話がありましたが、それは製造過程で残してある「遊び毛」というもので品質とは別の話。はじめのうちは必ず出てくるもので、メーカーの指示通り処理していればそのうちなくなっていきました。

ここがイマイチ

サポート力

他のアウトドアソックスと比較した場合、安定した歩行をサポートするというテクニカルな仕様が弱いところが気になりました。現在では多くのアウトドア・ソックスメーカーが取り組んでいる、足のつま先から甲、土踏まず、踵、足首にかけての圧力やクッションをコントロールすることでよりフィット感・ホールド感を高めたりするような仕様が弱いため、よりアクティブな動きに対応してズレを少なく安定させたり、疲労を抑える等の工夫が少し足りないところは否めません。

ラインナップのなかで比較すると「ウォーカーズフィット」が最も動きに強いフィット重視の作りをしているのですが、若干細い糸でパイルも小さめに編まれているため、レギュラーのもつ肌触りと保温性が少なくなってしまうのが残念なところ。レギュラーの厚み・長さでウォーカーズフィットのフィット性を備えていれば最高です。

価格

稀少な素材ゆえの少量生産だからか、残念ながら価格はこなれているとはいえません。

まとめ:どんな活動におすすめ?

冬に最適かどうかという視点で見ると、このソックスの素材であるキッドモヘアのもつ特性はメリノウールに匹敵するどころか、むしろ超えている部分もあるくらいの素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれました。

まとめると、キッドモヘアの優れた点は以下の3点。

  • 優れた断熱(保温)性
  • なめらかな肌触りと快適な履き心地
  • 丈夫で簡単な手入れ

その特性が存分に活かされたのが今回のサーモヘアソックス。日常使いはもちろん、保温と通気が同時に求められる冬のアウトドアに最適で、例えばスキーやスノーボード、スノーシュー、冬山登山、冬キャンプなどのさまざまなウィンターアクティビティに上質な快適性を求める人には自信をもっておすすめできます。一方、ランニングやスピードハイクなどの極端にアクティブな活動に関してはまだ他製品に分があります。

なお、今回3つのラインナップを履き比べてみましたが、より普段使いにマッチするのがアンクルソックス、冬のアクティビティ全般にはレギュラーがよいでしょう。よりアクティブなシーンにはウォーカーズフィットがありますが、こちらはキッドモヘアの特徴がやや抑えめでなので、はじめてサーモヘアを体験するのであれば、まずはレギュラーかアンクルをおすすめします。

サーモヘアソックスの詳細情報については公式ページへ

THERMOHAIRサーモヘア・レギュラーソックス チャコールグレイL(25-27cm)

(サーモヘア) THERMOHAIRアンクルソックス L ツィードグレイ

サーモヘア ウォーカーズ ロングL(25?27cm) チャコールグレイ


【お知らせ】RUN+TRAIL Vol.17(2016年04月号)に寄稿しました

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DSC03675本日(2/27)発売の三栄書房刊「RUN+TRAIL Vol.17」に、「超軽量レインウェア」をテーマにした6ページほどの記事を書かせていただきました!

今年はじめにこのサイトの趣旨に賛同してくれた編集の方からお話しをいただき、そこからこつこつと進めていたのですが、無事、発売日を向かえてようやくみなさんにこうしてお伝えすることができます。Outdoor Gearzine として他のメディアに露出するのはこれが初めてのことなります。

内容はというと、今号では「GEAR MANIAX」と冠したアウトドア(トレイルラン)ギア特集があり、そのなかで当サイトはレインウェアの選び方について担当しました。

WILD -1 スタッフ・青木仁さんに聞く最新レインウェア選びのポイント

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記事は大きく2つのトピックに分かれ、前半はレインウェア選びの最新事情について、”素材オタク”でもあり実際のアウトドアショップのスタッフでもある青木さん(WILD-1 多摩ニュータウン店)に直接話しを聞きに行くという、この雑誌のためのオリジナルコンテンツ。さすが日々いろんなお客さんと会話を交わしているだけあって、レインウェア選びで初心者が躓きやすいポイントを分かりやすく、具体的に語っていただきました。これは余談ですが、実はインタビューの大部分は面白いんだけど、噂通りマニアックで際どい話ばかり!泣く泣くバッサリとカットせざるを得ませんでした。でもその辺のエッセンスは、こちらのサイトの読者には今後しっかりと反映させたり、させなかったりしていきたいと思いますので、どうかご期待ください。

比較テスト「超軽量レインウェア選びは何を重視すべき?」

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後半部はこのサイトで人気のトピックである「超軽量レインウェア」について、お馴染みの比較テストをベースに、トレイルランというテーマに合わせて再検証・改訂しています。ベースは元々ハイキングを想定して書かれた記事ですが、実際この種のレインウェアはトレイルランのようなアクティブな新しいスポーツにピッタリなアイテムでもあるので、トレラン愛好家の方々にも参考になるのではないかという話をいただき、チャレンジしてみることになりました。もちろんこのために新たな資料にあたったり、ランナーの方数人にヒアリングしたり、いつも歩き慣れているコースを実際に走って再テストしてみたり、そして編集者のご尽力によって、トレイルランにも十分参考になる比較レポートになったのではないかと。

ハイカーも、トレイルランナーも読んで欲しい!

基本的にはトレイルランについての内容が主体ではありますが、素材のこと、ウェアの手入れ方法など、アウトドア全般に役立つ情報がたくさん詰まっていますので、今号は幅広い人たちに愉しんでもらえるはずです。

登山とトレイルランというと、何となくお互い相容れない志向のように思われがちですが、それは何だかもったいない。自然に対するアプローチは違えど、山を通じて人生を豊かにするという点では同じ、どちらも自然をフィールドとした表現のひとつなわけで。実際にそれぞれの良さを知ることで、実はお互い単なる食わず嫌いなだけだったなんてことがあるかもしれない、少なくともこのサイトではそう考えています。だからぜひ、登山しか知らない人にはこの雑誌を手にとってトレイルランを知って欲しいですし、トレランしか知らない人はこのサイトを覗きにきてもらい、お互いがそれぞれの世界に少しずつ触れて、どっちも何となく楽しそうだなーと思って貰えたなら何よりです。

そんなわけで、全国のアウトドア愛好家のみなさんはもれなくぜひ手にとって読んでみてください!

軽量・快適・機能的。多彩な顔ぶれのMILLET(ミレー)新作ライトウェイト・バックパックから目が離せない

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新しいバックパックは、軽量化のその先へ

必要以上の重荷で身を固めるのではなく、そぎ落とされた最小限の装備で、自然とより深く向き合う──。90年代末、北アメリカの4,000kmを超える超ロングトレイルを歩くために体系化された新しい登山スタイルである「ウルトラ・ライト(UL)」の思想は瞬く間に世界へと広まり、今や多くの熱狂的な愛好家たちを生み出すに至りました。

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色々な功罪はあるものの、近年のアウトドアではそんなUL思想に影響された、できるだけ軽い荷物で軽快に山を駆け抜けるスタイルが人気。歩くだけならば単純に荷物は軽いに越したことはないわけですから、こうしたスタイルに対応するギアが数多く生まれることは1ユーザーとしては大いに歓迎すべきです。

ただ、バックパックに限った話でいうと、純粋なUL系のバックパックはとにかく驚くほど軽い一方で、背中のフレームやウエストベルト、ポケットやアタッチメント類といった、快適・便利な機能を根こそぎ切り詰めるというストイックさがありました。

もちろんそうしたUL系のパックにはある条件下での合理性があることは確かですし、ユーザーを否定するわけでは決してありませんが、そうした先鋭的なパックに対して「軽さは正義。でも、軽さの奴隷になんてなりたくない」と感じていたのは確かです。

ある程度の軽量性は追求しながらも、最先端の快適さと機能性をきちんと盛り込んだ、道具としての完成度が高いバックパックはできないものか。多くの人々も同じようにそんな思いを抱いていたのか、2016年、そうした気配を裏付けるような期待の新作が続々と登場するという、非常に興味深い流れがきているようです。

前置きが長くなりましたが、そんなわけで Outdoor Gearzine では今年、軽さと快適性・機能性が絶妙なバランスで昇華した「ライトウェイト」と呼ばれる分類のバックパックたちに注目していきたいと思います。具体的な分類でいうと、500gを切るような「ウルトラ・ライト」でもなく、1,500gを超えるような従来水準のボリュームでもない、主に容量30~50Lに対して約1,000g前後の重量にあたるカテゴリ。さまざまなメーカーの「これは」と思える新作をこれからできる限り紹介しながら、夏あたりを目標に比較テストをしていきたいと思っています。

それでは記念すべき第1回目、フランスの老舗総合アウトドア・メーカーであるミレーの新ラインナップを紹介します。

MILLET のライトウェイト・バックパックは個性の違う優等生3兄弟

今でこそ取り扱いアイテムは多岐にわたる総合アウトドアメーカーのミレーですが、なかでもお家芸といえるのは何といってもバックパック。古くは1950年、現在でも”最も危険な8,000m峰”といわれるアンナプルナを初登攀したフランス隊が使用したことによって世界にその名を知らしめた伝説のバックパックをはじめ、60年代には欧州初の全ナイロン製バックパックを世に送り出すなど、経験に裏打ちされた信頼と革新の精神は、今でも脈々と受け継がれています。そんなヨーロッパのアルピニズムの雄でもあるミレーが導き出した答えは、どれも「これぞミレー」でありながらも、継承されてきたDNAの配分がそれぞれ微妙に異なる優等生3兄弟でした。

各アイテムの主な特徴

“正当派快速”ライトウェイト:VENOM(ベノム)30

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昨年のモデルから継続して展開されるベノムシリーズは、今回の中では最も”ファストパッキング向け”なモデル。今年は細かい部分での見直しが入ったことによってその個性により磨きがかかりました。

ファストパッキングやウルトラライト系のバックパックでは大前提ともいえる重量については、実測で約920gですから十分及第点。ミレーのパックに特徴的なのはそれにもかかわらずファストパッキングに適した先進的な機能がふんだんに採り入れられている点にあります。

例えば背面側から素早く天蓋を開閉できるオポジットオープニング™や、行動中にパックを下ろさずポールを取付けられるスピードポールループ™、アックスやポールを上から簡単に差し込むように取付けられるクイックアックス™など、都度ザックを下ろすことなくスピーディに行動できる工夫の数々。

そしてバックパネルには人間工学に基づいて開発されたフォーム構造、清潔で環境に優しいアリアプレンⓇフォームを透湿性の高い3Dメッシュで覆うなど、軽量性・機能性と快適性を兼ね備えた仕様になっており、高い運動量にも快適さを失わないような工夫がなされています。

シルエットも一般的なウルトラライト系に近く、3つのなかで最もスリム。これが上半身の大きく自由な動きに対応し、テクニカルな地形にも柔軟に対応します。

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背面からのアクセスを可能にするオポジットオープニング™(左)と素早いポール収納を可能にするスピードポールループ™


“快適・便利”ライトウェイト:ELIUM(エリウム)30

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ウルトラライトという文脈からすると1,150gという数字は決して誇れる数字ではありませんが、それも納得してしまうほどの使いやすさと快適さを備えているのがエリウムシリーズ。一般的な縦走用バックパックで「1,500g超」は当たり前という状況ですから、驚くほど軽快な週末ハイキングパックとして考えるとその魅力が分かりやすいのではないでしょうか。

特徴は何といってもメッシュのバックパネルと背面の通気性を促進するエアフロー・サスペンデッド・バックシステム構造。いくつかのバックパックメーカーで既に採用され、真夏の行動時における快適さは実証済みです。ただ、そのためには背面フレームとメッシュパネルの二重構造にする必要があるわけで、通常この手の軽量パックにとっては真っ先に削られて然るべきところのはず。あえてそこで快適性追求してくるところにこのパックの個性があるといえるでしょう。同じように、メインコンパートメントに直接アクセスできるフロントジッパーやパック底部のロードストラップの存在も、あえて軽さではなく快適・便利さに重きを置いていると思わせるもうひとつの大きな特徴です。

それでいて、快適な行動にとってありがたい機能も忘れてはいないところがこのパックのバランスのよさ。ベノムシリーズにあったスピードポールループ™、クイックアックス™など、一段と軽快な歩行をサポートしてくれます。

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左から、快適な背中の通気を可能にするエアフローサスペンデッドバック™、フロントアクセスジップ、スピードポール™システム


“最軽量・シンプル”ライトウェイト:ZENITH(ゼニス)30

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ミレーのバックパックのなかでもとにかく桁違いに軽いのがゼニスシリーズ。これまでの2つは軽さのなかにもある程度機能性を盛り込んでいましたが、このモデルに至っては清々しいくらいに機能がそぎ落とされています。奇妙なことに、もしこのパックを20年前に見たとしても違和感はなかったかもしれない。そんなある種の懐かしさを感じさせるくらいにシンプル。だが、そこがいい。ある意味それこそがこのバックパックの魅力ともいえます。

基本的にはスリムなシルエットですが、それでも他の2つに比べると、底部はワイドで安定感に優れ楽に自立します。そして何より荷物をたくさん入れやすく、その意味で収納性の高さが感じられるパックです。

背面のエアコネクトバック構造は、柔らかいクッションを備えたバックパネルを高い通気性と肌触りのメッシュで覆う二重構造。フォームパッド入りショルダーストラップとヒップベルトは極限まで肉抜きされつつもクッション性を失わずに通気性抜群。軽量化の中でも十分な快適性は失っていません。

シンプルであることは物理的にもパーツが少ないという意味で、耐久性の高さも十分期待させてくれます。ここまでシンプルな構造ですと当然、評価が分かれる部分もあるかもしれませんが、とことん軽量かつ堅牢、大容量という道具としてのベーシックな価値に特化したこのモデルこそが、ストイックで硬派な真のスピードハイカーに適していると考えるのは僕だけではないはず。

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その他の主なパーツ比較

メイン開口部とリッド(天蓋)

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背面側から開閉するベノムの「OPPOSITE OPENING™」がひときわ印象的なメインコンパートメントへのアクセス。さらにベノムだけは天蓋の裏側にもジッパーポケットが付いており便利。

フロントポケット・アタッチメント

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ベノムには伸縮性のある大きめのストレッチメッシュポケットと、ヘルメットも着脱可能なコードが付いています。エリウムのポケットはゼニスに比べればやや膨らみがあり、より使いやすい仕様です。

バックパネル

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3つともアプローチの方法は違いますが、基本的にどれもある程度しっかりとしたフレームが配置され、軽量バックパックとしては十分に快適な背負い心地と高い通気性を提供しています。まだ使い込んで比べたわけではないものの、このなかではベノムの軽量かつシンプル、それでいて快適なフィット感が個人的にはお気に入り。

サイドポケット・アタッチメント

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両サイドのネットポケットは材質は異なるものの3つとも共通して配置されています。一方、ベノムのサイドコンプレッションストラップは今年から下部のみとなり、重いギアにはやや不安が。ただ一方で、2方向のテープを1つのバックルで調節可能な仕様や、ストレッチの効いたメッシュポケットなど、他にない機能性の高さが見られます。

まとめ:どんな人におすすめ?

以上見てきた3つのバックパックの特徴とスペックを以下の表にまとめます。前提として、どれも基本的な作りはしっかりしているので、オールマイティなアクティビティに使えます。その上で、好みや目的によって微妙な向き不向きがあるので、以下の表が参考になれば幸いです。ただ、メリット・デメリットというのも人によっては逆転しうる可能性もあり、あくまでもひとつの目安として、最後には必ず実際に自分で背負った感覚を大事にしてくださいね。

項目 VENOM 30 ELIUM 30 ZENITH 30
ここが◎ 軽量性、スピーディな行動を可能にする機能性 通気性良く快適な背面、パッキング・ハイキングに便利な機能性 最軽量、重心の安定性、大容量
ここが△ パッキング性能 重量、パッキング性能 シンプル過ぎる機能性
おすすめアクティビティ スピードハイク、ファストパッキング 夏のハイキング、トレッキング ファスト&ライトスタイルのクライミング、沢登り
Fabric
  • リップストップナイロン 210D HT
  • オックスフォードナイロン 420D HD
  • ナイロン 200D
  • リップストップナイロン 200D
  • オックスフォードポリエステル 600D
  • ナイロン 200D
  • リップストップナイロン 200D
  • オックスフォードポリエステル 600D
size ワンサイズ ワンサイズ ワンサイズ
容量 30L 30L 30L
重量 約920g(実測) 約1,150g(実測) 約840g(実測)
アタッチメント
  • クイックアックス™ ポール+アイスアックスホルダー
  • SPEED POLES™ システム
  • 2サイドコンプレッションストラップ
  • クイックアックス™ ポール+アイスアックスホルダー
  • SPEED POLES™ システム
  • 2サイドコンプレッションストラップ
  • クイックアックス™ ポール+アイスアックスホルダー
  • 2サイドコンプレッションストラップ
ポケット
  • 3ストレッチポケット(フロント・サイド)
  • 2ジップポケット(天蓋)
  • 1ウェストベルトジップポケット
  • 1フロントジップポケット
  • 2メッシュポケット(サイド)
  • 1ジップポケット(天蓋)
  • 1ウェストベルトジップポケット
  • 1フロントジップポケット
  • 2メッシュポケット(サイド)
  • 1ジップポケット(天蓋)
  • 1ウェストベルトジップポケット
ハイドレーション対応
付属レインカバー
バリエーション
  • VENOM 40
  • VENOM 30
  • VENOM 30 LD(女性向けモデル)
  • VENOM 20
  • VENOM 15
  • VENOM 10
  • ELIUM 35
  • ELIUM 30
  • ELIUM 30 LD(女性向けモデル)
  • ELIUM 25
  • ELIUM 25 LD(女性向けモデル)
  • ELIUM 20
  • ELIUM 20 LD(女性向けモデル)
  • ZENITH 30
  • ZENITH 20
  • ZENITH 15

世界のアウトドアシーンを影で支える日本メーカーに会いに行ってきた ~株式会社ニフコ ショールーム取材レポート~

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最近、アウトドア界隈でにわかに耳にするようになった「日本のアウトドア・メーカーが熱い」という声。その大きな流れは、2000年代に入って一気に多様化し花開いていったアウトドアの楽しみ方・スタイルと呼応するように誕生したティートンブロス山と道パーゴワークスローカスギアなどの大小さまざまな個性派メーカーによって象徴されることが多く、こうした新しい感性には当然このサイトでも引き続き注目していきたいわけです。

でも今日の話はちょっと違う。そんなメインストリームでの盛り上がりをよそに、40年近くものあいだ、世界のアウトドア産業の最先端を影で支え続けているとある日本メーカーの話です。

その会社とは、主にバックパックなどには欠かせない留め具である「バックル」などを開発・製造している nifco(ニフコ)さん

正直、はじめてニフコと聞いたときには何の会社か、アウトドアにどんな関係があるのか、まったくピンとこず、「バックルを作っている会社だよ」と教えてもらっても「バックル?メーカーが普通に考えて作ってるんじゃない?」と、今まで何も意識せずに当たり前のようにあると考えていた自分に気がつきます(スイマセン)。

でも、そういえばいろいろなバックパックを細かく見るようになってから「このバックル、上手いなぁ」とか「このバックルの使い心地がイイ」などと妙に感心したり、愛着を感じたりしていたことも事実。そのバックルを「作る人」がいるという事実に今更ながらぶち当たり、バックルという部品にはじめて本当の意味で向き合うようになったとき、俄然、興味が湧いてきました。これは会ってみたい!

そんなニフコさんを縁あって取材させていただくことができましたので、今回は日本が誇る”アウトドア”メーカーの貴重なレポートをお送りしていきたいと思います。

ニフコのショールームにお邪魔してみた ~ニフコとバックルづくり~

1月某日、横須賀のニフコ技術開発センター内にあるショールームにお邪魔してきました。まず敷地内に着くなり、いきなり眼の前にドデカい建物がお出迎え。実はニフコは来年で50周年、世界に50を超えるグループ会社を束ねる巨大なグローバル企業。敷地のスケール感からして違います。

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ニフコ技術開発センター(参考写真)。緑に囲まれ広々とした敷地内に突如、近未来なそれは現れたのでした。


一見地味な部品メーカーの正体は、ベンチャー精神溢れるチャレンジャー

はじめに、ニフコはバックルを作る会社といいました。しかしこれだけの規模の会社ですから当然、バックルを作っているだけの会社ではないんです。

ニフコって、そもそもどんな会社?なぜアウトドア?なぜバックル・・・?バックルをめぐる熱い物語の核心に入る前に、まずはショールームを眺めながら、ニフコという会社のことをご紹介しましょう。

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押し込むだけで留められるファスナーは、まさに後のバックルへと繋がっていく技術の源流。

ニフコという会社の源は、事業家であり創業者でもある小笠原敏晶さんが60年代後半に立ち上げたファスナー事業に端を発します。当時の技術力で最先端をいくアメリカITW社が開発した「樹脂(プラスチック)製工業用ファスナー」は、これまで両側からネジ止めしなければならなかったものが、片側からポチッと押し込むだけで留めることが可能になるという、画期的な製品。特に自動車や家電製品の生産ライン等においては未来の留め具として採用されていくはずの部品でした。

この製品の日本での製造・販売権をいち早く獲得したニフコは、早速日本中のメーカーに営業活動を開始。しかし、当初は期待に反してまったく売れ無かったとか(※)。何度も門前払いを食らいながらも、信念を持って地道に改良・提案を続けていくと、やがて事業は飛躍的に成長。ニフコの製品は自動車のさまざまなパーツを担うようになり、さらにニフコの技術を活かした製品は自動車以外の事業領域にもどんどん拡大していきました。

※NIKKEI VENTURE 2001年1月号 より

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入口では隅々まで組み込まれたニフコ製品で形作られたクルマのオブジェがお出迎え

例えば家電産業。AV機器からパソコン、プリンタなどの精密機器に使われている多くのプラスチック部品にニフコの製品が採用されています。

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プリンタが紙を1枚ずつ送れるのも、ノートPCの開閉角度が自由に調整できるのもニフコのシゴト。

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今では懐かしいカセットデッキのドアが「ゆっくり開く」あの仕組みも、ニフコの開発した新しい油圧ダンパー技術による発明。

そしてもちろん今回のテーマである、アウトドア産業へも拡大が進んでいきました。ここまで来ればもうお分かりかと思いますが、アウトドアをはじめとしたライフスタイル産業への進出も、ニフコがもつ「繋ぐ」「留める」技術の発展の結果だったというわけです。今ではバックパックには欠かせないサイドリリースバックル、ファッション・アパレルで大活躍のコードロックやアジャスターなど、今となってはありとあらゆるアウトドアやスポーツ、旅行用品で広く採用されています。

小さなバックルひとつひとつに込められた、モノづくりの物語

ショールームのアウトドア製品コーナーにはこれまでに開発されてきたバックルやコードアジャスターなどのパーツがズラリと並びます。もちろんここに展示されているのは製造されたうちのごく一部でしかありません。毎年常に新しい型が生まれており、昨年も何と年間で40近くもの新作が誕生しているとか。

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この新製品の数を見て分かるとおり、さまざまなアウトドア・ギアに使われているバックルやコードアジャスターの多くは、ニフコが各アウトドア・メーカー、各モデルのもつコンセプトに従い、メーカーの思いや要望に対して真摯に、丁寧に向き合った末に、オーダーメイドで新しい金型を開発していきます(もちろん既製のバックルを採用することもありますが、それらとてきめ細かいニーズに応えられるよう、恐ろしく多様な種類のデザインが存在しています)。

例えば、同じ軽量バックパックのためのバックルを開発するとしても、あるメーカーではとにかくバックルの内部をとことん肉抜きし、軽量化を突き詰める。一方別のメーカーでは、軽量化しながらも、外からの衝撃に耐えうるだけの強度は譲らず、肉抜き具合を微妙に抑えたバックルが生まれる(写真)。一見するとほとんど変わらない形をしていながら、決して相容れない差異がそこにはある。どちらも「この形」でなければ製品として成立しないといいます。

極限まで肉抜きした右のバックルと、肉抜きを微妙に抑えた左。たとえ見た目はほとんど変わらないとしても、同じものでは、ダメなのだ(写真が分かりにくくて申し訳ない)。

確かに、ニフコのつくるパーツは決して表に立つモノではありません。しかし、ぼくたちが製品のクオリティとして実感している確かな感動の裏には、実はこうした小さなパーツパーツでの妥協なき品質の追求がありました。モノの品質を測るとき、ぼくたちはどうしても目立つ要素ばかりに眼がいってしまいがちですが、「本当の意味での製品のクオリティとはこうしたことの積み重ねによってつくられるのだ」という、当たり前の事実をあらためて思い知らされる展示の数々に、ただただ胸熱です。

もしこれまで一度も注目したことがないという人はぜひ今一度、この小さいパーツに目を凝らしてみてください。たった数センチ四方の小さな部品のなかには、メーカーとニフコとが1ミリ、1グラムにこだわってきた本気のモノづくりが詰まっています。

そんなひとつひとつの製品に込められたリアルなエピソードやこれまでの苦労が詰まったバックル事業部の歩みとは?

これからも引き続き、実際に製品の企画・開発を担当されている方に突っ込んだお話しをレポートしてきたいと思います。時期などすべては未定ですが、ぜひ続編をお楽しみに!

First Look:ULTIMATE DIRECTION(アルティメイト・ディレクション)Fastpack(ファストパック)30 ランもハイクも捗る超軽量バックパック

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Ultimate Direction(アルティメイト・ディレクション、以下UD)というブランドを知ったのはごく最近のことです。30年以上も前から続くブランドにずっとめぐり会わなかったのはある意味、無理もないこと。「すべてのアスリートたちに究極のハイドレーションを提供する」ことを企業のミッションとして掲げる同社はベスト型の「ハイドレーションパック」の草分け的存在であり、長らくウルトラマラソンやアドベンチャーレースをはじめとした長距離レースのためのギア・メーカーとして活動していました。

そんな多くの山屋にとって馴染みのないメーカーだったUDがランナーやウルトラライト・ハイカーのために開発した、軽量で機能的なだけでなくスタイリッシュなライトウェイト・バックパックは、低い知名度にもかかわらず売り切れ続出、現在では入手困難な状況が続いています。その人気は果たして実力なのかどうなのか?確かめてみたいということで、今回はライトウェイトバックパックのなかでもさらにニッチなターゲットを狙った異端児、Fastpack 30 を海外通販を駆使して入手しましたので、早速取り上げてみたいと思います。

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速報レビュー

アイテム名

ULTIMATE DIRECTION(アルティメイト・ディレクション)Fastpack(ファストパック)30

ULTIMATE DIRECTIONについて

(アルティメイトディレクション)ULTIMATE DIRECTION (ULTL6) AK RACE VEST 2.0 80457514 - (GM) S/M

アルティメイト・ディレクションは、1985年に“ハイドレーションパック”という新しいカテゴリーを発明しました。それから27年、3人の世界最高のウルトラランナーたちとともに開発した「シグネチャー・シリーズ」が完成。そして2014年には、初の女性専用シリーズが登場します。このように私たちの製品は、スポーツシーンに革命をもたらしながら、同じ場所にとどまることなく今も進化を続けています。

「アスリートにとって最高の製品を生み出せるのは、アスリート自身である」。10年前、私自身がユーザーとして実際に使用しながら初期の製品を進化させたように、アルティメイト・ディレクションの原点は、いつもここにあります。

日本語公式HPより

主なスペック

項目 FASTPACK 30
ここが◎ 軽量性、動きやすさ、機能的なポケット類
ここが△ 重荷への対応、耐久性
おすすめアクティビティ スピードハイク、ファストパッキング
Fabric
  • リップストップナイロン
  • モノヘックスメッシュ
  • 340g パワーストレッチメッシュ
size 適応胴囲 S/M : 60~102cm M/L : 81~116cm
容量 20~30L
重量 約703g(S/M)
重量/容量 23.4g/L
アタッチメント
  • 2ポール・アックスホルダー
  • フロント両側面にデイジーチェーン
  • サイドコンプレッションストラップ
ポケット
  • 2フロントボトルポケット
  • ジッポー付きフロントポケット(大小)
  • ハイドレーションタンク収納ポケット
  • 大型パワーメッシュポケット
  • 2サイド収納ポケット
ハイドレーション対応
付属レインカバー ×
バリエーション
  • FASTPACK 20

ここがスゴイ

ランや早歩きに快適なベスト型ハーネス構造

このパックの一番の特徴は、何といってもベスト型の機能的なハーネス構造にあります。これまでもウェストベルトを省略するというアイデアは、ウルトラライト・ハイキング(UL)系のバックパックではよく見られるパターンでした。ただその場合、軽量化と引き換えにショルダー部分の快適性は諦めなければならないケースが残念ですが多かった。

ところがこのバックパックはそんな心配はまったく無用。幅広のショルダーベルトと適度な硬さをもった背面パネルは荷重を分散し、快適なクッション性を実現。さらに2本の調整可能なスターナム(胸骨)ストラップと脇下のサイドストラップが胸をはさんで圧迫することによって高いフィット感と安定性を生み出し、歩きはもちろん、走っている時でもブレにくい、絶妙な背負い心地を提供してくれます(後述しますが、あくまでもトレイルランやファストパッキングなど、このパックの想定するアクティビティでの常識的な重量を詰めた場合の話)。

ウェストベルトがないということはある面では弱点ですが、一方で大きな足上げが必要な急坂や階段状のトレイルで自然な動きやすさを与えてくれるというメリットもあります。

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利便性と荷重バランスを向上させるショルダーベルトの収納

パックを下ろしての休息時間を惜しむファストパッキングでは、なるべくパックを背負った状態で各種ギアにアクセスしやすい仕組みが求められます。その意味で、ハイキングにも使えるバックパックで、ここまで大胆にショルダーベルトを便利にしてしまったのは Fastpack が初めてではないでしょうか。

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左右のショルダーベルトにはボトルや地図、携帯電話など頻繁に使うアイテムを収納可能なポケットが合計4つついています。ボトルホルダーの生地は伸縮性があり、見た目以上に大容量のウォーターボトルや補給食をセットできます(下の写真では20ozのボトルと800mlのステンレスボトルを配置)。もちろんメインコンパートメント内にはハイドレーションを格納しておくためのサブバッグとチューブを通す穴もついており、当然ですがハイドレーションに関しては万全です。

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前方に重量のあるボトルを配置できるということは、利便性だけでないメリットも。これまで背面に集中していた重量を前に分散させることによって重心のバランスがとりやすくなり、ランニング時の機動力アップにつながります。

フロント右側と左下にあるジッパーポケットは大小合わせて厚み・深さともにちょうどよいサイズ。ここには例えばスマートフォン、マップ、デジタル・カメラ、軽食、ヘッドライト、手袋、日焼け止め、リップクリーム、コンパスといった頻繁に使われるアイテムを好みに応じて心おきなく入れておくことができます。ちなみにパックの右側面にも小物が入る比較的大きめのジッパーポケットがついています。

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フロントとサイドのストレッチメッシュポケット

ロールトップ型の入口は、1度口を閉めるとにかく出し入れが面倒。このため軽量バックパックにとってパックの外側ポケットの使い勝手はそのままバックパックの評価にも繋がりかねない重要部分ですが、アクセスの良いフロントと両サイドに配置されたメッシュポケットは、びっくりするほど伸縮し、なおかつ強度もあるので、これまで考えられなかったような色々なものを入れておくことができます。

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下の写真のように、左右のポケットにはナルゲンボトルの1000mlや1人用のクッカーセットを、フロントの大きなポケットにはレインウェアや防寒着、行動食がそのまま入れておけるので、やり方によっては行動中にメインコンパートメントを開けないで乗り切るということも可能。おまけにフロント左右にはポールやアックスのアタッチメント、下部のループにストラップ(別途用意)を通せば寝袋やテント、マットなども取り付け可能。登山にどっぷり浸かっている人間からすると、外側収納をここまで最大限活用するという発想は正直ありませんでした。

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ストラップを通すことができるデイジーチェーン(左)、トップとサイドを両方固定しているサイドストラップ(中)、フロントのアタッチメントはポールやアックスを2つ装着可能(右)


ここがイマイチ

重荷への対応(汎用性)

トレイルランやファストパッキングのような、軽量な荷物でスピーディに駆け抜けるスタイルのアクティビティにはっきりとターゲットを絞ったこのパックは、その代償としてどんな状況にも耐えられるような汎用性の高さは持ち合わせていません。

より軽く、動きやすくするためにウェストベルトを省いた構造は、すべての荷重が肩周りにかかるため、重荷での行動にはまったく適していません。通常30Lも入るようなバックパックであれば15kg弱までは適正重量ですが、このパックに関しては、試した限り総重量が10kg近くなると、肩に掛かる負担が無視できなくなってくる感じがしました。

耐久性

やはりバックパック専門メーカーのそれと比べると、耐久性に関しては様々な部分で懸念があります。パック全体やストラップ使用されているナイロン生地は薄く軽量な反面、柔らかく撚れやすい素材です。また多くの機能を支えるバックルなどのプラスチック素材も薄く、小さい作りのため脆さを内包しています。

まとめ:どんな人におすすめ?

多くの歴戦アスリートやハイカーのフィードバックによって磨かれたFastpack 30 はアクティブな旅行や日帰りハイキングから、ウルトラライトのテント泊、トレイルランなどの軽快なアクティビティに最適な機能と十分な容量を備えたベストタイプのバックパックです。あなたがもし山を垂直への挑戦ではなく、自然の中でのフィットネスとして考えるならば、このパックへの第一関門はくぐり抜けているといえます。どちらかというと「万能、堅実、頑丈」よりも「軽快、スマート、スタイリッシュ」を志向するようであればさらによし。

登山のバックパックには珍しくブランドロゴが映える素敵なデザイン、30L(工夫次第でもっと入る)というちょうどよい容量、素早く移動するためによくまとまった機能など、眺めているだけで自然とコイツを背負って山道を駆けてみたくなるから不思議です。とことん軽量のギアを詰め込んで真夏になだらかな草原が続くトレイルをテント泊縦走などやってみたら楽しいだろうなぁ、といった妄想が捗ります。

ただし、これを初めてのバックパックとして最適かといわれると、疑問符が沸くのは仕方がないのかもしれません。大きな懸念はやはりウェストベルトがないという部分で、総重量が10kg以上になるような場合には、ウェストベルトでしっかりと荷重を分散させられるパックの方がより快適。初心者で背負い方や歩き方が確立していない人、パッキング重量と疲労感の感覚がつかめていない人は、思わぬ苦戦を強いられる可能性を覚悟しておく必要がります。

ともあれ、現状でこのパックに目立った競合は存在していないという意味でハマる人にはハマるパックであることは確か。いったんベスト型ハーネスの快適さに惚れ込んでしまったハイカーに躊躇する理由はありません。比較的長距離まで対応するスピードハイク向けライトウェイト・バックパックとしておすすめです!

First Look:サンフランシスコ発、Boreas(ボレアス)バックパックの洗練されたデザインと機能美に酔う

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アラスカ育ちの実力派バックパック・デザイナーが2010年、サンフランシスコにて設立したブランド、Boreas(ボレアス)は、日本でもっと知られてよいと思えるバックパック・ブランドのひとつです。彼らのつくるバックパックは、温暖な気候と豊かな大自然からもたらされた陽気さとおおらかさ、そして雑多な文化のなかで育まれたオープンで進取の気性に富んだサンフランシスコ気質をそのまま体現したかのように、驚きと遊び心、美しさ、そして実用性に溢れています(本国のブランドサイトを覗いてみれば、その空気は即座に伝わってくるに違いありません)。

今回取り上げるのは、そんな彼らのラインナップのなかでも特に昨年から評価の高かった30Lサイズ前後の軽量バックパックを含めた2点。いずれも軽くてシンプルなことはもちろんですが、見た目のインパクトからは想像もつかない完成度の高さを感じさせてくれます。

Boreasについて

“KIM TAE”がデザインディレクターを勤める「boreas/ボレアス」。多種多様な社会集団とカルチャーが存在するサンフランシスコ・ミッションエリアを拠点として2010年にスタート。アウトドアアクティビティをベースにデザインを落とし込んだアイテムはストリートシーンにおいてもその真価を発揮します。デザイン性、軽量性、機能性に優れていることが高い評価を受け、世界中から認められる強いオリジナリティを持つブランドとしての地位を確立。機能・デザインなど全てにおいて新感覚アイテムは驚きを与え続けます。

KIM TAE
boreas gear 創業者。アラスカの大自然の中で育った毎日が、アウトドアへの情熱の原点となりました。大学にてプロダクトデザインを専攻した後、2001年に有名アウトドアブランドに入社。そこでデザインディレクターを勤め、数多くの名作をリリース。強い個性を持ったアウトドア業界の異端児として知られています。新しい可変背面フレームシステムなど、考え尽くされた革新的アイデアを生み出している近年まれにみる優秀なデザイナーのひとりです。

日本版カタログより

各アイテムの主な特徴

実験的で独創的、でも実用的で汎用的:MUIR WOODS(ミュアウッズ) 30

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日本版のカラーバリエーションはBlackのみ(写真は2015年モデル)

カリフォルニアにある国定公園に由来する名前をもつミュアウッズは、まずどこから見ても分かる独創的なデザインが目を引きます。これでもボレアスのラインナップのなかではマイルドな方だというのだから驚きですが。ただこの一見奇抜なデザインは、当然、単に奇をてらったものでは決してなく、これから説明する数々の機能が緻密な計算の下に収納された結果に過ぎないということがこのバックパックのスゴイところ。

特徴的なシルエットの由縁である、メインコンパートメント全体が大きく開く入口は、素早く荷物の出し入れが可能。

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内部にはハイドレーション(ノートPC)の収納も可能なポケットも。

サイドのストラップはアタッチメントとしてだけでなく、パック容量を型崩れなく圧縮するコンプレッションとしても機能します。

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それ以外にも、膨大な量のアタッチメントポイント、デイジーチェーンなどが目立たないように配置され、シンプルな表面の裏には一般的なデイパックでは考えられないほどの収納力が秘められています(ただしカラビナやストラップなどを自分で用意する必要あり)。

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フロントは中央ラインに沿って、背面はショルダーベルトの中央にデイジーチェーンが隠れている。

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ポールやアックスのアタッチメントもしっかり配置。

もちろん小物類を収納するためのポケットもそつなく配備し、慣れないユーザーでもスマートなパッキングが可能です。

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左上、左下写真はトップのポケット、サイドポケット(右上)とヒップベルトポケット(右下)は軽く伸縮して使いやすい。

ただ、ここまでだったらこのパックはちょっとした便利な街ぶら用デイパックに過ぎません。コイツが本格的なアウトドアでも十分に活躍できると感じさせる最大のポイントは、経験と技術に裏打ちされた質の高い背面システム(バックパネル)にあります。内部には取り外し可能な軽量アルミフレーム、背中に当たる部分には適度な硬度とフィット感や通気性、クッション性に優れたEVAフォームの背面パネルが配置され、かなりの荷重に対しても安定して快適な背負い心地を提供してくれます。

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通気孔や溝、メッシュ地など、背面の通気性を高める仕組みが練られたバックパネル。

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アウトドアにも、タウンユースにも最適な完全防水:MONTEREY(モントレー)

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カラーバリエーションはCanyon Blue(写真)、Blackの2色

もうひとつのライトウェイトなバックパックは、絶対になくてはならないわけではないが、ある種のアウトドアでは大変ありがたい完全防水仕様のパックです。それでもバイク通勤、通勤ランなどが一般化してきた近年では、街中でも防水仕様のリュックを背負う学生や社会人が増えていることから、あながちマニアックな機能というわけでもなさそう。このパックはそうしたアウトドア・タウンユースの両方をカバー。デザインに凝りすぎて使い難くなったりするわけでもなく、かといって機能性に偏りすぎて野暮ったくもならず。「軽量、機能、スタイル」すべてにおいてバランス良く高品質な、やはりボレアスらしいバックパックです。なおこのモデルは35Lと(日常で使用するには)やや大きめサイズですが、ラインナップにはそういう人のためにほぼ同じ仕様で25Lの ECHO も展開されています。

210デニールリップストップナイロンのしっかりとした生地は、TPUコーティングによる防水加工が施され、入口には独自のロールトップ式ドライバッグを本体に内蔵し、ザックカバーを使わなくても水の浸水をまったく許しません。

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外側のナイロンとの二重構造になったロールトップ型の入口。

メインコンパートメントの容量が豊富な分、ポケットやアタッチメント類はやや控えめ。フロントには伸縮性のあるポケット、さらにドリンクボトルや小物を収納できるサイドポケットや、薄い小物を収納できるトップポケット(お世辞にも広いとは言えないが)はもちろん完全防水。ただ、パックのサイドにはどんなものでも良いのでボトル用のポケットが欲しかった。

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内部にはPC用のコンパートメント、フロントポケットにはリフレクタープリントなど、日常や夜間での使用を想定したパーツが心憎い作り。

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内部に配置されたスリーブは耐衝撃クッション付きでノートPCも安心して収納可能。


まとめ:どんな人におすすめ?

どうしても”優秀な”登山用バックパックはデザインもある程度画一的になりがち。それがここまで機能性を損なわずに遊び心満点のスタイリッシュなパックが作られる、西海岸という地域にはやはり魔法を感じずにはいられません。街にも、自然にもなじむデザイン、そして山歩きにとって十分な機能と快適性を備えた MUIR WOODS 30 は、日帰りや小屋泊まりのハイキングを中心に、よほど過酷な山行でもなければ十分期待に応えてくれるでしょう。これからアウトドアを始めたい人、週末山に行くときだけでなく、日常でも、あるいは旅行でも使いたい、そしてできることならなるべく人のパックとかぶりたくないという欲張りな人にとってはうってつけではないでしょうか。一方 MONTEREY は「防水」という特性以外は同じような目的・利用シーンで十分使えます。なかなか選択肢の少ない防水バックパックのなかでも特にデザイン性に優れたものを求めている人にはピッタリです。

 

 

 

 

項目 MUIR WOODS 30 MONTEREY
ここが◎ 快適性、軽量性、デザイン、汎用性 防水性、耐久性、デザイン
ここが△ 付属のポケットやストラップの少なさ、自立しない形状 ポケット・アタッチメントの貧弱さ、背面のクッション性
おすすめアクティビティ ハイキング、旅行 通勤・通学、沢登りなどウォータースポーツ、旅行、ハイキング
Fabric
  • 210Dナイロン(UTSコーティング)
  • 420Dナイロン
  • 210Dナイロン
  • 420Dナイロン(TPUコーティング、KISSコーティング防水加工)
size ワンサイズ(背面長47cm) ワンサイズ
容量 30L 35L
重量 1,023g(フレーム取り外し時:980g) 約1,000g
重量/容量 30.67g/L 38.33g/L
アタッチメント
  • バックフレーム
  • デイジーチェーン
  • ギアループ
  • ジグザグEVAフォーム
  • チェストストラップ
  • ワンアクションウェストベルト調節
  • デイジーチェーン
  • EVAフォーム
  • チェストストラップ
ポケット
  • 1フロントポケット
  • 2ウェストベルトポケット
  • 1フロントジップポケット
  • 2サイド防水ポケット
ハイドレーション対応 ×
付属レインカバー × ×
バリエーション  
  • ECHO(25Lモデル)
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