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【2015年更新版】今すぐ欲しい、おすすめハードシェルジャケット10着 ~ハードシェルの選び方まとめ~

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ハードシェルジャケットが冬のアウトドアに欠かせない理由

ハードシェルとは「シェル」という名が示す通り、アウターとして最も外側に羽織るタイプのウェアですが、その最も基本的な特徴を一言でいうと、「雪山や氷壁を対象にした登山・山岳スキーを念頭に置いて作られているアウター」ということです。今回は冬のアウトドア・アクティビティに最適なハードシェル選びについて、どんなポイントに気をつければよいのかをまとめてみます。そして後半では編集部のおすすめハードシェルをご紹介したいと思いますので、すぐにおすすめが知りたい方は以下の目次から直接ジャンプしちゃってください。

目次

はじめに:ハードシェルの役割

ハードシェルジャケットの選び方

編集部おすすめのハードシェルジャケット10着(2015-2016秋冬モデル)

まとめ

はじめに:ハードシェルの役割

まずハードシェルが冬のアウトドア・アクティビティには欠かせない理由を、他のシェルレイヤーと比較してみることで確認してみましょう。

シェルレイヤーの特徴比較まとめ

種類 ハードシェル レインウェア ソフトシェル
防水性 △(~◯)
透湿性(通気性) ◯(~◎) ◯(~◎)
防風性
耐久性
ストレッチ性 △(~◯)
重量
生地の質感 ザラザラ ツルツル しっとり滑らか
袖口 グローブを着用を前提としてかなり調整可能 多少は調整可能 多少は調整可能
フード ヘルメット着用可が多い ヘルメット着用不可が一般的 フード無しからヘルメット着用可まで多種多様
ベンチレーション 大きく開くものが多い 無いモデルが基本 有っても開口部が相対的に小さい
ジッパー フラップ式、止水ジッパーが基本 フラップ式、止水ジッパーが基本 防水性のジッパーではないモデルも
鼻まで覆う大きな襟
呼吸してもゴーグルが曇らないような工夫があるものも
あごが隠れる程度 あごが隠れる程度
スノースカート あるものが多い × 付属しているものはまれ

結論:厳しい冬山で少しでも安全・快適に過ごしたければハードシェルをもつべし

上の表から分るとおり、雪山にハードシェルが欠かせない理由を一言で言うと、最も過酷な積雪期の冬山で最高のパフォーマンスを発揮するために最新の技術が投入され、雨だけでなく風雪を含めたあらゆる天候に適応できるような防水・防風・耐久・通気・透湿性を備えているからです。その他、雪面滑落時の摩擦抵抗を高めたり撥水性能を高めるために、生地は他と比べるとザラッとした質感になります。また袖・脇・襟・裾等に雪の中で快適に使用するためのさまざまな細かい機能や工夫が凝らされています。とはいえ、場所と季節と目的によってはアウターとして最低限、防水・防風性能を備えている(わりと生地のしっかりした)レインウェアでも十分だったりもしますのでそこは自己責任で。またたとえばパタゴニアの KnifeRidge Jacket のような透湿性と防水性を両立させた伸縮素材のシェルであれば、十分にハードシェル的な使い方もできそうです。

ちなみに、ハードシェルまでは必要ないけど、比較的丈夫なレインウェアでいきたいという方にはこちらの記事もおすすめです。

ハードシェルジャケットの選び方

素材で選ぶ:やはりゴアテックス(プロシェル)が鉄板

最近では防水透湿素材はゴアテックス以外にもたくさん出てきました。有名どころの特徴をかいつまんで紹介すると、同じ ePTFE というフッ素樹脂ベースでありながら透湿性能でゴアを凌ぐ eVent 、マウンテンハードウェア独自の防水透湿技術 ドライQエリート、最近話題の、しなやかな着心地と防水・通気透湿性能を両立した POLARTEC NeoShell など。今までちょっと手が出難い価格帯のゴアテックス以外に、同性能(を謳っている)の選択肢は確かに増えましたが、でも何だかんだ言ってゴアテックスの最高性能ラインである GORE-TEX PRO は性能・丈夫さからくる安心感がぜんぜん違います(高い買い物だけにこの安心感は超重要)。着心地や透湿性などの他の部分をフィーチャーしたいという願望が特になければ、プロシェルはすげぇす、やっぱり。もちろん、プロシェルじゃない方のゴアテックスも、ピッケルを必要としないような冬の低山登山やスノーシューハイキングなど、状況次第では全然ありだと思います。

着心地・重量・形で選ぶ:実際に着てみた感じが重要

ぼくがプロシェルで唯一気に入っていないのが堅牢さ故のゴワゴワした着心地。それが理由でハードシェルに動きやすさを付加したアイテムや NeoShell のウェアという選択肢も十分あり得ると思います。ところが同じプロシェルでも生地に使われている糸の太さで質感が違ってくるため、そのゴワゴワ感が少ないモデルが重量も軽いし、そこまでハードなシチュエーションでは使用しないし、かなりぼくにとってはちょうどいいラインだということが分りました。お店の人の話によると、プロシェルで使用できる糸は最も細くて40デニール(デニールは太さの単位)らしいので、40デニールのプロシェルで作られたウェアがゴアテックス・プロシェルのなかで最もしなやかな着心地になります。一般的に40デニールのプロシェルよりも80デニールのプロシェルの方が厚く重たい反面、耐久性が高くできているといえますが、ここで注意したいのが、細い糸であれば弱いのかというとそうでもないらしく、細くても密に編めば強度は上がるし、重量も上がるし、ということらしいです。その辺の密度までなってしまうと、そこまで公表しているメーカーは少ないので、これ以上は実際に使用してみるしかないのでしょうか。

ハードシェルのフォルムですが、大きく「アルパインクライミング」志向と「山スキー(バックカントリースキー)」志向で微妙な違いがあります。

  • アルパインクライミング志向・・・上半身の動きやすさ重視で細身のフォルムで、ハーネスなどの登攀具を付けても不自由ないポケットのレイアウト。
  • 山スキー志向・・・スキーウェアほどではないにしてもややゆったりめ(中により厚手の防寒着を着込めるように)で、パウダースノーで滑降しても雪が入りにくい工夫。

ぼくは登攀系の冬山やアイスクライミングはやらないし山スキーをやるので、どっちかというと山スキー志向の方を選びたい。もちろんそんなにはっきりと区別されていないことも多いですし、細身のシルエットもかっこいいのでここはどちらかでなければ絶対だめというほどではないです。

機能で選ぶ:細かい工夫の違いをチェック

  • ジッパー・・・完全防水がいいが、なおかつ片手で開け閉めできるような軽いものの方が好き。その点、止水ジッパーは開け閉めが重いモデルもちらほら見かけるので要注意。
  • ポケット・・・数は多い方がいいが、レイアウト、大きさも重要。また胸や腕の高さにあるポケットや内ポケットなど細かい気配りがあるかどうかを見ます。
  • フード・・・ヘルメットの上から被れるように大きめのつくりになっていますが、この大きさもメーカーによっては千差万別。個人的にはあまりに大きすぎるのは好きじゃないです。
  • スノースカート・・・バックカントリーなどスキーで使うならある方が望ましいけど、なくてもそこまで酷いことになったことはありません。
  • ベンチレーション・・・開閉部は大きいほど調節の幅が広がり便利。
  • あご(襟)・・・口と襟の空間の作り方、曇らない工夫などがあるとなお良し!

編集部おすすめのハードシェルジャケット10着(2015-2016秋冬モデル)

2015-2016秋冬の新作、リニューアルをチェックしたなかから、編集部がこれは!と思う注目モデルをご紹介します。また、軽くてしなやか、通気性抜群のゴアテックス最新素材の「C-KNIT」を採用したハードシェル特集(2015/10/28更新)ではここでのおすすめ以外に今年注目のハードシェルについて紹介していますのでよかったらこちらも参考にしてください。※価格は参考、2015年12月現在のものです。

また、下で紹介しているハードシェルの一部は比較テストも行っていますので、そちらもよかったら参考に。

Arc’teryx Alpha SV Jacket

アークテリクスの「究極の防水性と耐久性」を備えた N80p-X GORE-TEX Pro を全面に使用したフラッグシップモデル。ここまで堅牢に作られているにもかかわらず、立体裁断された縫製によって、激しい動きでもハードシェルにありがちなゴワつきは気にならず着心地も抜群です。開けやすいジッパーをはじめとした細かい機能を含めてほんとに欠点が見当たりません。

HAGLOFS ROC HIGH II JACKET

試着してまずその着心地の良さにびっくり。よく見ると、動きやすいところにはゴアテックス・プロシェル40Dという細い素材を、強度が重視される部分には70Dの太い素材を使用し、着心地と耐久性、それでいて極力軽量化を実現させています。そして何といっても個人的には色・スタイルが最高です。ゴーグルが曇りにくく工夫された空気孔付きのインナープラケットなど機能的にも完成度高し。昨年モデルでも高評価でしたが、2015年モデルでは背中周りも40D生地になるなどマッピングに若干改良が加えられているようです。

NORRONA falketind Gore-Tex Jacket

独自の技術による唯一無二のクオリティを提供する、ノルウェーの本格アウトドアウェアメーカーによる最新ハードシェルは、独自に開発されたブラッシュ加工の GORE-TEX 3レイヤーファブリック interlock backer 素材を採用。GORE-TEX C-KNIT などで最近大流行中の「着心地は軽くてしなやか、そして通気性抜群にもかかわらず、冬のアウトドアにもしっかり適応する耐久性」という特性をしっかり押さえつつ、北欧ならではのスタイリッシュなデザインという味付けも加わったスグレモノです。

MAMMUT WHYMPER JACKET

元々登攀用具の制作からスタートし、現在では老舗総合アウトドアメーカーとして確固たる名声を得ているマムートのウェアは基本どれも本格アルパイン志向。過酷な環境を想定したウェアでは興味深いモデルが多く、今回のハードシェルも良いものがたくさんあって迷いました。そんななかで選んだのはクライミングも縦走もスキーもどれもそつなくこなせるオールマイティかつ高機能なこちら。GORE-TEX PRO でありながら軽量、スリムすぎず、ごわつかずちょうどいいシルエットが好感触。

BLACK DIAMOND フロントポイントシェル

クライマーのためのブランドが作るハードシェルは、積雪期に必要な機能を凝縮しながら、より動きやすく、より軽くを実現させた、ミニマリストのためのハードシェル。昨年はより軽量なシャープエンドシェルの方をおすすめしましたが、数十グラムしか違わず、何よりカラーリングが素晴らしいこちらのフラッグシップモデルを今年はおすすめ。

Patagonia Refugitive Jacket

パタゴニアでは元々、Super Alpine Jacket という優れたGORE-TEX PRO のハードシェルがありましたが、今年は新登場したコイツが本当にスゴイ。最新素材 GORE-TEX C-KNIT を採用したジャケットは衝撃的に軽く、しなやか。元々従来よりも薄く軽量化が可能になっただけでなく、さらに生地の厚みを部分的に調整することで極限まで軽量化を進めた結果です。さらに2つのハンドポケット、胸ポケット、2つの内ポケットと豊富な収納は、小物の多い冬でも十分。ピットジップもしっかり付いて、通気の調整もバッチリ。

Rab Neo Alpine Jacket

最新素材をいち早く採用し、毎年革新的な製品で業界をリードするラブの Polartec NeoShell 採用ハードシェル。薄くて軽くてストレッチが入った生地は相変わらず動きやすく、さらに抜群の透湿性も健在。雪や風の侵入を防ぎやすい袖の縫製や大きく開くチェストポケットにまで、限られた機能で最大限に使いやすくというシンプルかつミニマルな思想が徹底されています。

THE NORTH FACE FUSEONE RTG Jacket

比較的王道な作りのアイテムが多いノースフェイスで、試着した瞬間今年一感動したのがこのジャケット。シェル部分には独自の透湿防水素材ハイベントを用い、縫い合わせること無くい素材を組み合わせる最新のガーメントテクノロジーが、軽くてしなやかで自然な着心地を可能にしています。前身頃と背中には薄く断熱素材のプリマロフトを封入されているので、薄くて寒すぎ?という不安も解消してくれます。バックカントリー向けに着脱式のスノースカートが装備されているのもありがたい。

Westcomb SWITCH LT HOODY

昨年に引き続き、最新の Polartec NeoShell を採用したモデルの中から、総合的にバランスのとれたこちらをおすすめ。必要最低限の防風・耐久撥水性能に、抜群の動きやすさと透湿性をもった NeoShell は、ゴワゴワして中が濡れやすいこれまでのハードシェルの常識を覆す素晴らしいクオリティであることは昨年のテストで実感。ところがこのネオシェル、世界の中でも日本での販売が伸び悩んでいるという声も聞いています(ブランド好きの日本人気質?まだまだGORE-TEXばかり売れているらしい)。個人的には日数短く、厳冬期の深い山以外ならば大抵の場合、ネオシェルの方がちょうどいいと思うのですが、情報が少ないからかなかなか上手くいかないものです。

Mountain Hardwear セラクションジャケット

世界的に有名なアイスクライマーであるティム・エメットと共同開発したというアイスクライミングに最適化されたモデル。ここで採用されている独自素材ドライQエリートは確かな耐久性だけでなく、高い通気性もそなえ、ハードでアクティブなウィンタースポーツには最適。さらに脇や頭などの動く部分ではストレッチパネルをマッピングし、着てみてびっくりの動きやすさです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。なるべく客観的な指標でピックアップするように心がけたつもりですが、見た目や実際に着たときの印象も少なからず基準に含まれてしまっているので、あくまでもこういうチョイスもあるのだな、位に考えてください。感触としてはスペック:主観が7:3ぐらいです。また実際にはまだまだ候補はたくさんあり、10着に絞るのも大変だったのですが、同じような機能・価格で着心地や色のバリエーションなどが違うだけアイテムはなかなか文章では伝えにくいところもあり、やむなく削っているものもあったりします。悩みは尽きませんが、みなさんのギア選びの参考になれば幸いです。それでは素晴らしい冬のアウトドアをお過ごしください!

2015/2/6追記 おすすめハードシェルから3着をピックアップして、比較テストしました


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